■ 決勝戦1月7日に開幕したアジアカップもついに決勝戦をむかえた。準決勝の韓国戦をPK戦の末に勝利したザッケローニ監督率いる日本代表は2大会ぶりのファイナル。2004年の中国大会以来となる4回目のアジア制覇を目指す。一方のオーストラリアは準決勝でウズベキスタンに6対0で勝利。2度目のアジアカップ参加で初のアジア一を目指す。
日本は韓国戦で負傷したMF香川が欠場。すでにチームを離れているため誰が代わりに起用されるかが注目されたが、ザッケローニ監督はMF藤本を選択。GK川島。DF内田、吉田、今野、長友。MF遠藤、長谷部、藤本、本田圭、岡崎。FW前田。MF藤本は初スタメン出場。さらに韓国戦で出場停止だったDF吉田がスタメンに復帰。DF岩政はベンチスタートとなった。
対するオーストラリアは<4-2-2-2>。GKシュワルツァー。DFウィルクシャー、ニール、オグネノブスキ、カーニー。MFバレリ、ジェディナック、ホルマン、マッカイ。FWキューエル、ケーヒル。
■ 李忠成が決勝ゴール勝つと2013年にブラジルで開催されるコンフェデレーションズカップの出場権が得られるファイナル。序盤はオーストラリアが高さを生かして日本ゴールに攻め込んでくる。オーストラリアはサイドでうまく2対1の形を作ってサイドを崩してクロスを入れてくる。しかし、日本はDF吉田とDF今野が跳ね返してゴールは許さない。
前半の25分過ぎあたりから、日本も落ち着いてボールを回せるようになって、徐々にリズムが出てくる。前半37分にはショートパスをつないでMF遠藤が前方に走ってダイレクトでFW前田に折り返してFW前田が左足でシュート。しかし、シュートは枠に飛ばない。結局、双方ともゴールは奪えずに0対0で前半を折り返した。
後半も立ち上がりから、徹底して2トップにボールを集めてくるオーストラリア。日本は後半11分にMF藤本に代えてDF岩政を投入。DF今野を左サイドバックに回して、DF長友を左サイドハーフに上げる。すると、後半21分にDF長友がサイドを突破し中央にクロス。MF岡崎がダイビングヘッドで合わせるが惜しくもシュートは枠を逸れる。オーストラリアは後半27分にFWキューエルが抜け出してGKと1対1のチャンスを作るが、GK川島がビッグセーブ。ゴールを許さない。0対0のままで試合は延長戦に突入する。
延長戦の前半9分に日本はFW前田に代えてFW李忠成を投入。すると、延長戦の後半4分にDF長友が左サイドを突破してクロス。これをゴール前でフリーになっていたFW李忠成が得意の左足のボレーで決めてついに日本が先制する。FW李忠成は代表初ゴール。日本はロスタイムの1分を含めて全員で守り切って1対0で勝利。見事にアジア制覇を果たした。
■ 見事なアジア制覇オーストラリアの「フィジカル」と「空中戦の強さ」に苦しんだ日本だったが、延長戦の後半に途中出場のFW李忠成がゴールを決めて2大会ぶりにアジアを制覇し、アジア一の座を奪回した。
前半から非常に苦しい戦いとなった日本だったが、南アフリカW杯で培った粘りの戦いでオーストラリアにゴールを許さず、FW李忠成が値千金のゴール。カタール戦はDF伊野波、韓国戦はMF細貝がゴールを決めたが、今度は途中出場のFW李忠成がゴール。ザッケローニ監督の采配がズバリと当たって、勝利を引き寄せた。
決勝ゴールとなったFW李忠成のゴールは、チャンピオンズ・リーグのレバークーゼン戦のMFジネディーヌ・ジダン(レアル・マドリー)の左足ボレーを思わせる美しさで、左サイドからのクロスに対してうまくフリーになって、得意の左足を振りぬいた。FW李忠成は初戦のカタール戦で45分間プレーしたのみで、その後は出番が回ってこなかったが、最後の最後で大仕事を見せた。大会前から、手駒の少なさが懸念されていたが、控えの選手を含めて23人全員の力を引き出して、全員でつかんだ優勝カップだった。
■ ザック采配が的中序盤からオーストラリアのロングボール戦法に戸惑った日本は、後半11分という早い段階でMF藤本を下げてDF岩政を投入。DF今野を中央に置く3バックに変更するかと思われたが、変則的な4バックに変更。DF岩政とDF吉田という空中戦に強い選手をセンターバックに並べてオーストラリアの空中戦を封じにかかり、さらにDF長友を1列前に上げるという奇策に出た。
