fc2ブログ

中野英明ムチおとこ伝説~波打際のむろみさん6話 

はじめに

波打際のむろみさん6話を視聴。

絵コンテ・演出の中野英明さんによる、
出崎さん風味な演出展開とバキネタで盛り上がった展開。
海が舞台のむろみさんと、出崎さん風味な演出は相性が良い。

バキネタについては、以下2件のブログを参照。

・「波打際のむろみさん」中野英明さん演出回 - 脳は揺れても刃牙パロは揺るがない!
(さよならストレンジャー・ザン・パラダイス )
・中野英明虎王伝説(subgulic)


ちなみに私は、ひっそり仕掛けてあったドラクエネタを取り上げたいと思う。

竜宮城の使い=ムチおとこ

それは、竜宮城の使い達が地下みたいな所で酷使されているこのショット。

muromi6000.jpg

この右上にいる変な帽子とズボンを履き、ムチを操る竜宮城の使い。
おそらく彼の正体の元ネタは「ドラゴンクエストⅤ」のムチおとこであろう。

muromi6-1001.jpg
参考画像:ムチおとこ(ドラゴンクエストⅤ-天空の花嫁 SFC版)

そんなムチおとことは何者なのか。

Ⅴに登場するボス級モンスター。【光の教団】が奉ずる邪教に仕える格下の信者。上の者には刃向かえないため、弱者をいたぶることによってストレスを発散する陰険な性格をしている。奴隷を監視し労働を強制する役職にあり、名前の通りその手に持ったムチで奴隷を打ち据えている。

【ムチおとこ】
(DQ大辞典を作ろうぜ!! 第二版より)

というようにある。

上記のショットの説明が、ムチおとこの説明に援用可能であり、外見も酷似している点、
ドラクエのダンジョン感あふれる背景などを含め、彼はドラクエのムチおとこなのだろう。

muromi6-2000.jpg

この事を踏まえると、ムチおとこが現れるカットの前にあった
乙姫様とジュリアナ達はドラゴンクエストⅤの「光の教団」に相応すると考えられる。

Ⅴに登場する宗教団体。光とは名ばかりの邪教団。本部は【セントベレス山】の頂上にあり、【イブール】が大教祖を務めている。表向きは普通の宗教団体として活動しており、魔族による組織だということは知られてはいない。(中略)魔族の組織だけあって一皮剥いてみれば中身は悪の組織そのもので、神殿にやってきた信者達や各地から拐って来た子ども達を奴隷として使役させたりしている。

【光の教団】(DQ大辞典を作ろうぜ!! 第二版より)

ドラクエネタの演出意図

つまり、今回の絵コンテ・演出の中野英明さんは、
この乙姫と竜宮城の使い達をひっくるめて
ドラゴンクエストⅤにおける「光の教団」と見立てたのだろう。
そして中野さんの見立てでは、乙姫様は光の教団の教祖に相当する「イブール」であり、
竜宮城の使いは奴隷であり、またはムチおとこなのだ。

muromi6-3000.jpg
参考画像:イブール(ドラゴンクエストⅤ-天空の花嫁 SFC版)

乙姫が「光の教団」の光の部分として輝きながら
竜宮城の使い達が闇の部分として奴隷のように酷使されている。
この乙姫と竜宮城の使いの関係性/描写をドラゴンクエストⅤの光の教団に当てはめて、
上手く表現したのが上記の一連のシーンなのだ。

まとめ

ドラゴンクエストⅤのゲーム本編では主人公が魔物に捕まり、「光の教団」の奴隷として、
ムチおとこにいびられながら、10年程度使役されられる展開がシナリオ上にある。
この描写はとても印象的だったと思う。

そして振り返ると、いかに中野英明さんがドラゴンクエストⅤを理解しているのがわかる。
そして中野さんが作品を作る時のパロディの元ネタとして、
奴隷といえばドラゴンクエストⅤの光の教団と奴隷シーンの部分を引き出せるのが
ドラクエファンの私としてはたまらないのである。
 
バキネタもドラクエネタもあり、とても面白い6話だった。中野さんありがとう。
 
このエントリーをはてなブックマークに追加 follow us in feedly
[ 2013/05/12 08:42 ] 波打際のむろみさん | TB(9) | CM(1)

