-世紀末オカルト学院について-① 見るキッカケ
正直、
始めはキャラの絵柄が好みではなく、見ようかどうか躊躇してました。ただ題材が
「オカルト」という珍しい題材だったので一話を見て判断する事にしました。
そこで1話を見て、「あぁこれは面白くなるだろう」と直感的に思いました。
それはキャラも一生懸命立てようとしていた点。展開もスリリングで先の読めない点。
そして文明を裸で初登場させた事で、この作品は娯楽性で勝負しているなぁと感じました。
ちなみに絵に関しては1話を見て慣れました。
② ハマった理由
2話のマヤのフトモモにやられました。3話の美風さんのおっぱいにやられました。
以上!! つまり、1話で作品世界全体に興味を持たせる事に成功して、
さらに2・3話以降でマヤ・美風をはじめ個別のキャラの立て方に成功して
シリーズに弾みをつけたのではないかと思いました。
5・6話ではこづえを、7・8話では亜美を描き、JKなどのキャラも立てていく。
この順々の構成は見事だったのではないかと思いました。
特にこづえはコメディレリーフとして抜群に機能しました。③ 後半の展開について
後半の魔法バトル含めた怒涛の展開は、ただ作品を無難にまとめるのではなく、
どこまで面白い展開を見せられるかというスタッフの挑戦だったと思います。
そしてラストの
ヘタレ文明の覚醒を見せるために
散々に文明のドMでヘタレな描写を徹底的に描ききり、そこから転じて
文明の成長を描く事で最後のカタルシスを見せてくれたのではないかと思います。
映像的には魔法バトルや最後の文明と異生命体のバトルはビジュアル的に見応えがあり
その部分だけでも十分に楽しませて頂きました~。
④ 「親と子」について
随所に散りばめられた
「親と子」の話。
本作では「マヤ」「文明」「亜美」「あかり」の4組の「親と子」の話を描きました。
現実では、親と子は子供から思春期にかけての時期は対立しやすい、誤解を生じやすいです。
大人には大人の立場や考えがあり、精神・知性ともに未熟な状態である子供の事を
大人は容易に理解できないでしょうし、逆もまた然りです。
この誤解を生じているわだかまりを生んでいる「親と子」の関係を描き、
困難な状況を「親と子」で立ち向かうとき、またお互いを本当に知ろうとするときに
最後は「親と子」の和解ができる事を描こうとした作品だったと思います。
その中で
「スプーン」や
「手帳」といった小道具が有効に機能していたと思います。
⑤ 「オカ学は演出アニメ」
作画が突出しているアニメを「作画アニメ」と呼ぶ事があります。
本作は
「演出アニメ」ではないかと思っています。
素人なので直観的な言い方ですが、演出力が高かったのではないかと考えています。
特に文明と美風のディープキスから指フェラといった展開は
描写の一つ一つが懲りすぎ、キャラの心情が手に取るようにわかるという意味で
扇情的すぎてまさに
「エンシュツノチカラ」を思い知らされました。
「演出アニメ」というのは参加スタッフに現れていると感じました。
山本沙代さん、矢島サコ美さん(宮地昌幸)、平川哲生さん、中村亮介さんといった
監督級の勢いに乗っている演出家さんを沢山参加させていたからです。
ところで、9話の絵コンテをした京田辺さんは一体誰なのでしょうか。
⑥ その他思いついたことを箇条書き
・EDの映像が好きです。そして高垣彩陽さんのED曲が素晴らしかった。
また本編とのシンクロする歌詞に泣けます!!
