-感想-今回はゲームについて考えてみようという感じのお話。
こういったメタ的な話は大好きなので大満足でした!!桂木桂馬でも攻略するのに困難なギャルゲーがあった。
それはバグがある作品。それでも桂馬はゲームクリアを目指すというお話でした。
桂馬のギャルゲーに対する情熱をエルシィが感じる事によって、
彼女が桂馬の良さを一つ認識したというのがオチでしたね。物語途中のギャルゲー内における絶望的なループ展開は
「涼宮ハルヒの憂鬱」の
「エンドレスエイト」を髣髴とさせるものでした。
際限無きループ展開は見る側に絶望感を与えます。
この絶望的なループの中でゲーム中の出来の良い楽曲もループされることで
展開のループ、聴覚によるループという二重のループを我々に体験させて
悲壮感を向上させる仕組みにもなってしまっているのが面白い点です。また今回見せられたバグは極端すぎるとはいえ、リアリティ感じるバグの連続です。
キャラが逆さまになるというバグは無いわけではありません。
またこのおっさんは明らかに
elf(エルフ)の「臭作」さんですね。
後述しますが、こうした展開はギャルゲーをわかってるなぁと思いました。
そして本編EDは誰もたどり着けないとネットでも書かれていた、今回のゲームのED。
このEDに感動できるのは、見る側も桂馬と一緒にあのギャルゲーを
やっているような感覚にあるからでしょう。見る側にゲームを一緒にやっている追体験をすんなりできるような仕掛けを施してあるのは
シナリオと演出が巧みだからです。特に演出はゲーム的な記号的演出を多用することで
ゲームをやっているんだぞという感覚を見る側に植えつけていました。
そして何より困難なゲームほどクリアした時に得る快感がスゴイ!この事を見ている側が知っているから共感できるのです!!例えば、主人公以外死亡。主人公のHPが残り1でドラクエやRPGのラスボスを倒した時、
ノーコンテニューで残機1機で東方などのシューティングゲームをクリアした時、
ギリギリの状況や困難をクリアした時の達成感を今回は感じさせてくれました!!
桂馬のこの作品内で見せる圧倒的な明晰性や知性というのは
全てギャルゲーが源泉だと思いますが、なぜ彼がギャルゲーを選んだか。
それは
「じゃあ、空の絵は誰が見てやるんだよ」という台詞に
集約されていましたね。彼にはゲームの出来自体はどうでもいいようのでしょう。
ギャルゲーの中に攻略すべき対象がいて、その対象に共感できればそれで良いのです。
また桂木はバグから抜け出せないヒロインを助けたかったのでしょうね。
ゲーム会社は潰れ、誰もクリアできない。つまり彼女はEDを迎えられない。
そんな彼女を桂木桂馬は助けたかったのでしょう。
その気持ちは今まで登場してきたヒロイン達に対するものと全く変わらないのでしょう。
この熱意が桂木桂馬というキャラであり、彼のその情熱が前回の青井などの
キャラを攻略した、彼女達の心を揺り動かしたパワーなのでしょう。
自分の趣味も今回の桂馬ぐらいの境地にたどり着きたいものです。
閑話休題。
クソゲーオブザイヤー(KOTY)というネット界隈で有志が
今年度に発売されたタイトルの中で最もクソゲーを決めるサイトがありますが、
もしこのタイトルが実際に発表されたら、KOTYにノミネ-トとされるでしょうね。
絶望的なまでのループバグや最後の文字化けを見れる限り優勝できそうもな気がします。
ちなみに2008年のKOTYは同作品が連載中の
少年サンデーで連載された「メジャー」のゲームだったりします。
とんでもないクソゲーですね。このメジャーのゲームに興味がある方は
「パーフェクトクローザー」で検索してみて下さい。
それにしても今回はゲスト参加的なスタッフが豪華すぎます。脚本:高橋龍也
後半の劇中曲+今回のみであろうED曲の作曲:天門
予告イラスト:みつみ美里またこのゲームのヒロイン役にギャルゲー全盛時代の
申し子的声優だった櫻井智を起用したのもスタッフはよくわかっています。
まぁ高橋龍也というleafの基礎を作り、今ではleafを退社された方と
みつみ美里という現在のleafを支える方の競演はleafを知るものとして感慨深すぎます。
PC美少女ゲーム界隈でも特に著名な方たちが、この回に参加したのは偶然ではないでしょう。
今回のギャルゲーの構造を逆手に取ったようなお話だったからこそ、
この方々の起用が本編の内容と同様、メタ化されています。
特にギャルゲーの事、特にシステム面を含めて良くわかっている展開だなぁと思いながら
見ていましたが、
脚本:高橋龍也とあって
大納得!1990年代後半、
「雫」「痕」「to heart」といったleaf三部作を中心とした、PC美少女ゲーム、
ビジュアルノベルの作劇やフォーマットを作り上げた高橋さんだからこそ描ける説得性でした。
高橋氏がアニメで脚本した中ではピカイチの出来だったかもしれません。
倉田英之が高橋氏をアニメ業界に引っ張ってきた甲斐があったものです。
最後のみつみ絵もいいですなぁ~