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「少女革命ウテナ」における七実回の重要性。あるいは緊張と緩和。 

「少女革命ウテナ」の七実回、もしくはギャグ回の重要性について語ってみたい。


私が「少女革命ウテナ」の面白さにのめり込んだのは
16話の「七実のカウベル」から。

16話は七実が良いファッションだと思い、自分の首にカウベルを付ける展開。
そしてカウベルに引っ張られるように七実は牛化し、結局はウテナに倒される。
比喩ではなく七実が牛になってしまうのだから恐れ入る話だ。

「身なりは人を変える」という風刺的な意味合いを突きつけた話。
それ以上に「少女革命ウテナ」は時と場合によっては
キャラクターが牛にもなれる揺るがぬ事実を突きつけた。
ウテナの発想の自由さと飛躍性に強く心を惹かれた。

緊張と緩和、あるいはシリアスとギャグ

ウテナは、キャラクターの感情・内面を鋭く描く。
一方で七実が活躍する「カレーなるハイトリップ」「七実のカウベル」「七実の卵」は
発想の飛躍がすさまじいギャグものだ。
ウテナはシリアスとギャグが混在する作品だ。

落語家、桂枝雀の「緊張と緩和理論」でいえば
ウテナと生徒会メンバーのドラマが「緊張」だとすれば
七実を中心に起こるエピソードは「緩和」なのである。
緊張(シリアス)があるからこそ、緩和(ギャグ)もまた引き立つ。

あるいはビートたけしの振り子理論。
悪いこと(ギャグ)ができれば、良いこと(シリアス)もできる一例。

「少女革命ウテナ」は笑い的にも極めて優れた作品だと思う。
この極めて面白かったのが、私にとって堪えたし、嬉しかった。

ウテナのVHS・LD1巻の映像特典のインタビューで

「面白さそのものの価値を突き詰めたい」

と幾原邦彦監督は語っていたが、この発言の狙いが七実回で結実していると思う。

七実回はウテナ世界を別角度から照射する

七実回は笑い的に面白いだけではなく、ウテナという作品を別角度から照射する。

まず「カレーなるハイトリップ」ではウテナとアンシーの人格が入れ替わるが、
企画段階ではウテナとアンシーは一つの人格・キャラだったことを知ると
二人のポジションが逆になっていた可能性も示唆しているようにも見える。

また「七実のカウベル」。
カウベルを付けて牛になる七実は、男装して王子様を気取るウテナの写鏡。
つまり牛になる七実の滑稽さは、ウテナにも当てはまるともいえる。

「七実の卵」に関しても、本作が「デミアン」を引用していることを踏まえると、
卵の一つのありようと帰結を描いているようにみえる。
(※ここで卵がチュチュのように描かれるのがなんとも…)

以上のようにウテナの七実回、ギャグ回は本筋から独立しているように見えつつも
テーマ的な所や表現的な部分では繋がっている。
むしろ別角度の照射により、作品の奥深さを与えているようにも思える。

まとめ

「少女革命ウテナ」の七実回が見せてくれたのは、
笑い的な面白さを追求しつつ、かつシリーズとして見事に収めてしまう力だった。
ウテナの物語が極めて面白かったのは、シリアスだけではなく
ギャグがアクセントとして効果絶大だったからだ。
 
シリアスとギャグの両方が際立った稀有な作品として、
そのギャグ部分を担った「少女革命ウテナ」の七実回は今でも私の心を離さない。
  
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[ 2016/05/27 22:36 ] 少女革命ウテナ | TB(1) | CM(2)

「行け!ゴッドマン」におけるゴッドマンの卑劣な衝撃的瞬間 

1972年に「行け!ゴッドマン」という特撮が放映されていた。

物語の構成は、子供を襲う怪獣や宇宙人に、ファイヤーゴッド星から
やってきた超人「ゴッドマン」が現れ子供を助け、敵をやっつける話だ。

そんなゴッドマンだが、時と場合によっては、
およそ正義の味方とは思えない攻撃手段を取ることがある。

それがこれだ↓

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これはゴッドマンがステゴジラスとアクモンと戦った回のシーン。
ゴッドマンがステゴジラスとアクモンが乗った車から二人を引きずり出し
ステゴジラスを車のドアで挟んで攻撃するのだ。しかも2回も。
「神男」の名を冠するだけあってゴッドマンはただものではない。

