はじめに
劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>を視聴。
「変わるもの・変わらないもの」を軸に
変化目まぐるしい大都会新宿を舞台に
絵作り(トンボが象徴)・時間の流れ方・声優・楽曲、
何よりEDの止めて引くも含め
当時のTVシリーズ”まんま”のように作った作品。
(変わる新宿、変わらない冴羽獠と香の関係)
当時の”まんま”で作ることで、
「変わるもの・変わらないもの」が浮き彫りになり
ただのノスタルジーだけで終わらない作品になった。
一方で往年のファンの期待に応えるものに仕上がった。
このCH劇場版に最も近いものといえば、2008年のwiiやPS3の時代に
ファミコンみたいな絵・音で作られたロックマン9かもしれない。
劇場版で”まんま”ができた理由
CH劇場版の"まんま"ができたのは、
総監督がこだま兼続であること。
企画・製作側によみうりテレビの諏訪道彦と
スカイフォールの植田益朗(TV版当時:サンライズ)の存在が大きい。
この事をTVアニメ史からみてみたい。
まずTVアニメ シティハンター(CH)(1987年)の位置づけを
4つの点から振り返り当時のこだま兼嗣・諏訪道彦・植田益朗の
3人の立ち位置を明確にしたい。
①ロボットアニメのサンライズがロボットアニメで低調傾向にある中
ミスター味っ子と共に漫画原作に乗り出し成功したこと。
サンライズの新規路線につながった。
②よみうりテレビ(諏訪道彦)とサンライズ(植田益朗)の関係が構築され
ガンバリスト!駿・犬夜叉・結界師といったアニメの制作につながる。
③監督としてのこだま兼嗣とよみうりテレビ(諏訪道彦)の引き合わせにより
後の名探偵コナンに繋がる。
④サンライズの植田益朗班(3スタ)に
東京ムービー系のこだま兼嗣・北原健雄・青木悠三が参加した事。
こだまはその後もアイカツシリーズ等でサンライズ系の作品に参加。
北原もガンダムF91の作画監督で参加。サンライズの人脈の幅が広がった。
以上のように、TV版CHはサンライズ的にもよみうりテレビ的にも
後の仕事と人のつながりのスタートとして大きな役割を果たした。
またCHは当時若かった諏訪・植田にとっては成功した企画であり
引いては思い入れ深い企画になったようだ。
TVシリーズから30年たって…
そしてCHは1987年から1999年の間に
四つのTVシリーズ150話と三つのTVスペシャルの放送。
三本の映画を製作する人気シリーズに成長した。
このあと2019年に至る間、
よみうりテレビの諏訪道彦は一貫してアニメ畑で
名探偵コナンの商業的成功も含めて
多くの漫画原作アニメの企画を手がけてきた。
TV局側のアニメプロデューサーの第一人者になったといっても過言ではないだろう。
植田益朗はサンライズからA-1 Pictures及びアニプレックスの社長となり
多くのアニメ作品を世に送り出してきた。
A-1及びアニプレックスは植田が在籍する間に大きく成長した。
こだまは今日の名探偵コナンの成功の礎をなし、多数の監督を務め
70近くなった今もコンテを切っている。
三人とも30年間アニメ界の一線であり続けた。
この事が劇場版シティハンターの企画実現につながったと思う。
かつてアニメ化されたものが再アニメ化されること、
再アニメ化で往年の制作スタッフが参加することは決して珍しくない。
ただ劇場版CHのように諏訪・植田といった企画側の二人が
変わらずに企画として参加するのは珍しいのではないだろうか。
その二人がこだまを総監督として再び組んで制作したからこそ
当時の”まんま”ができたのではないだろうか。
またTV版で作画監督を務めた高橋久美子がキャラクターデザインとして
参加できたのも大きかったのかもしれない。
さらにEDではちゃっぴぃこと武井良幸が撮影をしているが、
武井はTVのCH3でサンライズの制作進行。植田は当時の上司。
当時の制作進行が30年近い時を経て、EDの撮影をするのはどのような心境か。
まとめ
以上振り返ってみたが、企画側に理解があり力のある方がいると
作品製作で大きな力になることが改めて思い知らされたのが劇場版CHだった。
時間は確かに流れた。アニメ製作も制作も変わり、かつての若者達はベテランになった。
声質も変化はあった。その中でも変わらないものもある事を教えてくれた作品だった。
チュートリアル徳井と小室哲哉
余談として劇場版CHで2019年の芸能界を振り返れる。
まずオカマのコニータの声優が法人所得無申告で話題のチュートリアル徳井な点。
ずっと所得を無申告でいて、指摘されて支払う点では”変わらない”が、
芸能活動を自粛に陥った点で”変わった”といえる。
またED Get Wild 作曲の小室哲哉が妻KEIKOと離婚調停中な点。
小室はKEIKOと別れて、家庭環境が”変わろう”ともしているが
一方で小室は結婚・離婚を繰り返している
新しく出会う女性に目移りしてしまう点では”変わらない”といえるし、
その女性好きは冴場にも通じるもっこりである。