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【J1】クラブ別の2016年の夏の選手補強の評価 (サンフレッチェ広島・アビスパ福岡・サガン鳥栖編) | | |　

サンフレッチェ広島　・・・　B+

→　1stステージは8勝4敗5分けで4位。ACLの負担があったことを考えるとまずまずの順位と言えるが最終的には優勝した鹿島との差が「10」。開幕前は『優勝候補の一角』と言われていたことを考えるとやや物足りない成績だったとも言える。巻き返しが期待された2ndステージは6節終了時点で2勝2敗2分け。首位の川崎Fや2位の浦和との差は早くも「8」。2年連続での2ndステージ制覇は難しくなってきた。

今夏の最大のニュースはFW浅野拓のアーセナル移籍と言える。最終的に移籍先がアーセナルに決まったことは大きな驚きだったが、今夏にFW浅野拓が抜けることはある程度は予想できた。FW皆川やMF宮吉やMF茶島など若くてFW浅野拓の穴を埋めることが出来そうな選手が何人いるので「FW浅野拓の後釜となる選手の補強は必要ないのでは？」という見方もあったがブラジル人のMFアンデルソン・ロペスを獲得した。

6節のG大阪戦(A)でデビューを飾ったが25分ほどのプレー時間で5本のシュートを放った。ミドルシュートに自信を持っているようで左足はパンチ力がある。サイズもあるので仙台のFWハモン・ロペスに雰囲気が似たところもあるが、MFアンデルソン・ロペスは基本的な技術も高くて繊細なパスを出すこともできるタイプと紹介されている。2シャドーの一角として広島のサッカーにはまりそうな雰囲気はある。

優秀な選手を獲得できたと思うが他にはDF野上(横浜FC)を獲得した。DF佐々木翔とDF水本が揃って離脱中。さらにはDF塩谷が五輪代表に選出されて不在なのでCBで相当に苦労していることを考えるといい補強と言える。今シーズンは怪我もあってスタメンを外れる試合が多くなっていたが「J2でプレーする日本人CBの中では屈指の有望株」と言われていた選手なので早くチームに馴染むことが期待される

アビスパ福岡　B+

→　2ndステージの6節が終了した時点で年間順位が最下位と「J2降格」の危機にある福岡は即戦力となる選手の補強が必要だったがMF三門(横浜FM)とDF駒野(FC東京)の獲得に成功した。前者は完全移籍、後者は期限付き移籍となるが、MF三門については新潟と横浜FM、DF駒野については広島や磐田といったJ1の有力クラブで長い間、レギュラーを張って来た選手なので非常にいい補強が出来たと言える。

さっそくMF三門はボランチ、DF駒野は左SBで起用されているが、MF三門は運動量が多くて意外性のある選手である。既存のボランチのMF鈴木惇やMF末吉やMFダニルソンとは全く違ったタイプの選手であり、場合によっては2列目や右SBでもプレーできる。今シーズンはあまり出場機会がなかったが2015年は横浜FMで主力として活躍してきた選手なので完全移籍で獲得できたのはラッキーだったと言える。

一方のDF駒野は説明無用の元日本代表のSB。五輪期間中は左SBのDF亀川が抜けることが確定的だったので「SBの補強は不可欠」と言えたが経験豊富なDF駒野を獲得することが出来た。今シーズンは怪我の影響もあってFC東京で出場機会は限られたが右SBでも左SBでもプレーできる選手でプレイスキッカーとしても期待できる。「考えられる中では最上級」と言えるサイドバックを獲得できたと言える。

MF三門とDF駒野を獲得できたのは大きな成果と言えるが新加入選手はこの2人だけ。今夏にチームを離れた選手はゼロなので入れ替えは最小限にとどまった。攻撃陣はFWウェリントンが怪我を抱えていて、ターゲットマンのFW中原貴は怪我で長期離脱中。アタッカー系の選手は質も量も十分であるが長身フォワードの補強があっても良かったのではないか。試合の流れを変えることができるカードが欲しかった。

サガン鳥栖　A+

→　1stステージは4勝8敗5分けで15位と低迷したが、2ndステージはここまで4勝2分けと優勝争いに絡んでいる。1stステージは17試合で5ゴールだったエースのFW豊田が2ndステージに入ってからは6試合で4ゴールと量産体制に入っており、若手のMF鎌田も存在感を発揮し始めている。大卒2年目のMF福田晃の活躍はサプライズの1つで、中盤の左サイドでレギュラーポジションを確保しつつある。

守備陣もGK林彰洋を中心に安定しているので最後まで優勝争いに絡んでくることが期待されるが、夏の移籍市場がオープンになった時期は残留争いに巻き込まれていたことも関係しているのか、選手の入れ替えは激しかった。日本人選手ではMF楠神(→ウェスタン・シドニーワンダラーズ)、DF菊地直(→札幌)、MF岡本知(→湘南)、MF中美(→金沢)、DF丹羽竜(→千葉)、DF坂井(→長崎)がチームを離れた。

さらには外国籍選手のMF崔誠根(→FC岐阜)とMF白星東(→長崎)もチームを離れており、生え抜きのFW平は5月にJ2の群馬に育成型期限付き移籍しているのでFW平を含めると総勢で9名。この中ではMF楠神だけが完全移籍で、他の8人に関しては期限付き移籍となるが、これだけ多くの選手がシーズン途中でチームを離れるというのはかなり珍しい。J1の18クラブの中ではもっとも動きが激しかったクラブと言える。

新たに加入したのはDF青木剛とFWムスタファ・エル・カビルとMFアイメン・タハールの3人。FWムスタファ・エル・カビルはストライカーで、MFアイメン・タハールはチャンスメーカー。外国人2人は実績のある選手なのでチームにハマると面白いことになる。特にFW豊田のパートナーとなる選手のゴール数が伸びてこないのでFWムスタファ・エル・カビルがスタメンで起用されてゴールを量産できると面白くなる。