・高垣彩陽さんの演技が良かった。亜美がたまにみつばさまのようにも聞こえました
・マヤパパの矢島正明さんの演技はこれまた格別。聞き入ってしまう声です。
・日笠陽子さん、花澤香奈さん、小林ゆうさん、茅原実里さんの演技も良かった。
・美風さんのおっぱいはシリーズ通して凄かった。
⑤ 最後に「オカルト学院が描きたかったもの」
「繋いだ手は信じてるよ」 「君がいる場所(本作ED)」の歌詞より抜粋)最終話。全てが終わり、マヤが子供の文明と手を繋いだショットです。
上の歌詞を連想せずにはいられない場面です。
この絵を描きたいが為にこの作品があったのかもしれません。
また先ほど挙げた「親と子」のお話。
そして文明とマヤ、もともとは出会う事が無い二人が出合い、そして繋がる奇跡。
これらを全て繋げてメッセージという形だけでなく、ビジュアルで伝えようとしたのが
「世紀末オカルト学院」だったのではと思います。
-アニメノチカラとは一体なんだったのかー
① オリジナルアニメの製作・制作の難しさ
アニプレックス×A-1pictuersが3クールに渡ってお送りした
「アニメノチカラ」。オリジナルアニメを1クール×3本という試みは非常に野心的であり、
今、勢いに乗っているアニプレックスだからこそ出来たのだと思います。
オリジナルアニメというのは企画を通すのも制作するのも難しいというのが通説です。
まず準備に何年も費やします。例えばゼーガペインは4年とのことです。
世界観・キャラ・設定を無から作り出さなくてはいけない。
原作も無いので実績が無い、知名度も無い。その為スポンサーもいない。
正にナイナイづくし。全てが無から作り出されるのがオリジナルアニメです。
そして担保も無く、何年もの信念のみで作らなくてはいけないものなのです。
オリジナルアニメを1クール作り、放送するには
何億という費用が発生すると言われています。正直、博打以外の何物でもありません。それを3クールで3本も試みたアニプレックスはいくら投資したのでしょうか。
そして準備期間とマンパワーはどれだけ必要としたのでしょうか。
「玖足手帖」さんの記事で
最近の深夜アニメは基本的に12回くらいで打ち切り決定で人気が出たら続編やゲーム、
というジャンプシステムをさらに残虐にした感じなので、きちんとしたドラマを求めるのは絶望的だ。という内容がありました。
正にその通りだと思います。
今ほどアニメが物語を語ること、ドラマを作る事、そして物語を終わらせる事に
困難を迎えている時期は無いのではないでしょうか。
例えば、
「学園黙示録」「ストパン2」「セキレイ」などは
設定や展開に含みを残したまま途中で終わってしまう作品だったと感じました。
そんな中、「私は閃光のナイトレイド」は見ませんでしたが、
「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」「世紀末オカルト学院」は1クールで
オリジナルアニメでありながら、ドラマを物語をきちんと語り、畳もうとした
スタッフ達の誠意がとても伝わってきたように感じられました。
このスタッフの情熱こそ評価したいです!!② 売れる事の難しさ
「作品」の評価と「商品」の評価は同じように見えて別なのが現状です。「ソラノヲト」は1巻のBD売上本数が
「3423本」2巻が
「3126本」という数字です。
健闘をした数字だと思います。
しかし
「閃光のナイトレイド」は1巻
「587本」、2巻以降は数字が出ないという状況です。
ここで1巻の売上枚数を基準にして、売上を出してみたいと思います。
(この数字はあくまで売上を考える上の参考程度に留めてください。
あくまで一視聴者の素人の戯れだと思ってください)
まず
BDの価格が6500円(税抜)ですので、587(本)×6500(円)=
381万5500円です。
全7巻ですから、3,815,500円×7(巻)=
総額2670万8500円になります。
これがBDが全館売れた場合の売上の合計になります(あくまで参考数字です)
1クールに数億の投資を必要とするアニメ制作・放映に対しては厳しい数字です。
まぁこれにDVDの本数や関連商品も入ってきますから、一概にいえないですが、
問題はこの売上総額を小売店や卸問屋にも分配しなくてはいけませんから、
製作・製作先にはこの総額以下の金額しか入ってこないという事です。
DVD・BDを合わせて一巻あたり3000本売れると投資分を回収できるといわれています。ソラヲトはこの数字をBDのみでクリアしていますが、
ナイトレイドは相当に売れていない現状。
問題はアニプレックスがこれら数字で満足しているのかでしょう。
「アニメノチカラ」がオリジナルアニメ3本やるという心意気を考えると、
もっと大きなヒットを狙っていたのではないでしょうか。
旧エヴァンゲリオンが大ヒットした当時の庵野監督の発言を引用します。「当てたアニメは無い、当たったアニメがあるだけ」これは作品のヒットは必然ではなく偶然という意味合いでの発言と解釈できるでしょう。
作り手側とすれば、作品のクオリティは判断できるのでしょうが
何故売れたのかについては、中々把握できないのではないかという印象を持ちました。
それだけアニメにおいて、いや映像作品で一発ヒットを当てるというのは
誰にも予想ができない難しさです。これはハリウッドで顕著に現れていると思います。
最後に
「世紀末オカルト学院」の売上はどうなのでしょうか。これも気になります。
③ 最後に
「アニメノチカラ」はこの3本をもってひとまず終わりです。
「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」「世紀末オカルト学院」ともに面白く満足しています。
しかし今後はオリジナルアニメはどうなるのでしょうか。売れ行き的には厳しさも見せている中、オリジナルアニメが作れる環境にあるのか。
制作者の中から不景気で厳しいという意見も聞かれます。
また視聴者がオリジナルアニメを本当に望んでいるのかという部分もあります。
そんな作り手・受けての考えや思い、世情などを考慮して
今後アニメを見るのも面白いのかもしれません。最後に。
「アニメノチカラ」は感じられましたよ。
ありがとうございました!!