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「アウトブレイク・カンパニー」 8話のドラゴンクエストをペトラルカの心情に組み込んだ演出解説 

アウトブレイク・カンパニー 8話は、ドラクエネタが良かった。

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※ラダトーム城周辺を参考にしたフィールド。

今回は、慎一とペトラルカが引きこもる展開。
そんな引きこもりの二人がやっていたのは
「ドラゴンクエスト1」を模したかのようなゲームだ。
中盤以降、このドラゴンクエストっぽいゲームが
効果的に物語に絡み合う。

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まず小ネタ的な見所を挙げてみる。

このゲーム画面中に出ているラウラという単語もグッドチョイス。
これも元ネタはドラゴンクエストのラダトーム城のお姫様「ローラ姫」。
ラウラは英語圏だと「ローラ」とも読める単語。つまりラウラ=ローラである。

後はパラメータがレベル30でEが65535になっているのも再現度が高い。
(※ドラクエ1は最大レベルが304でE(経験値)のカンストが65535だから。)


そして物語と絡み合う点について挙げてみる。

まず二人がゲームをやっている時に流れているBGMは、
ドラゴンクエストだとラダトーム城で流れる曲名も同じ「ラダトーム城」を模している。
短い曲なので本編場でもループするのだが、これが二人の引きこもり生活とマッチングし、
この短いループが上のキャプの「そんな ひどい…」が続くループとシンクロする。

有名な話だが、ドラゴンクエスト1ではローラ姫の問いで
「はい」か「いいえ」を選択することになるが「いいえ」と選ぶと
「そんな ひどい…」と返され、問いの最初に戻され、再び質問される。
「いいえ」と選ぶ限り「そんな ひどい…」がエンドレスにループされる仕様。
このループをアウトブレイク・カンパニーでもやっているのだ。

つまり音楽のループとゲーム画面の「そんな ひどい…」のループが
ペトラルカが、ひきこもり生活から抜け出せないループを表現しているのだ。
だから「いいえ」を選ぶペトラルカは、まともに生きる事を拒否する態度でもある。

ここでドラゴンクエストを小ネタで使っているだけではなく、
きちんと作品の、キャラクターを描く表現に落とし込まれているのが上手かった。

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※ドラゴンクエスト1のEDシーンを模したゲーム画面。

そしてゲームは最後を迎える。
ここでペトラルカは「はい」を選び、
「いいえ」のスパイラルから抜け出す。

ドラゴンクエスト1では、ここで「はい」を選んだあと、
主人公とローラ姫は自分たちの国を作るために旅立つ。

引きこもり生活から元の生活、新しい世界へ。
ここでもゲームの選択が、ペトラルカの選択とシンクロする。

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そしてゲームがここでEDを迎えたわけだが、
家臣たちの事を考える余裕もでき、
ペトラルカもゲームの選択ではなく、
自ら行動に出て、引きこもりからの脱却を志す。

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ゲームの終わり、ゲームクリアと共に
ペトラルカは扉を開け、引きこもり生活を終わらせる。
この扉を開けるのが、今回のクライマックスだったと思う。

思うに、ペトラルカにとって引きこもり生活とは
ドラゴンクエストのようなゲームだったのかもしれない。

そしてゲームにはゲームクリア、終わりが訪れる。
そんなペトラルカは引きこもり生活を通して、一歩前に進むという話を
ドラゴンクエストみたいなゲームを使って今回は表現したのだろう。

まとめ

私が見てきたアニメの中で、本作ほど「ドラゴンクエスト」を
上手く使った作品に出会ったのは始めてだった。(他にもあるかもしれない)

ただのネタやパロディではなく、物語に組み込まれた演出。
ドラゴンクエストが持っている雰囲気を
上手くペトラルカの心情を描くものとして使われていたのが良かった。

また、ファンタジー世界でオタクな日本人がオタク文化を広める
アウトブレイク・カンパニーという作品で
和製ファンタジーゲームの代表的な作品「ドラゴンクエスト」が
ペトラルカに広めていた点でも面白かった。
 
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