感想ヴィクトリカ、母の故郷の因縁を断ち切りに行くお話しです。ヴィクトリカが今回とりわけ可愛いわけ
今回、ヴィクトリカがすねたり顔を赤らめたりする挙動が
とても可愛らしかったのでした。これは毎回の事なのですが、
今回はさらに痛がるヴィクトリカが見られました。
やはりヴィクトリカは明晰な知性を除いた他は純粋な少女なのでしょう。
というわけで、今回はヴィクトリカがいつも以上に様々な挙動を見せてくれました。
それはなぜかちょっと考えて見たくなりました。
今回の話は、ヴィクトリカの出生の秘密に関わるお話です。
正直、今回の話を聞くに、ヴィクトリカにとって良くない出来事でした。
自分の母の過去の行動が、今の自分を閉じ込めている現状。
ヴィクトリカにとっては過去の母親とある意味対峙する状況なのかもしれません。
つまり今回はヴィクトリカにとって悲壮的なお話であります。
そんな悲壮感を対象化させる為に、わざと前半ヴィクトリカを可愛く描いたと思うのです。
キャラクターとして可愛く描く事、そして状況はキツイというギャップを表現する事で
ヴィクトリカという実像を現すのが作劇の目的だったのかもしれません。
それにしても毎回、ヴィクトリカの可愛さを様々な切り口で見せてくれます。
後述しますが、シリーズ構成の岡田磨里さんのキャラクター観が
きちんと反映され、ヴィクトリカを描写しきっている印象を受けます。
岡田磨里の脚本術
「ヴィクトリカの痛がり~」
負け犬の遠吠えのように言った久城。今回一番の名台詞だと思います。
この台詞がなぜ良いのかと言いますと、この台詞が久城という
キャラクターをコミカルに描き出しつつ、本質を表しているからです。
何か言う事に困って言った上記の台詞。「痛がり」というボキャブラリーと合わさって
久城がちょっとおつむが弱い子を表しています。
一方で、ヴィクトリカを傷つけたくない配慮もあるから
痛がりという表現にしたのではないかと感じさせます。
この台詞が原作にあるかもしれません。
だからこの台詞を脚本の岡田磨里さんが使ったという言い方も出来ますが
この台詞を印象的に用いた意味では、脚本が上手いと言えると思います。
岡田さんはキャラクターの心情の篭った台詞作りが出来る方だと思っています。
同じ岡田さん脚本のフラクタルでは「ネッサは好きな事が好き」という
ネッサの台詞はとても強く印象に残っています。
こうした台詞作りの巧みさは彼女独特のセンスが光っていると思います。
まとめ
今回は事件導入部分なので、ミステリー的要素は控えめ。
次回以降はドレスデン皿強盗事件の真相が徐々に明らかにされていくでしょう。
久城とヴィクトリカの関係は一歩下がって一歩戻るというような感じでした。
やはり彼女達をより強く結びつけるのは、事件が必要なのでしょうか。
最後に。この作品は夜のシーンが暗いなぁと思ってましたが、理由がわかりました。
それは20世紀初頭という時代を考えるに、電気照明の技術が発達していないからです。
1次大戦後はまだ夜が暗かったという事を思い知らせれます。
こうした歴史考証も踏まえて画面作りをしている点は流石だなぁと思いました。