■ 正式に監督就任が決定かなり早い段階から噂として流れていたとおり、日本代表の新監督としてメキシコ出身でメキシコ代表監督を務めた経験のあるハビエル・アギーレ氏を招聘することが決定した。新生・日本代表チームは9月5日(金)に札幌ドームでウルグアイ戦、9月9日(火)に日産スタジアムでベネズエラ戦が予定されているので、最初のウルグアイ戦がアギーレジャパンの初陣となる予定である。
年明け早々にアジアカップ2015が控えているので、今回も時間的な余裕はほとんどない。4年前のときはザッケローニ監督に決まったのが8月末だったので、結局、9月の始めのパラグアイ戦(H)とグアテマラ戦(H)は原博実氏が監督代行を務めて、ザッケローニ監督はスタンド観戦となった。なかなか監督が決まらなかったことは大きな批判を浴びたが、今回はすんなりと決まった。
前回は「監督が決まるのが遅すぎる。」と言われたが、今回は「監督を決めるのは早過ぎる。」と言われて批判を浴びている。どちらに転んでも批判されるというのはツライところであるが、ポジティブに表現すると、前回の反省を生かしたと言えるだろう。言い方はあまり良くないが、動き出しが遅れて、余った監督の中から新監督を選ばざる得ない状況よりははるかにマシである。
契約期間は2年で、年俸は180万ユーロ(約2億5000万円)とされているが、妥当なところである。年俸に関しては、どちらかというと高めと言えるが、日本サッカー協会はかなりの収入があるので、年俸をケチる必要はない。5000万円や1億円をケチってランクの低い監督を連れてくるよりは、このくらいの年俸でリストの上位に名前がある監督を連れてきた方がはるかに有益である。
■ 5度目のアジア制覇が期待されるが・・・。「W杯の本大会の半年後にアジアカップが行われる。」というアジアサッカー界のスケジュールがおかしくて、W杯出場国が背負うハンディは大きいが、前回の2011年大会は様々な悪条件を乗り越えて4度目のアジア制覇を果たしているので、アギーレ監督にもいきなり結果が求められる。ザッケローニ監督の時よりも準備期間は長いが、比較されるのは間違いないところである。
アジアカップは1992年の広島大会以降、4大会で日本が優勝を果たしている。優勝できなかったのは1996年大会(加茂ジャパン)と2007年大会(オシムジャパン)だけなので、近年のアジアカップは日本の独壇場となっているが、当然、オーストラリアや韓国との力の差はそれほど大きくない。「勝って当たり前」のように思われているが、頂点までたどり着くのはなかなか大変なことである。
比較的、楽に勝ち上がったのはトルシエ監督が率いた2000年大会の1度だけで、1992年大会も、2004年大会も、2011年大会も劇的な試合の連続だった。特に決勝トーナメントに入ってからは「負けてもおかしくない。」という試合が何度もあったが、神がかりな勝負強さで乗り切った。優勝しないと満足できない状況になっているので、アギーレ監督はいきなり正念場と言える。
ただ、アジアカップでノルマを設ける必要はないと思う。「優勝がノルマ」と言えるほど日本が突出しているわけでないし、結果を求める過ぎると無難なメンバー選考になってしまうし、チャレンジしにくくなる。サッカーの試合にアクシデントは付きものであり、分かりやすい(成績面の)ノルマを設けないと監督やチームの評価ができないかというとそこまで日本のサッカーファンは低レベルではない。
■ 個人的には意外な選択すでに何度か記述しているが、情報網の発達は著しくて、すぐに情報が世界に広まっていく。それ故、監督の国籍というのは昔ほど重要ではなくなった。例えば、オフト監督が就任したとき、代表の中心を担っていた読売は南米スタイルのチームだったが、代表チームは欧州的なサッカーを志向した。それに対して(特に)MFラモスが反発したが、今は南米と欧州の境界線も無くなってきた。
また、日本サッカー界も経験を積み重ねて、一応のスタイルが出来つつある。なので、代表監督の国籍にこだわる必要はないと思うし、もっと言うと、代表監督の国籍にこだわること自体がナンセンスだと思うが、アギーレ監督はメキシコ出身なので、欧州人とも、南米人とも、ちょっと違った感覚を持っていると思われる。どういうやり方をするのかはとりあえずとして注目したいところである。
「堅守速攻」というのが今回のW杯のトレンドで、成功したチームの多くは堅守速攻型だった。個人的には、もう少し「堅守速攻」の要素の強い監督になるのかと思っていたが、そうはならなかった。ザックジャパンはどちらかというとポゼッション型だったが、それで上手くいかなかったので、軌道修正をして「堅守速攻型」の監督を選択するかと思っていたが、上層部の考えは違った。
もちろん、ザッケローニ監督がこだわる部分とアギーレ監督のこだわる部分は違っているとは思うが、大きく分けると両者の向いている方向は近いように感じる。なので、意外な選択と言えたが、U-16やU-19など若年層の日本代表の試合を観ていると、明らかに自分たちがボールを握った状態で試合を進めることを「善」とするサッカーをしているので、それが協会の考え方なのだろう。
思うような結果が出なかったとき、楽なのは全部を否定してしまうことである。全部を否定すると深く反省しているように見えるが、良かった部分まで否定するのは全く有意義なことではない。結局のところ、「万能な戦術」というのはあり得ない。ブラジルW杯ではポゼッション型で結果を出すことはできなかったが、「信じてやり続けることが必要な時期」に入っていると言えるのかもしれない。
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