■ J2の第31節J2の第31節。8勝13敗9分けで勝ち点「33」の愛媛FC(18位)と、11勝10敗9分けで勝ち点「42」のモンテディオ山形(10位)がニンジニアスタジアムで対戦した。J2は30節を終えた時点でプレーオフ圏内の6位に位置する大分の勝ち点「45」なので、10位の山形との差は「3」で、18位の愛媛FCとの差は「12」となっている。ともに勝ちたい試合である。
ホームの愛媛FCは「3-4-2-1」。GK児玉。DF村上佑、林堂、浦田。MF渡邊一、村上巧、ハン・ヒフン、三原、堀米、河原。FW西田。1対2で惜敗した天皇杯の4回戦の大宮戦(A)から中3日となる愛媛FCはこの日が28歳の誕生日となるFW西田が1トップのスタメンで起用された。右WBには高さのある韓国人のMFハン・ヒフンが起用された。
対するアウェーの山形は「3-4-2-1」。GK山岸。DF舩津、石井秀、當間。MF松岡、宮阪、山田拓、石川竜、中島裕、ロメロ・フランク。FWディエゴ。先日の試合から3バックを採用しているが、この日も継続して3バックを採用してきた。1トップのFWディエゴはここまで28試合で11ゴールを挙げており、J2の得点ランキングで6位に位置する。
■ 4対0で愛媛FCが圧勝試合は開始早々の前半2分にホームの愛媛FCが左サイドでCKを獲得すると、ニアサイドでDF村上佑がヘディングシュートを放つ。これはキーパーのGK山岸が何とか防いだが、ゴール前にこぼれたボールをMF河原が押し込んで愛媛FCがいきなり先制ゴールを奪う。MF河原は今シーズン10ゴール目となった。前半は1対0で終了する。
迎えた後半4分に愛媛FCは右CBのDF村上佑がオーバーラップしてニアに鋭いクロスを入れると、FW西田が足先で合わせて貴重な2点目を奪う。FW西田は今シーズン6ゴール目となった。その後、山形がセットプレーなどでゴール前のシーンを作ったが、なかなか追撃弾を決めることができなくて、2対0のスコアのままで終盤に突入する。
ダメ押しゴールの欲しい愛媛FCは後半34分に高い位置でボールを奪い返すと、最後は途中出場のMF藤の鋭いクロスからファーサイドに入って来たDF浦田が合わせて3対0とリードを広げると、後半42分にはMF河原のパスから右WBで起用されたMFハン・ヒフンが地を這うような強烈なミドルシュートをきめて4対0と大量リードを奪う。
結局、試合は4対0という予想外のスコアでホームの愛媛FCが勝利して、7月30日(水)の富山戦以来となる久々の勝ち点「3」を獲得した。愛媛FCはここ6試合勝利がなかったので、7試合ぶりの勝利となった。一方の山形は今シーズン初の連勝とはならず。得失点差のことを考えると、非常にダメージの大きい試合になった。
■ 驚きではない4対0というスコア愛媛FCは久々にスカッとする勝利を手にすることができた。前半2分という早い時間帯に先制ゴールを奪ったが、その後もペースを緩めることなく戦えたのが良かった。そして、いい時間帯に2点目と3点目を取ることができたことが大きかった。勝ち点が同じになると得失点差の勝負になるので、「+4」というのが、今後、効いてくる可能性はある。
ここ最近の愛媛FCは点は取れている。この日の山形戦(H)を含めると、ここ最近の12試合のうち、実に半分の6試合で3点以上を奪っている。開幕当初の得点力不足が嘘のように得点力は上がっており、先制点を奪って試合を優位に進めるケースが多かったが、何と言っても、リードを奪ったあとの戦い方に大きな問題を抱えている。
3月・4月・5月あたりはリードを奪うとベタ引きになって防戦一方の展開になることが多かったが、ここ最近はそこまでベタ引きになるわけではない。しかしながら、自分たちの軽率なミスから失点するケースが多くて、26節の岐阜戦(A)や30節の栃木SC戦(A)は何とももったいない形で2点リードのアドバンテージを生かせなかった。
どこかの試合できっちりと試合を終わらせて勝ち点「3」を獲得していたら全く違った状況になったと思うが、今更、言っても仕方がない。この日はベタ引きになることもなくて、軽率なミスからリズムを崩すことも、不用意なミスから決定機を作られることもなかった。90分を通して緩む時間帯もなくて4対0というスコアは内容を考えると驚きではない。
