TVアニメは「作品」でもあるが同時に「商品」でもある。
「作品」は芸術性や文化的な芸術的価値が求められ
「商品」は売上げや訴求力といった商品価値が求められる。
特に映像作品そのものを商品対象とするアニメはより強く商品性が求められる。
DVDの売上+製作委員会方式+深夜放送(UHF)のセットが
マニア・オタク向けアニメの主流で、このセットが崩壊、つまり儲けられなくなって
ビジネスモデルとして崩壊するのではという危惧を抱いている人もいるだろう。
内部情報的な話によると半分以上の作品が赤字であり黒字の作品の利益を
補填して制作されているのが現状みたいである。
であれば、本数を減らせばいいのではないか。
そうすれば作品の質も上がると考えるのも一つの意見だ。
しかし数を減らしたからといって、黒字作品が増える保証は無い。
むしろ数多く出せば当たる(人気がでる)可能性が上がる方を出資者側は志向するだろう。
特に人気アニメは人気原作に支えられる側面が強く、
オリジナルアニメの企画が博打的とまで言われる昨今、
人気作品をアニメ主導で作り上げるのは中々に困難だ。
黒字作品=人気作品=商品価値のある作品を生み出すために
数多くの作品が商品価値的犠牲(赤字)の屍を築いているのが現状だろう。
もし映像メディアが売れなくなったら、どうなるのだろうか。
HDレコーダーやネットの画質で充分なら映像を買う必要性は薄くなる。
現に作品ソフトは特典映像やグッズといった付加価値をつける傾向が強い。
つまり作品単体では売れなくなっている傾向が出ているのは確かだ。
一方、数の多さは「作品」の側面から見ればそれだけ表現の数が多くなるので、
スタッフのスキルの上昇などに繋がっている側面もある。
日本映画が質量ともに全盛だった1950年代は毎週毎週何本も公開される勢いだった。
つまり質を上げるためにはその下に数で支えないといけないのである。
TVアニメは土台のTVそのものが大きく揺らぎ始めている。
不況もあってかTBSやテレビ朝日は赤字に転落し衰退の兆しが見える。
TVの力が弱まれば、それだけTVアニメの力も弱まる。
弱まった場合、TV放映をプロモーションとして映像ソフトを売ってきた
今までのスタイルは成立するのだろうか。