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今後のTVアニメはどうなっていくか その5 

そもそもTVアニメって何なのだろうか?
アニメと一概に言ってしまうが、それはアニメという表現形式なのか
それとも日本の商業アニメーションの事を指しているのか。
アニメと言っても、クレイアニメや紙アニメ、ヨーロッパ圏の芸術性の高いアニメもある。
でも多分、私の興味としてあるのは日本のTVで放映される1話20何分かを何クールかで
放送される、ある程度のお話がある商業アニメーションなのだろう。

今後はネットに可能性があるのではないかと言ってたが、
実際にはネットではyoutubeでは「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」と「にょろーんちゅるやさん」
ニコニコ動画では「天体戦士サンレッド」他には「ヘタリア」が放映されている。

これらに言えるのは、ギャグというかコメディ色が強い短編形式と言う事だ。
ちゅるやさんなんて、1本の平均放送時間は2分ぐらいしかない。
おそらくまだ20何分の時間、そしてちゃんとした話をやるには
色んな意味でリスクが大きいといえるのだろう。

ただTVでアニメをやるからには20分という制作時間が必要とされるが
ネットは制作時間の制約が無い点でゲリラ的な企画、
1本あたりの尺が短い原作が重宝されそうな気がする。
今までは面白かったが、TVという尺の都合上制作しづらかった作品が日の目を見そうだ。

サンレッドは毎回の視聴者数は10万人を超え、成功した作品といえる。
大事なのは媒体が何であれ、面白い作品を提供できる事だろう。
ただ一方で媒体の特性を掴みながら、作品制作する目も必要だと思う。
サンレッドは1話15分弱で気易く面白く見られた内容がニコニコ動画の層と
マッチしたからこそ、多くの再生数に繋がったと思う。

TVはマスを狙ったまとまったお話が作品。
ネットはゲリラ的な層を絞った短編的な作品。

というような棲み分けが今後起こるのだろうか・・・?
いづれにしてもネットというのは、何かをしながらとか、ながら見になりがちなので
簡単な話やギャグみたいなのが相性がいいのかもしれない。
  
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今後のTVアニメはどうなっていくか その4 

TVアニメは「作品」でもあるが同時に「商品」でもある。
「作品」は芸術性や文化的な芸術的価値が求められ
「商品」は売上げや訴求力といった商品価値が求められる。
特に映像作品そのものを商品対象とするアニメはより強く商品性が求められる。

DVDの売上+製作委員会方式+深夜放送(UHF)のセットが
マニア・オタク向けアニメの主流で、このセットが崩壊、つまり儲けられなくなって
ビジネスモデルとして崩壊するのではという危惧を抱いている人もいるだろう。
内部情報的な話によると半分以上の作品が赤字であり黒字の作品の利益を
補填して制作されているのが現状みたいである。

であれば、本数を減らせばいいのではないか。
そうすれば作品の質も上がると考えるのも一つの意見だ。
しかし数を減らしたからといって、黒字作品が増える保証は無い。
むしろ数多く出せば当たる(人気がでる)可能性が上がる方を出資者側は志向するだろう。

特に人気アニメは人気原作に支えられる側面が強く、
オリジナルアニメの企画が博打的とまで言われる昨今、
人気作品をアニメ主導で作り上げるのは中々に困難だ。

黒字作品=人気作品=商品価値のある作品を生み出すために
数多くの作品が商品価値的犠牲(赤字)の屍を築いているのが現状だろう。
もし映像メディアが売れなくなったら、どうなるのだろうか。
HDレコーダーやネットの画質で充分なら映像を買う必要性は薄くなる。
現に作品ソフトは特典映像やグッズといった付加価値をつける傾向が強い。
つまり作品単体では売れなくなっている傾向が出ているのは確かだ。

一方、数の多さは「作品」の側面から見ればそれだけ表現の数が多くなるので、
スタッフのスキルの上昇などに繋がっている側面もある。
日本映画が質量ともに全盛だった1950年代は毎週毎週何本も公開される勢いだった。
つまり質を上げるためにはその下に数で支えないといけないのである。

TVアニメは土台のTVそのものが大きく揺らぎ始めている。
不況もあってかTBSやテレビ朝日は赤字に転落し衰退の兆しが見える。
TVの力が弱まれば、それだけTVアニメの力も弱まる。
弱まった場合、TV放映をプロモーションとして映像ソフトを売ってきた
今までのスタイルは成立するのだろうか。
 
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今後のTVアニメはどうなっていくか その3 

今回はTVアニメがどうなるかという話とはちょっと違う話です。

TVアニメ、、もしくは日本のアニメの弱点の一つに
若い世代向けの作品は充実しているのに、
おっさん・お年寄り向けアニメになると少なくなってしまう点にある。

私が見ている「けいおん!」や「咲」は中学から大学生、若い社会人が
メインターゲットであろう。オタク市場はその年齢層をターゲットにしているので。
でもそれ以上の30代以上向けの作品は数が限られてくる印象だ。

マンガであれば、30代以上の世代もターゲットにできる作品があるが
(ベタな例えだと島耕作やゴルゴ13。雑誌単位ならモーニングやビックコミック系)
アニメは30代以上にアピールできる作品が少なくなってしまう。