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他にもこの回では、ゴッドマンは少女の胸を触るなど、
ロリコンである可能性も示唆されている。まさに「神男」。 
 
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[ 2014/05/26 21:42 ] 行け!ゴッドマン | TB(0) | CM(1)

レース中の競馬場を爆破する西部警察の果てしない魅力に迫る 

本ブログも6年目に迎えました。
ここまで続けられたのも、読んで頂いている皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。

そして今回の記事は私が大好きなTVドラマ「西部警察」について。

レース中の競馬場を爆破するスペクタクルな映像

西部警察PARTⅢ24話誘拐!山形・蔵王ルート-山形篇-を視聴。
私が西部警察に本格的にのめり込むキッカケになった回である。

あらすじとしては

―山形県で武装集団が保守党幹事長の小倉を襲撃、付き添いの10名を殺害し小倉を拉致。
武装集団は身代金20億円を要求。そして大門軍団は山形へ向かう。
しかし小倉は腎臓に持病で、明正午までに人工透析を受けなければ生命の危険が迫る状態―

以上である。
しかしあらすじだけでは、この回の魅力を触れるには足らない。
この回の最大の魅力はかつてあった競馬場、
上山競馬場で行われた、大門軍団と武装集団のカーチェイスと爆破である。

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状況としては、
上山競馬場に侵入した武装集団を追跡する大門軍団を振り切るために
武装集団のボスが手榴弾を使い、大門軍団の追跡を振り切ろうとする展開。
走る馬、大門軍団と武装集団のカーチェイス、そして爆破の見事なハーモニーである。
まさに画的な魅力に溢れた、スペクタクルな映像シーンである。

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そして上記の画像を見てもわかるように、この競馬場には観客がいる。
つまり観客が競馬場のレースで行われているカーチェイスの爆破を見ているのだ。

西部警察は定期的に全国縦断ロケを敢行していた。
このロケには二つの狙いがあり、
一つは過激な表現や爆破・爆破物を求めるには、東京より地方の方がやりやすいこと。
二つ目には解離性大動脈瘤から奇跡的な生還を果たした
石原裕次郎と大門軍団の姿を地方の視聴者にもみせたい為である。

そんな過激な表現を山形の視聴者に見せたいがために
上山競馬場のレース中でのカーチェイスと爆破に至ったわけである。
今こうした事がTVドラマでできるとは中々思えない意味でも
西部警察の凄さはわかってもらえるだろう。

最後の爆破

最後の爆破も素晴らしい。

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最後、敵武装集団は大型バスを使い戦っていたのだが、
武装集団のボスが手榴弾を使おうとした時に大門が狙撃。
ボスは死亡し、手榴弾のピンが外れ、バスの中で爆破したシーン。
※バスの上空に舞っているものは身代金。

画面全てを爆破で覆うTVドラマは中々無いし、
ここまで過激で危険な爆破(主役メンバーが近くにいる点において)もそうはない。

まとめ

映像作品の目指すべきものの一つとして
私は「見たこともない映像の追求」というのがあると思っている。
そういう意味で、西部警察は競馬場のレース中にカーチェイスと爆破という
「見たこともない映像」が出来上がっているシーンだと感じる。

この「見たこともない映像」を見せてくれる作品として
私は西部警察が好きになっていった。

爆破・カーチェイス・そして銃撃戦、
西部警察の過激性とそして面白さへの追求は留まるところを知らなかった。
そんな西部警察にかける石原軍団のあくなき追求があったからこそ
西部警察は今もなお、多くの人の心を掴んでいるのだ。
 
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[ 2013/04/29 19:27 ] 西部警察 | TB(0) | CM(2)

