サッカーコラム J3 Plus+　

■　中央調査社の調査結果

世論調査・市場調査の専門機関である「中央調査社」は定期的に「スポーツ」に関する全国意識調査を実施している。質問内容はずっと同じで変わらず。「好きなスポーツ選手は誰ですか？」、「好きなスポーツは何ですか？」などなど。調査結果が発表されたときは「イチローが○○年連続で1位」、「○○が2位にジャンプアップ、「○○が初登場で5位に入った。」などメディアでも大きく取り上げられる。

今回、着目したのは「好きなスポーツ選手は誰ですか？」という質問について。ネット上では1994年以降のトップ10を確認することが出来たが、1994年は横綱の若乃花で、1995年はプロ野球の長嶋茂雄さんで、1996年はプロ野球のイチローで、1997年から2000年までは長嶋茂雄さんで、2001年と2002年はイチローで、2003年と2004年は松井秀喜で、2005年から2013年までは9年連続でイチローだった。

イチローの10連覇を阻止したのはフィギュアスケートの浅田真央で2014年に1位に輝いた。1994年以降で女性アスリートが1位になったのはこの年の浅田真央のみ。2015年はテニスの錦織圭が初めて1位に輝いたが、2016年は再びイチローが頂点に立った。結局、23年間でイチローが13回も1位に輝いており、長嶋茂雄さんが5回で2番目。松井秀喜が2回で、若乃花と浅田真央と錦織圭が各1回ずつだった。

■　ランキングの様相が変わって来た。

アメリカのメジャーリーグでも伝説のプレーヤーになったイチローの人気がすさまじいことになっているのは一目瞭然である。ONと呼ばれた長嶋茂雄さんや王貞治さんに匹敵する国民的なスーパースターと言える。下に各年度のランキングを示しているが、90年代はプロ野球選手が多く名を連ねている。00年の中盤あたりまではベスト10のうち、6名ほどが野球関係のアスリートになることも珍しくなかった。

ただし、松井秀喜のメジャーリーグ挑戦や2004年に勃発した球界再編問題などをきっかけに野球人気が低迷。かつては当たり前だった巨人戦の地上波での生中継が激減したことも絡んで国民の野球離れが進んでいることが大きく関係していると思うが、00年代の終盤あたりになるとフィギュアスケートやテニスやゴルフなど野球以外のスポーツから国民的なスター選手が出現してランキングの様相も大きく変わった。

最新の2016年のランキングでベスト10に入った野球関係者はイチローと大谷翔平と長嶋茂雄さんの3人だけ。時代が大きく変わったことがよく分かる。そんな中、現役から退いてからすでに何十年も経過しているにもかかわらず、未だにランキングに顔を出す長嶋茂雄さんと王貞治さんの2人はある一定以上の年齢の日本人にとって別格の存在と言える。両名とも「不世出のスーパースター」と言える。