■ 準決勝アジアカップの準決勝の2試合目。ヨルダンに2対1で勝利し初のベスト4に進出したウズベキスタンと、FWキューエルのゴールで1対0でイラクを下したオーストラリアの対戦。ウズベキスタンは中3日、オーストラリアは中2日と、日程的にはウズベキスタンが有利な条件である。
オーストラリアは<4-2-2-2>。GKシュワルツァー。DFウィルクシャー、ニール、オグネノブスキ、カーニー。MFバレリ、ジェディナック、ホルマン、マッカイ。FWキューエル、ケーヒル。Kリーグの城南に所属するDFオグネノブスキは201年のアジア最優秀選手に選ばれている。
■ オーストラリア圧勝試合の立ち上がりはウズベキスタンがボールを保持して主導権を握りかけるが、オーストラリアは前半5分にMFマッカイがうまいターンで前を向いてフリーになると、裏から走り込んできたFWキューエルにスルーパス。FWキューエルが得意の左足で決めて1点を先制する。FWキューエルは今大会は3ゴール目。
さらに前半34分にも左サイドでセットプレーを獲得。DFカーニーが左足でゴール前に上げたボールを双方の選手が競り合った結果、ゴール前にいたDFオグネノフスキの目の前にこぼれる。これをDFオグネノフスキが落ち着いて決めて2点目を挙げる。そのまま2対0で前半を折り返す。
後半もオーストラリアのペース。後半20分にカウンターからMFマッカイがドリブルで運んで最後はオーバーラップしてきた左サイドのDFカーニーが左足で決めて3点目を挙げる。これで勝負あり。思うようにいかないウズベキスタンはFWバカーエフが2枚目のイエローカードで退場。10人になると完全に集中力が切れてしまう。
オーストラリアは後半29分にミドルパスからFWクルーズが裏に抜け出して最後はMFエマートンが決めて4点目。その後も、MFマッカイが抜け出して中央に流し、フリーのMFバレリが押し込んで5点目。最後は、FWクルーズがミドルシュートを放ち、ほぼGKの正面のイージーシュートであったが、ウズベキスタンのGKがキャッチミスし、6点目を挙げる。
結局、6対0というよもやの大量得点差でオーストラリアが勝利。初の決勝進出を果たした。一方のウズベキスタンはまさかの大敗で韓国との3位決定戦に回ることになった。
■ ウズベキスタンは決勝進出ならず今大会、独特のパスサッカーで旋風を巻き起こし、初のベスト4に入ったウズベキスタンであったが、まさかの大敗で決勝進出はならなかった。序盤はボールをうまく回していてウズベキスタンが試合を優位に進めるかと思えたが、前半5分にMFマッカイへのマークが甘くなって、そこからFWキューエルに先制ゴールを奪われると、さらに前半34分にも警戒していたはずのセットプレーで失点。完全にオーストラリアペースの試合となってしまった。
ウズベキスタンは、3バックと4バックの中間のようなシステムを採用しており、センターバックも積極的に攻撃に参加するスタイルで娯楽性の高いサッカーを見せていたが、ビハインドになってセンターバックもゴールを狙って上がってきたので、オーストラリアのカウンターがものの見事に決まって失点を重ねた。
■ 集中が切れたウズベキスタン実力的には両チームは6点差も付くような差はなかったが、試合途中で退場者も出たことでウズベキスタンの集中力が切れてしまって、特に、4点目以降はあっさりとしたディフェンスの対応で失点を重ねた。今大会のウズベキスタンはいいサッカーをしていただけに、最後まで戦いきれなかったことは残念であり、アジアカップの準決勝という大きな舞台でプレーしているのであるから、もっと誇りを持って最後までプレーしてほしかったところである。
ただ、裏を返せば、試合前は、ウズベキスタンの選手たちも「オーストラリア戦は十分に勝算あり。」と思っていただろうことは想像できる。立ち上がりを見ると、互角の展開で試合が進んで行ってもおかしくないと感じるくらいであったが、序盤からミスが続いて、思うようにいかない展開になったため、精神的にも切れてしまったと思われる。
■ 初の決勝戦試合途中でFWケーヒルとFWキューエルをベンチに下げる余裕もあったオーストラリアは2度目のアジアカップで初の決勝進出を果たした。ウズベキスタンが中盤で不用意なパスミスを繰り返し、守備でのマークも甘かった末の6ゴールなので、あまり参考にはならないが、コンディションはイラク戦あたりと比べると上がってきており、雰囲気は悪くない。
ここまでのオーストラリアは前線の運動量が乏しく「重たいサッカー」になっており、堅実な守備と個の頑張りで僅差の試合を勝ち進んできたが、ウズベキスタンを相手にいろいろなパターンからゴールを奪えたことは自信になるだろう。
日本にとって要注意なのは17番のMFマッカイ。左サイドハーフの位置から、この試合は3つのゴールをアシスト。先日のイラク戦のFWキューエルの決勝ゴールもアシストしており、乗っている選手といえる。左足のクロスには注意したいところである。
■ 勝機はあり2回目のアジアカップで決勝進出を決めたオーストラリアが決勝戦で日本と対戦することになった。今大会のオーストラリアは13得点で1失点のみ。日本の13得点で6失点という成績と比べると失点の少なさが目立つ。数字だけ見ると、「オーストラリア強し」という印象になるが、日本にとって、今のオーストラリアはそこまで難しい相手とは言えない。
日本と同じく13ゴールを挙げているが、インドに4対0、ウズベキスタンに6対0と大勝した2試合の結果が含まれており、韓国とは1対1。バーレーンとイラクには1対0で勝利しているが、絶対的な強さは感じないチームであり、どの試合も苦戦を強いられた。スタメンの中に30代の選手が多く、経験豊富なチームではあるが、ピークを過ぎた選手も多いので、日本にとって戦いにくい相手ではない。
■ オーストラリアの2トップ日本にとって危険なのは「空中戦の強さ」であり、2トップのFWケーヒルとFWキューエルにロングボールを蹴って、こぼれたボールを拾ってシュートまで持っていくというスタイルで決勝までたどりついた。
しかし、FWケーヒルも、FWキューエルも、トップに張ってボールをおさめるタイプではなく、FWビドゥカやFWケネディといったターゲット役の近くにポジションを取って、DFの隙をついてゴールを狙う方が得意であり、元浦和レッズのオジェック監督に与えられている仕事は決して得意としているものではない。特にFWキューエルは身長はあるが、空中戦に強いわけではないので、マッチアップすることになるだろうDF今野が封じることだろう。
ただし、DFニール、DFオグネノブスキといったセンターバックも上がってくるセットプレーになると話は別であり、韓国戦と同様にほとんどでミスマッチになってしまう。ボランチの展開力はなくて、プレスもそれほど強力ではないので、おそらく、日本がボールを支配できるはずである。出来るだけ攻撃の時間を長くして、セットプレーを与えないようにしたい。
GKシュワルツァーからゴールを奪うのは簡単ではないが、韓国やイランあたりと比べると、日本にとってはやりやすい相手であり、DFニールやDFオグネノブスキといった長身のディフェンダーに積極的に仕掛けていけば、チャンスは作れるだろう。極端に恐れる必要はない。
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