未来警察ウラシマンのなかむらたかし作画・真下耕一演出を見て思う、作画と演出の関係。 

感想



未来警察ウラシマン #13「過去にささったトゲ」
なかむらたかし:作画監督 真下耕一:絵コンテ・演出。
来週の11/13日まで無料で見られます。

真下さんの大胆な色使いや、大人の女の描き方に感銘を覚えつつ
80年代序盤のなかむらさんの作画に惚れ惚れした13話。

アニメって、作画と演出が合致した時にその面白さを最大限発揮すると思う。
古くは世界名作劇場の高畑さんと宮崎さん・小田部さん。
ガンダム・イデオンにおける、富野さんと安彦さん・湖川さん。
他にも、機甲戦記ドラグナーや魔神英雄伝ワタルにおける福田己津央さんと中村プロ回。
最近でいえば、長井龍雪さんと田中将賀さんとか例を挙げればキリがないが、
このなかむらたかしさん作画と真下耕一演出も、この例に挙げられるだろう。

高橋良輔さんが、演出家の仕事は絵描きとなるパートナーを見つけられるかどうか
みたいな事をいっていたが、これは正にアニメ作りにとってはそうなのだろう。
演出家とアニメーターががっちり組んで作られたアニメは強い。


さてなかむらたかしさんのアニメーターの仕事といえば、
ゴールドライタン41話の大魔神の涙が代表作として扱われる事も多い。
確かに一人原画・作画監督をしているからその見方も同意できる。
ただ同じゴールドライタンのなかむらたかし作画の他の回を比べた場合、
48話の標的マンナッカーの方が大魔神の涙より面白いと私は思う。
それは話と演出の違いであり、ライタンの48話は真下さんが演出している。

48話はなかむらさん以外にも原画がいるので
なかむら純度としては落ちるのはわかるのだが、面白いのは48話。

今から見れば、子供向けフォーマットを遵守した話だった大魔神の涙と
主人公と敵幹部の逃避行からの正義の悪の相対を説く話にまで昇華し
子供向けフォーマットに踏みとどまりつつ、その壁を超えた標的マンナッカー。
私個人としては48話の方が展開も面白く、その分作画の効果も物語に跳ね返る。

今回のウラシマンを見て、演出と作画が高度にシンクロした作品は
面白いんだなぁと改めて思い知らされた。
 
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[ 2012/11/06 21:53 ] 懐かしアニメ | TB(0) | CM(0)

宇宙の騎士テッカマン11話「失われた宇宙船」(感想) 

脚本:堀田史門(酒井あきよし)
演出:鳥海永行
作画:二宮常雄
動画:井口忠一

話がまず凄い。

地球側に友好を求めてきた宇宙人をテッカマンが容赦なく撃破。
この宇宙人の生き残りがアンドロー梅田と仲良くなりながら
テッカマン=城二に復讐を誓う展開。

城二がワルダスター的ポジションに立った展開。
アメーバ星人に居場所を聞いた城二は、
アメーバ星人を逃がしつつも最後はトドメを刺す容赦無い展開。

最後は、城二が敵の宇宙船を奪った後に
生き残った宇宙人の女性に向かって「殺してくれ」と懇願。
アンドローは素直に謝ればいいのにというのに、
「素直に謝って済む事か」と意地を張る城二。
この辺りのキャラのやり取りも、救いは無く容赦ない。

台詞の一つ一つに重さを感じさせつつも、
要所で入るナレーションが効果的。


何より、鳥海永行さん演出が冴えている。
アンドローが海辺にたたずむ描写とか素敵。
あと描写というか空気感が容赦ない。
特に上でも書いた、城二がアメーバ星人を殺す所とか。

押井監督が師匠の鳥海永行さんを
「タツノコの権化のように見られているけど、実は異端だった」と評していたが、
宇宙の騎士テッカマンの鳥海さん演出回を見ていると、押井さん評もわかる気がする。
鳥海さんは他の方に比べて演出や描写が容赦ない。というか、他の回に比べて浮いている。

基本テッカマンはハード路線で、笹川さんの演出も描写はハードだけど
鳥海さんの演出は、感情的にやるせないというか、つらさまで感じさせる。
あと弟子の押井さんと一緒で、ダレ場を作るのは似ている。

