感想ほむらの秘密。行動の目的。彼女の願いが語られます。ループする世界 積み重なるほむらの挑戦と絶望
今回はほむらが何度も何度も世界に挑んでは、目的を果たせずに
世界を巻き戻す展開、仮面ライダー龍騎でいえばタイムベントする展開が繰り返えされます。
ほむらはとても内気な子でした。
おそらく心臓の病気で病院生活が長く、体力も友人達との交流もなかったからでしょう。
そんな学校に転校したほむらに、ほむらの事を考えて優しくしたのがまどかでした。
このまどかの優しさにほむらは、自分の人生を変えるほど打たれたのでしょう。
また魔女に襲われた時にまどかに救われた事も、ほむらを変えたのでしょう。
しかし、優しいまどかはワルプルギスの夜によって死んでしまいます。
ここでほむらは「守られるより彼女を守りたい」たいという願いの為に
時間転移の能力と引き換えに魔法少女として契約します。
ここから暁美ほむらの真の戦いが始まります。
そしてほむらは何度も自分の目的が達せられない結末を迎えます。
以下、1週目も含めてまとめてみました。
1週目:ワルプルギスの夜でまどか死亡。ほむらはQBと契約し魔法少女になる
2週目:まどかが魔女化。ほむらがQBの目的を知る。
3週目:ほむらQBの目的をみんなに告げるも、信じてもらえず。
さやかが魔女化すると、マミが発狂。
マミは杏子を殺し、ほむらも殺そうとするがまどかがマミを射殺。
まどか・ほむらがお互い死にそうになるが、まどかが自分の隠し持っていた
GSでほむらの魔力を回復させる。そしてまどか「魔女になりたくない」とほむらに告げる。
4週目:まどかが魔法少女になりワルプルギスを撃破。しかしまどかが最悪の魔女化なのが決定。
(4週目は1話冒頭であったまどかが見ていた夢だったのでしょう)
5週目:現在(1話から9話)
死にながらほむらに向けて発砲するマミさん。
という感じでしょう。
まぁ本編で描かれたのは4週でしたが、この中にもっとループしているかもしれません。
ただ大事なのポイントは、本編で紹介されたルートにあるのは間違いないです。
特に1週目のまどかの死によって「まどかを守りたい」と願うほむら。
3週目の誰もほむらのいう事を信じずに最悪の結果を迎えた事。
そして死に際に「歴史を変えて」「魔女になりたくない」と告げるまどか。
この3つが大きなポイントになるでしょう。
ほむらは全てを知っているのに、まどか達に真実を言わなかった原因がわかりました。
過去に真実を告げて失敗してたからでしょうね。
特に魔法少女の真実を知って、おかしくなったのはマミさん(3週目)でした。
また3週目ではさやかとチームを組むのを嫌がるなどもあって、
ほむらは、本編(5週目)でさやかとマミに距離を置いたのでしょうね。
逆に杏子とは協力しようとしてたので、ほむらは杏子の事を買っていたのでしょう。
しかしほむらの目的の達成はとにかく難しいです。
それはまどかが魔法少女にならないで、ワルプルギスを倒す事ですから。
例えるなら、一つのフラグでも間違えてはいけないゲームみたいなものかもしれません。
時間停止を使って武器を調達するほむら。
それでもほむらは世界に挑み続けます。彼女はループを繰り返す毎に
武器を充実させ、戦い方を洗練させる努力から見ても彼女の真摯さが伝わってきます。
後述しますが、ほむらの心象はOP曲「コネクト」の歌詞に集約されていると思います。
ほむらの願い まどかの願い
今回は全てほむら視点のみで描かれています。
ほむらが何を考え、まどかから聞いた事を自分なりに解釈します。
逆に言えば、例えばほむらが助けたいまどかが、どう思っているかは掴めていない。
つまり魔法少女になった時の願いを、まだまどかは明かしていません。
1週目から4週目までまどかは魔法少女になっていますが、その願いは精確にわからないのです。
二人の関係はこのショットに集約されています。
そして、ほむらはまどかを救えれば良いと本当に本当に願っています。
その想いは今回を見れば痛いほどわかります。
しかし逆にまどかは、本当にそれで良いのでしょうか。
まどかであれば、さやかもマミも杏子もみんな救いたいと願うはずです。
そしてほむらの「永遠の迷路に閉じ込められても構わない」という考えも許さないでしょう。
まどかの表情に胸を打たれます。
次回予告で「ずっとあの子たちを見守ってきて何も感じなかったの?」とまどかは言います。
これは、ほむらもしくはQBへのメッセージだと思います。
この台詞を考えるにまどかはみんなを救いたいのは間違いないのでしょう。
要はほむらとまどかでは認識のギャップがあり、
ほむらの考えでは目的を達せられるかという不安を現していると思います。
クラスメートの対応に四苦八苦するほむら。
象徴的なのは、まどかは友達を作るのが上手なキャラとして描かれています。
一方のほむらは友達を作るのが得意ではないキャラとして描いている印象です。
この差がどうしても、ほむらを失敗させる要因になっている印象なのです。
また今のほむらの状況は、まどかの分を肩代わりしている状態なのでしょうね。
そしてこのほむらの態度が世界をまどかを救えるのか、本当にわかりません。
ただ今回(5週目)のまどかの願いに、すべてが集約されるのでしょうね。
希望があるとすれば、世界はループしても少なくともまどかには
どこか記憶の中にほむらとの記憶があった事です。確実に世界は変化しているのです。
コネクトはほむらの歌だと確定
今回5週目に突入したほむらの決意「永遠の迷路~」を告げた後にOP(コネクト)が流れました。
私はこの演出と歌詞を聞いた時に、やっとコネクトの歌詞が
ほむらの心情を現したものであると感じる事ができました。
交わした約束忘れないよ
眼を閉じ確かめる
押し寄せた闇 振り払って進むよ
いつになったら無くした未来を
私ここでまた見る事出来るの?