波打際のむろみさん3話で押さえておきたい3つの面白いポイント 

波打際のむろみさん3話が抜群に面白かった。
その抑えておきたい面白かったポイントを3点挙げてみたいと思う。

① つかみが上手かった

つかみという言葉がある。gooの辞書にも

相手の気持ちを引きつけること。また、その事柄。お笑い芸人が観客を引きつけるために最初に放つ独創のギャグ。また、講演や説明会の最初に聴衆の関心興味を高めるために話す事柄。「―のうまい芸人」

と書いてあるように、笑いを行う上で、つかみはとても重要である。

ではむろみさん3話のつかみとは何か。

muromi3008.jpg
muromi3000.jpg
muromi3012.jpg

まずアバンで、ひぃちゃんの自身のイルカ好きを説明していたシーン。
ここで何種類かのイルカが次々に紹介される。ここまでは普通の展開だ。
しかし、

muromi3009.jpg
muromi3010.jpg
muromi3011.jpg
「ムテキーーーング!!」

いきなり1980年代のアニメ「とんでも戦士ムテキング」のムテキングが脈絡なしに現れる。
この飛躍性と意外性。ムテキングの登場の瞬間に、つかみはOKなのである。
さらにこのつかみはOKのまま、OPに突入するところも素晴らしい。

ちなみにムテキングが登場できたのは、むろみさんの制作元がタツノコプロだからである。
セルフパロディに関しては、タツノコプロは寛容であり、他のタツノコ作品でも
多々見られるが、まさかむろみさんでムテキングは予想できなかった。

② 広がる舞台性~狭い空間からの開放

作品の舞台が広がっていく感じも面白かった。

「波打際のむろみさん」というタイトルだけあって、
1話は波打際が舞台で話が進み、
2話も、むろみさんがモルジブに行った場面もあったが、ほぼ波打際がメイン。
対して3話は一気に舞台が広がった。

muromi3001.jpg

水族館のイルカにいちゃもんをつけるむろみさん。

muromi3002.jpg

昔付き合っていた彼氏の回想シーン。(2億年前)

muromi3004.jpg

浅瀬

muromi3007.jpg

海底

以上のように物語の舞台が次々に変わっていったのが3話の大きな特徴。
波打際という狭い舞台から徐々に広がっていく世界への展開。

世界が広がれば、それだけ語り方やギャグにも広がりが出てくる。
1話2話の波打際という狭い空間で延々やり続けてきたタメが生きてくる瞬間でもある。

③ 絵づらが面白い

単純に絵を見ていても面白いのがポイント。

muromi3005.jpg

波打際を俯瞰しているシーンだが、
たっくんをひいちゃんとイルカが囲んでいる。
状況的にも変な点と、俯瞰している分画面から妙な達観性と客観性が伝わり
おかしみのある絵づらになっていると思う。

muromi3006.jpg

むろみさんとひぃちゃんが喧嘩し組合っているシーン。
周りにイルカがいて、視聴者を置いてきぼりにしないよう、
画面手前にたっくんを配置して、ツッコミ役として機能させたシーンだ。

どちらにしてもイルカが良い味を出している。

muromi3003.jpg

他にはむろみさんのこの表情。
出崎さん的なハーモニー的処理と、
大張正巳さんの必殺技の光る赤い目という掛合わせ技。

ちなみに大張さんの光る赤い目は下記画像を参照。
suparpbpog11003.jpg
(参考:スーパーロボット大戦OG2より、監督:大張正巳)

アニメ表現的にも面白い所が散見されるのも楽しめる。

まとめ

以上のように、むろみさん3話は面白かったポイントがあった。

他にも
muromi3-1000.jpgmuromi3-1001.jpg

むろみさんがひぃちゃんにオキザヨアタックをかける時も
わざわざ、オキザヨリの絵を一つ挟み込む点も、テンション高くて面白かった。

全体的に、ギャグ寄りな作品にいえる傾向だと思うが、
キャラクターが出揃い、キャラが立ち始めてからが
作品の面白さが出てくると思うので、4話以降でどう展開されるかを期待したい。
 
このエントリーをはてなブックマークに追加 follow us in feedly
[ 2013/04/21 09:00 ] 波打際のむろみさん | TB(8) | CM(1)

参加
カウンター
スポンサードリンク
RSSリンクの表示