あとは酒井あきよしさんってこんなにハードな話を書けるんだって所も脱帽。
全盛期のタツノコは、凄いとしか言いようがない。


ところで、ダウンタウンのごっつええ感じで「バイオハンター」という
板尾がロボコップみたいなヒ-ローに扮するコントがあった。
このコントではバイオハンターが敵を倒すシーンと、
全内容を説明してしまう次回予告だけで構成されるという変わったコント。
そしてテッカマンを見ていて思ったのが、
この次回予告のナレーションの内容というかセンスは
たぶんテッカマンが元ネタだと思うのだが、いかがか。
 
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[ 2012/06/19 23:10 ] 懐かしアニメ | TB(0) | CM(3)

The Soul Taker ~魂狩~を見る 

ニコニコ動画で配信していた
新房監督のThe Soul Taker ~魂狩~を久しぶりに見ました。
やはり良いのは新房さんコンテ回。
今見ると、シャフ度的なレイアウトも多用しているのが興味深いです。

最終回はこれでもかといわんばかりに
ステンドグラスを多用していたのが面白かったですね。
他にも、枯れ木や十字架描写も多く「あぁ新房さんだなぁ」と思い楽しんでいました。

作品的な位置づけとしては、
シャフト以前の新房さん演出を存分に堪能できる作品だと思います。
物語を語る以上に、画を見せる・魅せるビジュアル観は鮮烈な印象を与えてくれます。
そしてシャフト以前の新房さんのビジュアル観は、
鉄羅さんあってこそのものだと思います。

作品的には後半になるにつれて、
主人公伊達京介の全く救われない親族を殺し続ける展開と
1・2話以降、作画含めて制作リソースが減少し、
制作環境が厳しさを増していく事を感じさせる画作りが
シンクロしていているのが面白い。
こうした絶望的な物語展開と制作環境を厳しさのシンクロは、
旧エヴァTVシリーズにも同様の傾向が見られると思います。

後は、シリーズ構成の関島真頼さんの癖がわかった所もありました。
関島さんは、信じていたものを追い求める⇒実は求めるものがそんなに良くなかった
っていう展開が多いですね。
これはコゼットの肖像やRio-rainbowgate-でも同様な感じがします。
または母親・聖母的な存在を追い求め、克服するという展開も強いようです。

だから主題的な所に絞れば、
妹を追い求め、最終的には妹を否定しつつも救済する伊達京介と
コゼットを追い求めつつも、コゼットを克服する倉橋永莉は近いともいえます。
二人とも声優は斎賀みつきさんですし。
 
最後に。この作品は立ちふさがる家族を次々と殺さなければいけない展開は
タツノコプロ伝統のハード路線を強く受け継いだ、オマージュのように思えます。
そして新房さんは、こうしたハード路線が好きな方で
全てを振り切って男は一人生きていくという感じの作品が好きなのかもしれません。
 
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[ 2012/06/14 07:11 ] 懐かしアニメ | TB(0) | CM(0)

宇宙の騎士テッカマン 第1話「太陽の勇者」(感想) 

感想

ニコニコ動画で配信開始。

凄いなぁというのが率直な感想。
タツノコ全盛期の実力は伊達じゃない。

圧倒的な人体描写力。存在感あるキャラ造形。
アンドロ梅田とか見ているだけで良い味出しまくり。
あと柔道技を含めてアクションが小気味よい。
タツノコはよく人を回転させるけど、
あの回転が見ていて気持ちいいんだよなぁ。

演出もよくて、アンドロ梅田が地球を降り立った時
海に落ちていた猿のおもちゃの目から海の水が涙のように滴り落ちる描写とか。
カッコイイSF描写満載の中に情緒感あふれる演出。

ペガスの大きさを表現する時のPANも上手いし。

私はSFには詳しくないけど、宇宙船などのディテールが凄まじく
さらに色々な宇宙船、敵のワルダスターの描写含めてアイディア抜群。
だから画面を見ているだけでも充分に面白い。


