■ 第40節J2の第40節。6勝23敗10分けで勝ち点「28」の町田ゼルビアと、7勝19敗13分けで勝ち点「34」のFC岐阜が町田市立陸上競技場で対戦した。J2の残留争いは、19位の富山と20位の鳥取が勝ち点「35」で、21位のFC岐阜が勝ち点「34」で、22位の町田が勝ち点「28」となっており、町田はこの試合に敗れると、残り2試合で連勝したとしても、勝ち点「34」にしかならないので、最下位が確定する。
今シーズンからJ2で下位になるとJFLに降格する危険性があるが、今のところ、長崎がJFLで首位を走っていて、JFL優勝が目前に迫っている。このまま長崎がJFLで優勝するとJ2で22位になったチームはJFLに自動降格となって、長崎がJFLで2位になるとJ2で22位になったチームと長崎がH&A方式の入れ替え戦を行うことになる。
ホームの町田は「3-4-1-2」。GK修行。DFイ・ガンジン、田代、加藤。MF下田、太田、三鬼、藤田、鈴木崇。FWドラガン・ディミッチ、北井。東京Vから加入のFW平本は出場停止で、FW勝又、MF幸野、DF薗田らがベンチスタートとなった。トップ下のMF鈴木崇は35試合で7ゴールを挙げている。
対するアウェーのFC岐阜は「4-2-3-1」。GK時久。DF野垣内、田中、関田、尾泉。MF李漢宰、服部、井上平、樋口、染矢。FW佐藤洸。ストライカー基金で獲得したFWアブダはベンチスタートとなった。39歳のMF服部はここまでフルタイム出場を続けている。エースのFW佐藤洸は31試合で8ゴールを挙げている。
■ 1対0で町田が逃げ切る試合は予想通り、ホームの町田がボールをポゼッションして攻め込む展開となる。「引き分けでもOK」という立場のFC岐阜の攻撃はカウンターが中心で、何度かいい形でボールを奪って攻め込むが、パスの精度を欠いて決定機を作ることが出来ない。それでも、前半40分にDF野垣内のクロスからゴール前でフリーになったMF井上平が決定的なヘディングシュートを放つが、枠を捕えることはできず。前半は0対0で折り返す。
残留のためには、勝つしかない町田は、後半開始から、MF下田とDF加藤を下げて、FW勝又とMF幸野を投入。「4-1-3-2」のような形に変更すると、開始直後の後半1分に先制ゴールが生まれる。途中出場のFW勝又が左サイドでボールを受けて仕掛けてから中央にクロスを入れると、相手DFに当たってコースが変わってこぼれたボールをFWドラガン・ディミッチが得意の左足で蹴り込んで、町田が先制に成功する。FWドラガン・ディミッチは今シーズン4ゴール目となった。
ビハインドとなったFC岐阜は、後半5分にFW佐藤洸に代えてFWアブダを投入。さらに後半17分には、MF李漢宰に代えてMF山崎を投入。MF服部の1ボランチ気味の布陣に変更すると、後半31分には、町田のDF三鬼が2枚目のイエローカードを受けて退場。FC岐阜は数的優位となるが、町田の守備は堅くて、なかなか決定機を作ることが出来ない。
終盤になると、FC岐阜のセットプレーが続くが、いいボールを供給できず、シュートをチャンスを作ることができない。結局、10人で守り切った町田が1対0で勝利し、勝ち点「3」を獲得。19位の鳥取と20位の富山も敗れたので、下位4チームで勝ち点「3」を得たのは町田だけで、大逆転でのJ2残留に少しだけ近づいた。一方のFC岐阜はJ2残留を決めることができず、4試合勝利なしとなった。
■ 踏みとどまった町田JFLで長崎が3位以下に終わるようなことがあれば、J2で最下位になっても残留することが出来るが、長崎がJFLを制してJ2昇格を決める可能性が非常に高くなっているので、J2で最下位になるということは、降格するということとイコールであり、土俵際まで追い詰められていた町田がライバルのFC岐阜を1対0で下して踏みとどまった。
前半は0対0で折り返したが、後半開始からFW勝又とMF幸野を投入したアルディレス監督の積極的な選手交代が実を結んだ。19歳のMF幸野は試合に入り切れずに、ボールを失うことが多かったので、プラスの働きをすることはできなかったが、FW勝又は左サイドを中心にして、積極的にドリブルで仕掛けてチャンスを作った。最初の仕掛けが決勝ゴールにつながったが、途中出場で大仕事をやってのけた。
DF田代とMF太田を中心とする守備陣も奮闘した。最初は3バックで、後半開始から4バックに変更して、最後は5バック気味の布陣となったが、選手たちは柔軟に対応した。DF三鬼が退場になって10人になってからは、ボールをつなげなくなったが、11人対11人のときは、最終ラインのDF田代を中心に落ち着いて攻撃を組み立てることが出来ており、チームの目指すサッカーが大一番で披露することができた。
残りは2試合となったが、町田は、水戸(A)と湘南(H)と対戦する。水戸はプレーオフ進出の可能性は無いので、比較的、戦いやすい相手といえるが、湘南は自動昇格となる2位の座を狙っており、最終節は湘南にとっても、大きな試合となる。町田は、「1勝1分け以上」がノルマとなるが、難しい相手が残っている。
■ 5試合勝利なし・・・一方のFC岐阜は、「引き分けでもOK」という試合だったが、0対1で敗れた。今シーズンのFC岐阜は、守備は安定しているので、試合のテンポを抑えて、0対0のままで時計を進めるというやり方は、苦手ではない。また、町田のように丁寧にパスをつないでくる相手は、どちらかというと戦いやすい相手と言えるが、後半開始早々にFW勝又に突破を許して、ゴール前でフリーになったFWドラガン・ディミッチに決められてしまった。
FC岐阜は40試合で25得点ということで、リーグワーストの得点力なので、相手に先制されると苦しくなる。よって、勝ち点を獲るためには、先制点を与えないことが重要となるが、当然、ビハインドの展開になることも十分に想定されるので、何か策が欲しかったが、有効な手を打つことは出来なかった。後半32分には、MF井上平に代えて185センチのFW梅田を投入したが、FW梅田の高さが生きるシーンもなくて、ビハインドになったときの戦い方は、物足りないと言わざる得ない。
とはいっても、ベンチに切り札がいるわけでもないので、難しいところである。40節を終えた段階で、得失点差はFC岐阜が「-27」で町田が「-30」となっているが、闇雲に攻めに出て行って、大量失点で敗れることも許されない。よって、バランスが重要になるが、「先制されるとノーチャンス」という雰囲気になると、守備陣は大変であり、プレッシャーがかかってくる。
残り2試合となって、FC岐阜は41節に徳島戦(H)、最終節の42節に横浜FC(A)と対戦するが、1勝1敗以上の成績が求められる。もちろん、1勝1分け以上の成績を残すことが出来れば、自力で残留を決めることが出来るが、とにかく1勝できれば、町田が2連勝しても並ばれるだけであり、大量失点で負けない限り、得失点差で町田を上回る可能性は高い。
町田と同様で、最終節の横浜FC戦は、相手も昇格やプレーオフがかかる試合になるので、アウェーで勝ち点「3」を得るのは、相当に難易度が高い。よって、チャンスがあるとしたら、次の徳島戦であり、クラブの命運がかかった大一番となる。
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