■ 27日(火)に国内ラストマッチザックジャパンは5月27日(火)に埼玉スタジアムでキプロスと対戦する。このあとは、6月3日(火)にアメリカでコスタリカと対戦して、6月7日(土)に同じくアメリカでザンビアと対戦して、いよいよ、6月15日(土)にW杯の初戦のコートジボワール戦を迎える予定になっている。よって、27日(火)のキプロス戦がザックジャパンにとっての国内ラストマッチとなる。
キプロス戦がブラジルW杯に向けた壮行試合となって、試合後にはセレモニーも予定されているという。「すっきりした形でキプロスに勝って欲しい。」と願うのは当たり前であるが、今度のキプロス戦は「結果や内容にこだわる必要のない試合」であり、「いい結果やいい内容を期待するのは酷な試合」であり、もっというと、「いい結果やいい内容を求めても意味がない試合」である。
J1リーグは中断期間に入って、代表合宿がスタートしたが、「体力的にキツイトレーニングが行われている。」と盛んに報道されている。当然、27日(火)のキプロス戦に標準を合わせているのではなくて、6月15日(土)のコートジボワール戦にピークが来るように調整をしている。(※ 勝ち上がることを想定して、決勝トーナメントの1回戦に標準を合わせている可能性も無きにしも非ず。)
「一度、コンディションを落としてから上げていく。」というのがセオリーであり、キプロス戦というのは、GLの初戦のコートジボワール戦の約20日前となる。体を追いこんでいる時期にあたるので、キプロス戦の序盤は満員で埋まったスタジアムの熱気に後押しされて日本代表が圧倒的に攻め込むが、徐々に足が止まり始めて、その後、キプロスが優勢になる展開がもっともあり得る。
■ なぜ壮行試合の相手がキプロスなのか?もちろん、相手のキプロスのモチベーションはそれほど高くないと思われる。過去、キプロスはW杯に出場したことはなくて、日本よりも格下であることは間違いないが、ただ、キプロスは、今年の6月や7月にW杯など大きな大会を控えているわけではない。意図的にコンディションを落としている時期の日本代表と比べると体は動くはずで、最後まで動きが可能性は高い。
なぜ、壮行試合の相手がキプロスになったのか?様々な理由が考えられるが、W杯出場国は日本代表と同じような日程でコンディション調整をしているので、この時期はコンディションを落としていることは間違いない。ただ、キプロスはそうではない。W杯の初戦を120%の状態で迎えるためには、「この時期は体が動くチームと対戦した方がいい。」という考えがあると思われる。
「強豪国あるいはW杯出場国と対戦する。」という選択肢もあったと思うが、コンディション的にキツイ中、何とかしようとして、(動ける)キプロスを相手に頑張ることがより良い状態でコートジボワール戦を迎えるためには必要と判断したのだろう。大事なのは「W杯の初戦を120%の状態で迎えること」である。W杯は5回目の出場となるが、準備に関しても、徐々にノウハウが蓄積されてきた。
■ いい試合にならない壮行試合過去を振り返ってみると、フル代表も、五輪代表も、W杯や五輪本番の直前に日本国内で行われた壮行試合では「いい試合」ができていないことがほとんどである。2年前の関塚ジャパンは国立競技場でニュージーランドと対戦したが、終了間際にミスから失点して1対1の引き分けに終わった。4年前の岡田ジャパンは埼玉スタジアムで韓国代表と対戦したが、0対2の完敗だった。
その理由は1つではないと思うが、共通するのは、「意図的にコンディションを落としている時期に壮行試合が行われることが多いから」という部分である。そして、大会直前のテストマッチの結果や内容が奮わなくても、本大会に入ると見違えるようなサッカーを見せてW杯や五輪で好成績を残すことが多いのも、考えてみると、当たり前と言えば当たり前の話である。
キプロス戦がいい試合にならなかったら、、「W杯に出場できないキプロスを相手に情けない。」、「こんな状態で本大会は大丈夫なのか。」という意見が出てくると思うが、コンディション的に、一番、きつい時期であるキプロス戦と、万全の状態で試合に入ることができるW杯の本大会とは全く違っている。『こんな状態で』と考えるのがナンセンスで、ほぼありえない仮定をしても意味は無い。
■ 順調に調整が進んでいるのであれば・・・ロンドン五輪の後、関塚監督が語っていたが、コンディション作りに関する日本代表スタッフの仕事ぶりというのはプロフェショナルである。関塚ジャパンのときは壮行試合における出場時間なども、それぞれの選手の(今の)状態を考慮して、綿密に決められたという。その後、本大会の初戦のスペイン戦のときに120%の状態になって、優勝候補のスペインを圧倒した試合は記憶に新しい。
関塚ジャパンのときは、ニュージーランドとの壮行試合で本大会の登録メンバーよりも先にバックアップメンバーがピッチに送り出されて批判の種になった。「理解できない選手起用だ。」という人もいて、大きな批判を浴びたが、登録メンバー18人のコンディションをスペイン戦にピークを持っていくために行ったことであり、計画通りのことだった。「低レベルな批判だった。」というしかない。
ほぼあり得ないが、キプロス戦で選手たちのコンディションが良くて、最初から最後まで運動量が落ちなくて、非の打ちどころの無い完璧な試合を見せられたら、不安は募ってくる。「こういう試合になる」ということは、調整ミスが起きている証であり、本大会に向けて、良い準備ができていないことの証である。順調に日本代表の調整が進んでいるのであれば、キプロス戦は凡戦になるはずだ。
注目度の低い競技になると、大会直前の壮行試合でも結果が求められる。国民に期待をしてもらうためには、壮行試合で無様な試合をするわけにはいかないが、サッカー、特に男子のフル代表や五輪代表の場合は、壮行試合の結果でそっぽを向かれることは無いので、本大会のことだけを考えればいい。やりやすい環境になってきて、「ファンの目が肥えてきた。」とも言える。
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