70年代タツノコの作画と演出力は
脂の乗り切ったスタッフに支えられているなぁと改めて感じる。
時代に関係なく、充実したスタッフが作る作品は面白い。
また敵側のバックリ消えるようなビーム兵器の表現や、スキャニメイトもそうだけど、
新しい技術に貪欲な姿勢・野心を感じさせるのが、観る側を惹きつける。

演出は押井守の師匠、鳥海永行さん。作画監督は二宮常雄さん。
タツノコ的に鉄板過ぎて安心。

何より「血がたぎる」といういい方がいいのかな。
見ていて高揚感溢れる、画面作りとお話展開。
面白いとしか、言いようがないです。
 
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[ 2012/05/31 06:05 ] 懐かしアニメ | TB(0) | CM(0)

メダロット 2話「逆襲のスクリューズ」(ニコニコ動画)(感想) 

感想

決して良い話では無い、イッキとメタビーの良い話


今回は自分の言う事に全く聞く耳の持たないメタビーに対して
イッキが怒ってしまう+メタビーも怒ってしまうという
主人公と相棒の対立を描いたお話です(典型的なパターンといえるでしょう)

そんなイッキはスクリューズの再挑戦を受けるも、メタビーを転送できません。
それはメタビーがあがたヒカルに捕まっていたからです。
そして転送できないイッキは、ヒヨコおじさんと話しているうちにメタビーを見つけます。
そこでイッキがメタビーに言った言葉。言葉のニュアンスを拾うなら
「メタビーは最低だけど、俺にはメタビーしかいない」という事でした。
このイッキの想いにメタビーは心打たれます。

イッキの話した内容はひどいですが、イッキの言葉には少年特有の熱さがある。
偽善的でも無ければ、純粋な正義でもない。
等身大の少年の生々しい、精一杯の言葉がそこにありました。
このイッキの言葉には素直に感動できると感じました。

正直イッキとメタビーのやり取りは燃える展開で、
そのあとのロボトル含めカッコイイのですが、
イッキもメタビーも成長という意味では成長していないのかもしれません。
これからもイッキとメタビーはケンカし続けますし。

でも二人には見えない強い運命の赤い糸がある。
その事を感じられただけでも、2話の物語として十分でしょう。

畳み掛ける展開。そしてテンポが良い


2話を見て映像的に思ったのは、畳み掛ける展開が気持ち良い点。

各シーンごとの切り替わりがテンポ良くサクサク進み、観る側を飽きさせない。
さらにアオリや俯瞰も含めて、各ショットのアングルが軽妙に切り替わり
一つ一つがとても見ごたえがあります。
こうしたレイアウトが取れるのも、
参加しているアニメーターさんの力量があればこそなのでしょうね。

そして2話全体を見終えると、そこに残るのは爽快感。
キャラクター達の軽妙なやり取りとロボトルのアクション含め
見終えて満足したーーーという気持ちに素直になれます。

まとめ


メダロットは今見返しても本当に面白いですね。お母さん可愛いですね。
作画良し、話も面白い、山口亮太さんの熱血系のシナリオは本当に素晴らしいです。

そして本編視聴中にニコニコ動画のコメントで
「金曜の夕方6時に配信した方がイイ」のような意見もあり、
それには素直に賛同したくなりました。

フルアニMAXでは月曜:黄金バット 火曜:メダロット 
水曜ビーストウォーズⅡ 超生命体トランスフォーマー 木曜Get Ride! アムドライバー
そして金曜に人造昆虫カブトボーグ V×V と強力なラインナップです。

現在のリアルタイムで放映されてるアニメも面白いですが、
フルアニMAXで放送されているアニメも面白いので、
観ていない人は観てほしいですね。
 
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[ 2011/11/08 21:44 ] メダロット | TB(0) | CM(0)

(ニコニコ動画で公式配信)メダロット 1話「うごけ!ポンコツメダロット」(感想) 

ニコニコ動画でメダロットが配信されました。
こ、これは嬉しい!!

メダロットについて


メダロットはテレビ東京系列で1999年の7月から全52話放送されました。
もう10年以上経つのですね…。
おもちゃ「メダロット」の子供向け販促アニメで、主にコミックボンボンとタイアップ。
アニメの人気もあり、そこそこのヒットを飛ばしアニメも続編が作られました。
しかし人気は2000年中盤でしぼんでしまったようです。

メインスタッフが豪華!