溢れ出した不安の影を
何度でも裂いて
この世界歩んでこう
止めどなく刻まれた
時は今始まり告げ
変わらない想いを乗せ
閉ざされた扉開けよう
目覚めた心は走り出した
未来を描く為
難しい道で立ち止まっても
空は綺麗な青さで
いつも待っててくれる
だから怖く無い
もう何があっても挫けない
コネクトという歌が、ほむらがまどかとの約束とまどかへの変わらない想いを持ち続け
絶望的な挑戦であろうとも、挫けないで走る姿を描いたものなのでしょう。
今回からが真の始まり。
また1クール作品の10話の最後でわざわざOPを入れてきた事の意味を考えると
今までの展開はまだ序奏であったという見方もできるでしょう。
つまり次回以降の11話が真の本編というスタッフ側の決意なのかもしれません。
改めて魔法少女として考える
虚淵玄のバッドエンド症候群との関係から
この作品は「魔法少女」モノとしての議論が何度となく起きています。
私も作品内の描写からさまざま考えているのですが、
魔法少女になる事は、不幸の始まりであるように描かれているのは間違いないです。
それにしても今回(3週目)で「魔女になりたくない」と告げるまどかのこの台詞を聞き
この作品にとって魔法少女とは何かを改めて考えたくなりました。
まどかの死。バッドエンドです。
そして、主人公が魔女=魔法少女にならないように願う展開。
また主人公の友達(ほむら)が魔法少女にさせない展開を見て
魔法少女にさせない魔法少女モノという珍しい切り口になっていると思いました。
また思うに、まどかを救うほむらも結局は魔法の力を使っているわけです。
世界を不幸にする魔法少女のシステムですが、
ほむらはこのシステムから授かった力で対抗しているのです。
つまり魔法の肯定=魔法少女の肯定をしているのは間違いないと確信しました。
確かにいわゆる魔法少女モノというジャンル区分からは、かけ離れた作風だと思います。
ただ魔法少女モノとしての重要な核の部分である「願い事そのもの」に対して
これほどに切実にアプローチをした作品があったでしょうか。
この1点において、まどか★マギカは魔法少女モノであると個人的に思います。
最悪の魔女が誕生しようとしています。これまたバッドエンドです。
そして前回のQBの「エントロピー」発言でわかったのですが、
この作品は「みんなが頑張れば頑張るほど不幸になっていく」という思想で成り立っています。
そして何より「不幸(バッドエンド)を、どうすれば克服できるか」を描いた作品だと思います。
本作の脚本家、虚淵玄氏が書く作品はバッドエンドが殆どという事で
氏の作風を「バッドエンド症候群」と言われているようです。
この作品では魔法少女になる事をバッドエンドのフラグのように描いています。
でも上述したように、ほむらの魔法の力で世界を変えられる可能性も示唆しています。
だから私は最終的にこの作品が(単純な)バッドエンドになるとは思えないのです。
私は虚淵氏が陥っているバッドエンド症候群の葛藤そのものを
まどか★マギカという作品にぶつけている印象を受けています。
そして自己の陥った問題に対して何かしら解決したい気概があるからこそ
まどか★マギカという作品を描いているのでしょう。
何度もループを繰り返してもバッドエンドを迎えるほむらはまさに虚淵氏そのものなのでしょう。
この虚淵氏=ほむらは挫けず立ち上がり走る。その姿に私は心を打たれます。
そんな立ち向かう姿勢こそ、まさに人間の生を肯定的に描いたものでしょう。
だから、単純なバッドエンドになるとは考えにくいのです。
虚淵氏の作品で繰り返されるバッドエンド。
何度もほむらの中で繰り返されるバッドエンド。
こうした虚淵氏のある種、自己模倣の繰り返しの中で、
まどか★マギカは自己模倣から脱却しようという試みなのかもしれませんね。
それがハッピーエンドという結末で終わるかはわかりませんが、
少なくとも単純な「世界はみんな頑張っても不幸になる」という事から脱却するのではと思います。
まとめ
今回は作画にあんまし触れられませんでしたが、
原画に梅津泰臣 阿部厳一郎 伊藤良明 沓名健一 岸田隆宏 阿部望 寺尾洋之
神谷智大 中井準 鈴木信吾 大久保宏 松本卓也
というように凄いメンツが揃っていました。
鈴木さん・大久保さん・松本さんは岸田さん繋がりでの参加でしょう。
何度となく描かれた、戦闘シーンではとてもよく動きましたね。
10話でほむらの謎もわかりました。やはり世界はループしていたのですね。
エンドレスエイトもひぐらしもCROSS†CHANNELも
仮面ライダー龍騎もループした世界を描いています。
世界をループさせる物語手法に対しての評価は色々あると思いますが、
大事なのはこの手法を使って、何を描きたいのかだと思います。
その意味ではまどか★マギカは最後に何を発信するのか楽しみです。
そしてまどか以外のキャラの物語や背景は全て描き切ったと思います。
これからはワルプルギスの夜に対して、まどかがほむらがどう動くのかにかかっています。
そしてまどかは何を願うのでしょうか。楽しみです!!