■ 押しも押されぬエースとなった堀米勇輝今シーズンの愛媛FCは1試合平均で1.29ゴール(=31試合で40ゴール)を記録しているが、これは横浜FMのMF齋藤学が在籍していた2011年シーズンの平均1.16ゴール(=38試合44ゴール)を上回って、クラブ史上最高の数字となる。先のとおり、点は取れているが、好調の攻撃陣を支えているMF堀米とMF河原の2シャドーがこの日も力を見せた。
J1の甲府からレンタル移籍中のMF堀米は、この日はゴールもアシストもなかったが、結局、1点目も、2点目も、3点目も、MF堀米のパスが起点になっている。2点目と3点目に関しては、アシストをした選手(DF村上佑とMF藤)にパスを供給しているので「アシストのアシスト」だった。山形の守備陣にとって最大の脅威となったのは間違いない。
ここまで31試合に出場して7ゴールを記録しているが、押しも押されぬ愛媛FCのエースとなった。最近は彼に対するマークが厳しくなっているが、右サイドの「堀米ゾーン」から切れ込んで左足で巻くシュートが一番の武器になっている。そして、長年の課題だったスタミナの部分が改善されて、試合の終盤になってもパフォーマンスが落ちなくなった。
■ 自身2度目となる二桁ゴールに到達した河原和寿一方、1ゴール1アシストのMF河原は区切りの10ゴール目に到達した。リーグ戦では最近の13試合で8ゴール(※ そのうちの1試合は欠場)と量産体制に入っているが、今シーズンは2点以上を記録した試合はゼロ。したがって、ここ3カ月ほどのMF河原については「毎試合のようにゴールを記録している。」という印象を持っている人がいてもおかしくない。
1987年生まれのMF河原は「調子ノリ世代」の1人で、2007年のU-20W杯にも出場している。このチームでは川崎FのFW森島康と2トップを組むことが多くて、主戦フォワードの1人だった。しかしながら、当時、新潟ではFWエジミウソンなど能力の高いフォワードが何人もいたこともあって、十分な出場機会を得ることはできなかった。
その後、2009年にレンタル移籍先の栃木SCで48試合で13ゴールを記録して飛躍のきっかけをつかんだが、以後は思うような活躍はできなくて伸び悩んだ。しかし、移籍2年目の愛媛FCでキャリア最高ともいえる充実したシーズンを過ごしている。二桁ゴールというのは点取り屋の勲章となるが、栃木SC時代の2009年以来で自身2度目となる。
若い頃からそうだったが、点を取るだけの選手ではない。むしろ、それ以外のプレーの質の高さを評価されてきた選手であるが、献身的なスタイルは変わっておらず、前線からの守備もこなすし、スペースメイキングもできるし、アシスト役になることもできる。大きな期待を受けたJ1の新潟では輝くことはできなかったが、愛媛FCで輝きを放っている。
■ 「何もかもがダメ」だったモンテディオ山形対する山形は今シーズンはまだ連勝が一度もない。先日の天皇杯の4回戦ではJ1で上位争いをする鳥栖に勝利してベスト8進出を決めたが、この日は完敗と表現するしかない最悪の試合となった。試合後に山形のサポーターが挨拶に来た選手たちに対して取り乱している姿が映像として映っていたが、批判されても仕方がない出来だった。
先日の試合から「3-4-2-1」を採用しているが、3バックは全く機能しなかった。2試合ほど前から3バックを採用しており、鳥栖戦では3バックが機能したというが、慣れていないシステムなので前半から特に守備の部分がうまくいかなくて、MF堀米とMF河原への対応がルーズだった。この2人に自由を与えるとチャンスを作られるのは当たり前である。
どんなスコアになったとしても、どんな内容であったとしても、たいていの場合、「良かった部分」を探したらすぐに見つかるものであるが、この日の山形から「ポジティブな要素」を見つけ出すのは難しい。攻撃においても、守備においても、自分のプレーを出せた選手は皆無で、ここまで「何もかもがダメ」というのは逆に珍しいと言える。
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