スタッフ的には岡村天斎さんが始めてTVアニメで監督を務めた作品です。
シリーズ構成は山口亮太さん。つまり青の祓魔師の監督・シリーズ構成のコンビなのです。
(つまり青エクで12年ぶりに岡村・山口コンビが再結成されたわけ)

またプロデューサーに堀川憲司さん。
花咲くいろはでお馴染み、P.A.WORKSの社長さんですね。
この作品は堀川さんが関わったエヴァンゲリオンや人狼といった作品に参加していた
アニメーターさんや演出家さん達がメインで参加しています。
なので人狼=Production.I.Gやエヴァ=ガイナックス系列のスタッフが多く参加しています。

ちなみに1話のスタッフを見ても、

脚本:山口亮太 絵コンテ・演出:岡村天斎
作画監督:古川尚哉
原画:吉成曜 今石洋介 砂田茂樹 芳垣祐介 窪敏
   古賀誠 佐藤憲亮 猪口亮 上村栄司 鈴木博文

というようにガイナで活躍していた吉成さんや今石さん、古川さんがいますね。
こうした今ではビッグネームな方々の若き頃の仕事を見てみるのも良いのではないでしょうか。

また岡村天斎さんの演出を青エクやDTBと比べて見られる事や、
ビィートレインからP.A.WORKSが独立する前の作品という意味でも
とてもアニメの歴史の系譜を抑えるうえで重要な作品といえるでしょう。

感想


さて、感想ですが、
1話冒頭から悪の組織と謎の怪盗のダークなやり取り。
今見ると、DTBの世界にしか見えません。
岡村さん、昔っからこういう空気というかやり取りが好きだったのかなぁと思いました。

それにしても1話は隙が無い面白さですね!
アオリも俯瞰もアップも見事に使い分け、飽きさせない画面作り。
ギャグとシリアスの絶妙な緩急の使い分け。
(特に変な所で入るナレーションが面白い)
見事なキャラ芝居と小気味よいアクション。
何より、観ていて楽しくなってくる、気分が高揚してくるのが良いですね。

イッキがメダビーをいかにして手に入れて、いかにして動かしていくまでの
ロボットアニメにとって超重要事項である
「いかに主人公が違和感なくロボットに乗るか」を踏まえた展開になっています。
まぁこの作品では主人公はメダロットに乗りませんが、
動かすまでの展開作りという意味では同じことが言えるでしょう。
つまりイッキの行動に違和感を感じさせない作りになっています。
これが上手くできている作品は中々ないので見事です。

まとめ


また、週の楽しみが一つ増えてしまいましたね。
ニコニコ動画は黄金バットもあって、本当に良いものを取り揃えてくれます。

私としては、メダロットは本当に面白いと感じる作品なので
初めての人はぜひぜひ見てほしいですし、
忘れちゃった方も見てほしいですね!
 
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[ 2011/10/25 21:09 ] 懐かしアニメ | TB(0) | CM(0)

【宮崎駿】名探偵ホームズ5話「青い紅玉(ルビー)」【感想】 

子供の頃大好きだった「名探偵ホームズ」。ダカーポのOPとED曲が印象的でもあった。
この作品に宮崎駿が関わってた事を知るのは大人になってから。

特に絵コンテ・演出担当の5話を見返すと、躍動感のある映像で思わずため息が出てしまう。
という事で宮崎駿が関わった5話のレビューを行いたい。

名探偵ホームズ 第5話「青い紅玉(ルビー)」
脚本:片渕須直 絵コンテ・演出:宮崎駿 作画監督:近藤喜文
原画:友永和秀 二木真希子 山内昇寿郎 遠藤正明

正直、最強にも程がある面々。特に脚本が片渕須直だったのがビックリ。
「マイマイ新子と千年の魔法」の監督でようやく認知されてきたのが嬉しい。

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まずはモブシーン2つ。このシーンは市街に恐竜型の飛行機が突然現れて、
モブ(市民)が驚いている場面。モブは画一的では無く、それぞれキャラ性を持って
生き生きと描かれている。驚き方の表情も微妙に違う所にも注目。
こういうモブシーンは日本のアニメ界では一番上手いのではと感心。
モブをきちんと描くのはマンガ界でのモブの大家、手塚治虫の影響だと思う。