想像してしまうのだが、このままアニメをずっと見続けて
40もしくは50代になっても、20歳未満のキャラが多い作品を見続けるのは
年齢とのギャップもあり厳しいのではと考えてしまう。
実際にそう思いアニメを見るのが辛くなってる方はいるのかもしれない。
さらに作風も若い世代に合わされるので、価値観的にもきつい可能性は高い。

例えば、私は子供の頃は少年ジャンプが大好きだったが、
今は殆ど読まなくなってしまった。同世代にも読まなくなった人は何人かいる。
子供の頃好きなものが、大人になると手から離れてしまう事って結構ある。
アニメでもそういう現象が起こってるのではないだろうか・・・。

だから50歳の人間が見ても厳しくないアニメが出てくれば
アニメの層の拡大に繋がるような気もするのだが・・・。
でも実際にゴルゴ13はアニメ化されたし、企画は需要や無いわけではなさそうだ。
ただそれがアニメ好きを上手くフォローできるまでには至ってないかもしれない。

ただ話はもっと単純で、アニメでむさ苦しい、おっさんやおばさんなんか必要とされず
美少女もしくは美系男子が出ていないと、見向きもされないのかも。
  
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今後のTVアニメはどうなっていくか その2 

TVアニメの本質について語る時、
富野由悠季と押井守のこの対談が非常に印象に残っている。

押井 ドラマはドラマで好きなんですよ。好きなんだけれども、ドラマということを目指すのであれば、僕は映画という形式よりはテレビシリーズのほうがいいような気がする。

富野 いいカンしてますね!僕は今回の『Vガンダム』で初めてそれがわかったのだもの。本当の意味のドラマをやろうとすると映画の2時間なんていう時間では短編しか、かすめるくらいにしかできないのに比べ、テレビの週1回ペースというのは腹がたつ実状だけれども、実はあの時間がいるんですよね。


「アニメージュ」1993年6月号より抜粋

TVアニメがドラマに適する媒体だという事を富野も押井も認めている。

TVアニメの週1本○クールというスケジュールはキャラを徹底して描けるし
そのキャラクターからテーマを引き出す事もできる分量だ。
また作り手とすれば作品の方向性が逸れてしまっても軌道修正する事もできるし、
逆に言えばそういう方向性のズレも視聴者として楽しむことも可能だ。

この対談から10年以上経ち、ドラマを本質とする作品以外にもTVアニメは
らき☆すた、のような普通のドラマとはちょっと違う作品も誕生し
必ずしもドラマを本質とする作品だけでは無くなってきた。

これは視聴者側にもドラマ的充足を求めるだけではなく、
いわゆる「祭り」のような部分に期待する視聴者が増えて来ているからだろう。
なぜ視聴者が「祭り」を期待するかという部分について
多分色々なブログで言及されていると思うのだが、
それは視聴者がコミュニケーションを切に求めているからだろうと思う。

特に昨今はアニメの本数増加で顔見知りの友達がそのアニメを
見てるとは限らない。むしろネットで同趣味の人を探す方が簡単な状況だ。
しかし話すにしてもとっかかり(フック)が無いと中々話せない。
そういった話を振る話題として機能するのが「祭り」なのだと思う。

今期はけいおん!が相当うまく「祭り」を引き起こしていると思う。

一方でドラマ的な作品も当然無いわけでは無く(私の中で最近ではとらドラ!)
現代的なドラマを追求し提供する作品はこれからも出てくるだろう。

何にしてもTVアニメの面白い所は時代性を掴んでしまう所にある。
それはTVの「エヴァ」が見事なぐらいに時代とシンクロしたように。
 
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今後のTVアニメはどうなっていくか その1 

すごい大それたタイトルですが、今回はこのお題で書いてみようかと。

まずTVアニメについて語るとき、TVが今後もメディアの中心でいられるか。
そしてネット配信によるビジネスモデルが構築できるかという点が注目される。

今まではTV放映がプロモーションの場として、昔ならおもちゃ、今なら映像ソフトを
購入させる仕組みだったのだが、少子化によっておもちゃを売る為のアニメは
「ガンダム」や「プリキュア」ぐらいになり少なくなっていっている。
一方、映像ソフトを売るアニメは製作委員会によるマニア向けのコアな企画を中心とした
作品を提供することで、深夜放映を中心に多くの作品を発表している。

しかしTVはネットに押されているのは明らかだ。さらに若い層になればなるほど、
より一層良くも悪くもメディアはネット中心になっていくだろう。
技術革新によってケータイでアニメをもっと簡単に見られる日も来るかもしれない。
こうしたTVが衰退した場合、アニメの放映の土台そのものを崩壊させる可能性がある。

TVアニメは週1本の○クール放映が中心であるが、
ネット配信でこうした放映形態も変わるかもしれない。月に1本とか。
こうした視聴者の視聴形態の変容はアニメの作り方も変えるだろう。
例えば、移動しながら見ても内容が頭に入るアニメとか。

あくまで仮定の話だが、現実は何が起こるかわからない。
数年前にニコニコ動画でアニメを見ながら感想をつけるというシステムができると
誰が予想できたのだろうか。ネットではこれ以上のサプライズが
今後起こりえる可能性は十分にある。

アニメはこうした技術革新やメディアの変容により注意深く関心を払う必要がある。
これらの変容は間違いなくお話や作画も含めた作品の質に大きく関わるはずだから。
それ以上に視聴者の価値観が変わるであろうから。

続くかもしれません。
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