感想サブタイトルが「おわり、燦々と」ありますが、
「散々」な結果にならなくて本当に良かった(冗談)
何より乱杭との戦闘しシーンがカッコよかったです!!人間(半妖)と比べてのスケール感、大きさの対比がキッチリ表現できていましたね。
沢鷹や総角達とは明らかに違う大きさ。
大きい=強さである事を表現するのに十分なスケールです。さらにいえば、画面にやや収まりきれないぐらいで描かれた乱杭は
例えばキャプのように手足の末端が画面に見えない事で
より大きい存在であることを強調しています。
しかもこの乱杭が、画面狭しと動くのだから迫力があります。こんな動かすのに面倒な乱杭を随分ちゃんと動かしていたなぁと思います。
あとは乱杭の各関節部分を突起させて影を丁寧に入れる事によって
化物らしく描かれているのも高ポイントです。
(キャプ左)手前の雪洞、鬼灯の奥に利剱、薄蛍が乱杭と交戦している構図。
キャラクターが二つの階層に分かれてで描かれています。
沢山の情報が一つのショットに収められているので、見応えある構図です。またざくろはこうした二つの階層でそれぞれのキャラが描かれるショットが多い印象でした。
(キャプ右)真正面からの乱杭のカットが多かったのですが
交戦するときは真横からのカットもちゃんとありました。
真横から戦っているシーンはキャラがクルクル回って良く動いていました。
それにしてもこのカット辺りが一番動いていたかな。
沢鷹を深く愛するがゆえにほとんどのキャラを蹴散らした乱杭ですが
総角の呼びかけで目覚めたざくろによって一瞬で葬られます。
今まで青暗い闇で戦闘していたのが、ざくろ色に変わる事で空気を一変させる。
つまり乱杭優勢の空気からざくろ優勢の空気に変えた演出も上手です。
乱杭の強さを見せておいて、その後にざくろが乱杭以上の圧倒的な強さを見せ付ける事で
短時間ながら効果的な戦闘シーンの幕引きをはかっています。個人的に思ったのは監督の今千秋さんは戦闘の絵コンテもキッチリ描けるって事でした。
まぁアニメーターがコンテの内容を膨らまして作画したのかもしれないけど。
そして何より感心したのは乱杭のスケール感でしたね。
大きいものを大きく見せるのは、簡単なようで簡単ではありません。
ただ画面に大きく描くだけでは成立しないからです。
大きさというのも相対的に表現されるもので、
各キャラの大きさや背景との比較があって初めて成立するからです。というわけで乱杭を倒したざくろでした。
Bパートは妖人省が無くなったので、
それぞれのキャラが関係をとりまとめる構成。
Cパートは結局元の鞘に納まる展開でした。
ところでざくろの顔についての描写で気になった事があります。(キャプ左)Aパート、ざくろが自分の力の封印を解く前の表情。
(キャプ右)Aパート、乱杭を倒した後のざくろの表情。
(キャプ左)Bパート、総角に告白されて驚くざくろの表情。
(キャプ右)Cパート、妖人省の復活に動揺しているかわいいざくろ。
上にあるキャプのAパートとB・Cパートのざくろの顔の形を見ますと
Aパートはざくろの顔が面長で、B・Cパートは丸みを帯びた顔になっています。
これはAパート=戦闘=シリアス B・Cパート=ラブコメ的展開というように
それぞれのパートの空気感を出すための作画ではないかと思いました。顔が丸くなるのは、デフォルメであり可愛させる表現として有効だなぁと思いました。
何より彼らが出てきてくれて嬉しかった!私の中では「おとめ妖怪ざくろ」という作品は
こいつらが一番重要でした(マジデ!!)
まとめ相対的な見方なのですが、今期見ていた作品の中では
シリアスがメインであり一本筋通った物語を紡ぐ作品が中々無かったので(あとはFAぐらい)
希少という意味で物語を楽しめてしまった部分がありました。この辺りの物語の巧みさは原作によるものなのでしょうが
アニメ化に関しては今千秋監督と岡田麿里さんの女性コンビが中心となって
繊細に華やかに男女共に訴求する映像と物語を組み立てたからでしょう。
そしてきちんと話の落ちもついているのがまとまりが良くて良かったです。
あくまで本作はざくろ達と総角達のラブストーリーなのでしょう。しかしお互いがよりラブラブをするには己の血縁とか、妖怪と人間の対立とか
邪魔な存在が必要であり、その障害を乗り越えないとより恋愛は燃えません。
例えば、ざくろと総角にとっては沢鷹という存在が障害であるように。
そして、キャラクターの機敏が描かれたのがこの作品の魅力であると思います。少女マンガらしい展開を女流作家の岡田麿里さんを中心に見事に紡ぎました。
ざくろは時にツンツンとなり、怒り、笑い、泣きといった様々な表情・仕草が
記号的な描写以上に描かれていたと思います。それは他の主要キャラも同様であり
この描写の積み重ねが作品の血肉になり、物語を没入させるフックを与えました。
また、毎回丁寧に注ぎ込まれたキャラクターへの優しい視点も作品の魅力ですね。極力キャラクターが不幸にならないように、不満足無いように
どんなキャラも優しい視点で描かれていましたね。沢鷹さんも生きていましたし。
あと個人的には桜、桐、三升、三扇、三葉杏といった妖怪達が大好きでした。
妖怪って人間より良いですよね。クリーチャーは大好きです。今期のJC作品では作画が特に安定していました。長谷川眞也さんと島村秀一さんが総作画監督を兼ねる体制だったからでしょう。
ハセシンさんは女流作家の気高き乙女を描くのが得意なのかも。
とにかく抜群の安定感を見せていたと思います。
最初は何にもわからず見ていましたが1クール大いに楽しませて頂きました。それでは、ありがとうございました。