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敵の教授がホームズを追いかけるシーン。
細い路地からカメラを映しているが、手前中央に猫を配置するレイアウトが素晴らしい。
この猫がいるといないとでは画面の充実度や緊張感が違うのは明らか。
宮崎のレイアウトの上手さはこういう所一つとっても如何無く発揮されている。

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宮崎の食べ物に対する愛情がにじみ出ているカット。
よく見るとデタラメな料理だが、これが美味しそうに見えるのが宮崎の凄さ。
夏目房之助によると、美味しそうに食べ物が描けるかは、
技量ではなく、作家が持つ資質に影響されると言ってるが、
資質があって技量がある人が手掛けると、こうまで威力があるのだと実感。


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美味しそうに見えるだけでなく、美味しそうに食べているこの恍惚な表情。
こうした積み重ねが視聴者を魅力的な作品世界へ誘う事に繋がる。
この積み重ねが演出という仕事だと思う。

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左がヒロインのハドソン夫人。非常に可愛い。
この作品のキャラ達は犬を擬人化したデザインなのだが、
犬を擬人化したキャラが可愛いのは、特殊なセンスが無ければ成立しえないだろう。
もう一人映っている小さいキャラも含めて、宮崎の少女的趣味が垣間見えるシーンである。


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敵の教授の子分二人が自分達のアジトに帰ったシーン。
背景の描き込みが素晴らしい。どんな生活を送ると、こんなに汚くなるのか。
興味が沸いてくるカットである。こうした生活感のあるカットも宮崎のお得意技。

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ホームズが乗っている車のエンジンがショートし、煙をあげているシーン。
画面にパースをつけながら、煙を2色で立体的に見せている。
磯光雄がまだ出てきていない当時とすると立体的な部類であり、
これでも十分に表現的にも魅力的な描き方だと思う。


宮崎駿は本質的に躍動感・軽妙なアクションの人だ。
この部分が純粋に発揮されている5話は見事!!の一言に尽きる。 
この面白さは理屈抜き。

名探偵ホームズは宮崎のTVアニメにおける最後の仕事。
個人的に彼の仕事は遡れば遡るほど宮崎は凄いと感じているのだが、
このホームズまでぐらいが文句無く評価できる時期なのかなぁと改めて感じる。
全盛期は「未来少年コナン」「カリオストロの城」だとは思うが。
 
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[ 2010/06/15 23:31 ] 懐かしアニメ | TB(0) | CM(0)

地球少女アルジュナ 4話の感想 

昔の感想を発掘したので、上げてみる。
大した事書いてないけど。

書いた日は2006年2月23日

凄かった。
4話の作画監督は話通り松本憲生氏だった。ナルトみたいな超ド派手アクションではなく、
日常芝居がメインではあったが、その匠ともいえる芝居の上手さに感動。
レイアウトの取り方やジェナの走り一つ一つが本当に楽しめた。

またこれも噂どおり、話が凄かったなと。
地球環境をテーマにしてるのは聞いていたが、ここまで直喩なぶつけ方をしてくるとは。
余りの作画の出来の良さと、シナリオ(テーマ)のイデオロギッシュな
ものの両者がぶつかって異様なクオリティだった。

大塚周夫氏の演技も秀逸。
 
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[ 2010/05/30 20:00 ] 懐かしアニメ | TB(1) | CM(0)

ガン×ソードを見ました 

休日を生かして、ガン×ソードを見る。
コードギアスのメインスタッフ、谷口悟朗と木村貴宏が組んだ作品として
ギアスを紐解く材料があるのかなぁと思ったのが動機。

その動機はともかく、作品としての完成度が高く満足。
作画レベルも総じて高く、平均点では後半崩れたギアスR2より安定してると思う。
エルドラVはまさひろ山根氏が関わらなければ絶対出てこないメカ。
勿論、ダンも山根メカの権化のようなデザイン。こんなにロボットアニメだとは知らなかった。
特に3話、7話、13話、19話、24話、最終話がロボットアクション良。

