感想「負けた時に負けを認められないのは一番駄目でしょ」タクトに負け続けるアタリ・コウ ケイ・マドカ。
マドカはタクトに勝つためにあるシステムを使って本気を出すようです。
今回のおさらい
タクトにまたも敗北したニードルスター(アタリ・コウ)。
相手を殺さないように戦うタクトの戦い方に屈辱を覚えます。
このタクトは相手を殺さないのが今回のキーポイントになります。
ワタナベ・カナコとケイ・マドカには過去の因縁があったようです。
マドカには貪欲さには理由が無いとカナコはシモーヌに話します。
この際限がない貪欲さを危険視するカナコ。
またシモーヌは危険な考えの持ち主ばかりいるバニシングエージに
ダイ・タカシが所属することを危惧しますが、
タカシは、果物をカナコへ送るなど、配慮を欠かしていないようです。
(演劇 神話前夜が学校内の話題になるのもわかる絵ですね)
場面は一転。学食。タクトはケイトと会い、前回のハブの応急措置のお礼を言います。
そしてタクト・スガタ・ワコが昼御飯をします。そこへマドカとコウが加わります。
演劇部の評判が気になり、キスシーンを気にするマドカ。
マドカは演劇部に入りたいと言い出します。ワコは気に入らないようです。
ヘッドは科学者から説明を受けていました。
それはオーバーフェーズ・システムという新しい装置が完成との報です。
これは人為的に第3フェーズ以上に進めるものです。
そして命の危険が伴うシステムを追い求める事に
ヘッドもただ強さのみを追い求めていると心の中で語りました。
(バニシングエージはこんな命知らずね奴らばかりですね)
そんな彼の脳裏にはソラとサカナちゃんの姿がありました。
サカナちゃんキター!!!舞台は十字団内部。ケイトはタクトにお昼にお礼を言われた事を気にしているようです。
ケイトにはタクトに対する心境に変化がる事を伺わせます。
ここで先ほどのオーバーフェーズ・システムが完成。
そしてマドカはタクトを殺すと宣言します。
ここで前半が終了。
そしてオーバーフェーズ・システムを使用。マドカが実験対象になります。
マドカの際限の無いリビドーが功を奏したのか、実験は成功。
実験が始まり成功するまでの過程の描写が丁寧に描かれます。
この実験が描かれるプロセス描写は作品の世界観を表現していて素晴らしかったです。
(人とサイバディが合体。なんでもアリなのがタクトの魅力です!!)
そして第3フェーズ以上のサイバディが誕生したようです。
なんとそのサイバディは、本人とサイバディが渾然一体となった姿を取っています。
こんな事まで画面上で表現できる。こうしたアイディアの飛躍と
こうした展開を許容できるタクトの世界は素晴らしいです。
さてそんな人の形をしたサイバディにタクトは、全力を出せず追い詰められます。
その姿はまるで男と女がいちゃいちゃしているよう←ここがとても重要です。
見ていられなくなったワコは怒り、力を解放。
ワコの力によってヘーゲントの姿は元に戻ったようです。
何が起こったのかがわからないマドカ。
隙を見出したタクトはタウミサイルでヘーゲントを撃破します。
ワコの決意する表情が可愛い。
そして演劇部に戻るタクト達。ここでワコはタクトのキス役に志願します。
驚くみんなですが、その一方でマドカはワコにリビドーで負けたと言います。
そして負けを認め、島を出ようかとコウに話します。
そして最後はカナコとシモーヌの会話。タカシがおとな銀行に戻りたいとの事。
シモーヌは怒りますが、カナコはシモーヌに強くなってほしいと願います。
そして本当の人間の強さとは
「自分を裏切った人間を許せる」と話すのでした。
命のやり取り=マドカ ただのやきもち=ワコ この二人の戦い
今回は、タクトは戦いに勝つ為に人を殺せるのかという事が問われました。
マドカがサイバディと人為的に融合する事で
マドカは戦いのレベルを「人の殺し合い」に引き上げました。
これに関しては、今までの戦いで人を殺さなかった戦いをするタクトに対して、
今後の戦いは人が死ぬ可能性も十字団幹部の誰かが前の話で予言していました。
今回はその予言=伏線が的中した展開でした。
そんなマドカは「命のやり取り」を行い、本人はそのギリギリの状況に喜んでいますが
タクトはそんな事を望んでいません。ゆえに苦戦します。
タクトにとっては「サイバディを破壊」できればいいだけなのですから。
そんなタクト=タウバーンに攻撃するマドカ=ヘーゲントは
まるで女が男を甚振るかのような振る舞いを見せます。
(タクトといちゃいちゃしているマドカ)
そこで怒っちゃったのがワコですね。やきもちを焼いたわけです。
おそらくタクトが好きであろうワコにとって、他の女との絡みなど見たくもありません。
(ここでワコがケイトとタクトが仲良くなっている事を察知する伏線を思い出しました。
異性に関係する女の嗅覚というのは凄いものです。)
ワコの巫女の力が
「マドカふざけるなぁ」と覚醒させてしまいます。
これによってタクトは勝てたわけですが、
命のやり取りも構わない。貪欲さに理由が無いという一見強そうな動機設定がある
マドカに対し、ワコのタクトの想いの方が強かっただけの事です。
つまりマドカの命のやり取りを行いたいリビドーより
ただのワコのやきもちのリビドーの方が強かったって事です。
この展開は痛快です。今回は一見、マドカがメインで描かれていました。マドカが何を考え、どうしたいのか。
でも実は、マドカはワコの引き立て役でしかない事がわかった展開でした。
タクトへの想い、つまりリビドーがマドカの力より上回っていたという話でした。
(今回の物語は要所をカナコさんが締めてくれます)
タウバーンとヘーゲントとの戦いをカナコがこう総括します。
「好きな男がほかの女といちゃいちゃしていたのが嫌だったのよ」と。
これ以上の締め方はなかったですね。
この台詞の凄い所は、今回の戦闘が命のやり取りだったレベルにも関わらず、
実は日常レベルでのささいな喧嘩であったレベルに戻してくれるからです。
そしていつものように清々しく物語が終われる意味でも綺麗な締め方になります。
こうした台詞をサラりと入れる事で、作品の空気感を見事に彩る。
榎戸洋司さんの脚本家としての素晴らしさが発揮された台詞でした。
まとめ
今まで、サイバディ戦は命のやり取りの可能性がある事を示唆してきましたが
命のやり取りという方向性はワコのやきもちによって回避されたと思います。
今後は命をやり取りする方向性は無いような気がします。
(台詞の節々からコウもマドカをよくわかっている姿が印象的です。)
一方で潔く負けを認めたマドカも中々にカッコイイ!!
タクトはキャラが急に変な過去のエピソードや展開によって陳腐化しないのが良いですね。
たまに今までカッコイイキャラが物語が進むと微妙なキャラに変化する作品って
あると思うのですが、タクトにはそういうキャラがいない。
これはタクトという作品のキャラ作りの巧みさを証明していると思います。
そしてこの作品が命のやり取りに向かわず、良い意味で軽々しくいる作風は素晴らしいです。
あくまで少年少女の清々しい青春を楽しく描く所に踏みとどまっている。
安易に鬱展開にしないで、全てをポジティブに描く。
これこそがカナコの言うような「強さ」「輝きのタクト」の強さなのではないでしょうか。
次回、22話「神話前夜」。
画面右側で輝きのタクトのキャラ人気投票を開催してますので
ぜひ奮ってご投票お願いします!