話については倉田英之らしく、一筋縄でいかない変なキャラを上手く作ってるよなぁ。
書き手がキャラクターを借りて主張を代弁させるのがコードギアスなら
キャラクターの内面から台詞を言わせる印象を受けるのが、ガン×ソード。
ここが大河内一桜と倉田英之の作風の違いなのかと思った。

ギアスとの比較は、敵側がどちらも世界を一つにするという目的があって
ガン×ソードはヴァンがバカを押し通して、敵を突き破る作品だった。
一方、コードギアスはルルーシュも理屈は並べるが、無理を押し通し
シャルルやシュナイゼルもルルーシュを「愚か」と評してるから
結局ヴァンと同じで「バカ」だったのではないかと思う。
要は思考プロセスの違いだけで、考える方向は同じというか。

谷口悟朗氏は基本的に「バカ」が押し通すっていうのが作風なのかなと。
そういえば、スクライドなんかはホントにそれが顕著な感じもする。

ネタ的に種のキラみたいなキャラがフリーダムみたいなものと一緒に出てきて
キラみたいな道を歩みつつも、バトルでも言動でも敗れ去る様は面白かった。
種シリーズの当て擦りでは無いと監督も釈明してたみたいだが、
あまりにも似通いすぎて(声優も保志だし)恐ろしいぐらいだった。
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[ 2008/09/24 06:31 ] 懐かしアニメ | TB(0) | CM(2)

機動戦士ガンダムF91 

久しぶりに見た。

富野監督の作品はエキセントリックなキャラ設定に目がいきがちだが
MSという架空の存在を、さも本当に存在させてるようにみせる
演出力こそ評価するべきだと思う。

F91のクロスボーンがフロンティア4に攻め込む一連のシーンは見所だらけ。
MSの重さをも表現しきっている映像に鳥肌が立つ。
種や00はその点から見ると、動きが軽すぎて重みを感じない。

後は宇宙空間の表現の上手さが段違いなんだよなあ。
宇宙に空間があるという事をきちっと描けるのは、
富野由悠季か谷口悟郎ぐらいかなぁ。(他にもいるとは思うが)
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[ 2008/04/19 20:47 ] 懐かしアニメ | TB(0) | CM(0)

【幾原邦彦】セーラームーンR 劇場版の感想 

美少女戦士セーラームーンR美少女戦士セーラームーンR
(2004/12/10)
三石琴乃、古谷徹 他

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セーラームーンRの劇場版を久しぶりに見返し泣きました。

セーラームーンの劇場版の中、
もしくはセーラームーンのアニメ作品群全ての中で
最高の作品と言っても良いかもしれない。

月野うさぎの存在意義を脅かす大胆なテーマ設定。
音楽と映像のシンクロの見事さ。
非常に高レベルで維持し続ける作画。
(原画陣は長谷川眞也・新井浩一・須賀重行・山内則康・濱洲英喜・伊藤郁子等々凄い)
挿入歌・EDで流れるムーン・リベンジの素晴らしさ。

77分という映画としては若干短い時間ではありますが、
見事に展開が凝縮され、物足りなさを感じることは決してありません。
逆にこの上映時間が成功した理由かもしれない。

そして監督の幾原邦彦氏の演出力量の高さがひしひしと伝わります。
この方の作品には演出している人の顔が見えてくるような印象があります。
演出してるぞというスタンスが本当にかっこいい。
また映像的なかっこよさを追求する演出でなく(それも出来るのだけど)
テーマに接近する映像演出ができる非常に稀有な人だというのが私の印象です。

原作を超えるアニメはそうそう無いのですが、
この作品は原作に隠されたテーマ「月野うさぎの存在意義」を鋭く抉り
それを見事に消化した原作を超える作品です。

今更だけど、お勧めできる作品です。
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[ 2007/12/12 00:32 ] 懐かしアニメ | TB(0) | CM(1)

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