MF松井、MF香川が大会中に失ったことによる苦肉の策であったが、スピードで相手を翻弄できるDF長友を前にしたことで、DF長友の突破力が大いに生きる展開となって、Df長友が期待以上にオーストラリアの右サイドをズタズタに切り裂いた。前半から日本はオーストラリアに脅威を与えられるポイントがなくて、オーストラリアに圧力を与えられていなかったが、DF長友が果敢に攻めこんだことで、次第にオーストラリアはDF長友をケアせざる得なくなって、攻撃もパワーダウンしていった。
韓国戦ではやや消極的な交代で延長戦のラストに1点のリードを追い付かれてしまったが、大一番でだれも予想しなかった交代を見せたザッケローニ監督。さすがにイタリアのビッグクラブを長い間、率いてきた監督だけある。FW李忠成の投入と合わせて2つも采配をヒットさせて、日本に勝利を引き寄せた。選手たちもよく頑張ったが、ザッケローニ監督の選手起用の見事さが際立ったファイナルとなった。
■ 本田圭が大会MVP決勝戦ではゴールに絡めなかったが、MF本田圭が大会のMVPに選出された。今大会はシリア戦のPKによる1点にとどまったが、チームリーダーとして苦しい展開となったシリア戦や韓国戦で見せたプレーは圧巻で、タフな試合で輝いたことは高く評価されるべきである。決勝戦はMF香川がいなくなってマークが集中し、思うようなプレーができない時間も長かったが、それでも、120分間、戦い続けた。
以前のMF本田圭は「自分が、自分が。」というところが強くて、それがプラスに働くことも、マイナスに働くこともあって、いい意味でも、悪い意味でも、セルフィッシュなところがあったが、今大会はMF香川、FW前田らを懸命に生かそうと奔走し、一皮も、二皮も剥けた印象がある。
同じようなフィジカルの強さを持つオーストラリアのような相手にも自分のプレーを出せるようになると、もうワンランク上の存在になれるが、このアジアカップを経て、名実ともに日本の中心選手となり、アジアサッカーの顔となった。
■ 川島の好セーブ無失点でおさえられたのは、やはりGK川島の活躍によるところが大きかった。特に大きかったのは後半27分のFWキューエルとの1対1を防いだスーパーセーブで、GK川島が南アフリカ大会に続いてヒーローとなった。オーストラリアの高さに苦しめられたが、GK川島がモードに入っており、簡単には破れられそうもない頼もしさもあった。
ベルギーのリールセでは、失点数も多くて苦しい状況ではあるが、海外の経験は大きく、動じない強さがあった。シリア戦の退場やカタール戦のフリーキックでの失点など、いくつかの苦境もあったが、ファイナルの舞台で見事なプレーを見せた。
■ 初先発の藤本淳吾素晴らしい結果であったが、いくつかの誤算もあった。
MF香川の代わりにスタメン出場したMF藤本だったが、前半からうまくボールに絡めなかった。MF香川は積極的にバイタルエリアでボールを受けようとするタイプで、MF香川がバイタルエリアでボールを受けて相手DFを寄せてサイドに展開して崩すのが日本の攻撃のパターンだったが、タイプが違うので仕方がないとはいえ、MF藤本は右サイドで待ってボールを受けようとすることが多かったので、なかなかボールが回ってこなかった。
これまではMF香川がいる左サイドで試合を作っており、その間に右サイドのMF岡崎がいつの間にかゴール付近にポジションを取ってシュートを狙うことが多かったが、MF藤本がうまく試合に入れなかったので、必然的に左のMF岡崎のところを起点にして攻め込むことが多くなり、MF岡崎がゴール前で良さを発揮することが出来なくなってしまった。後半11分に交代することになったが、思い切りがなくて残念な出来だった。
■ アジアのサッカー界5対0と大勝したサウジアラビア戦を除くと、苦しい試合ばかりでどちらに転んでもおかしくない試合ばかりだったが、タフに戦った日本がタイトルを奪取した。DF中澤やDF闘莉王の不在、MF松井やMF香川の離脱など、言い訳はいくらでも出来る状況であったが、いつの間にか日本の選手たちはタフになっていた。
ただ、苦戦した要因は日本側の理由だけでなく、アジア各国がレベルアップしていることも大きい。ヨルダンやシリア、カタールといった国を相手にしても、全く油断はすることはできない。2000年のアジアカップを制したとき、「日本はアジアレベルを超越した。」と思ったが、その後、なかなか思い通りにはいかなかった。それならば、日本も含めて、アジア全体で競いあってレベルアップして、他の地域に負けない競争力をつけていきたい。今大会は、レフェリーの質の問題もあったが、アジアサッカーの可能性を感じさせる素晴らしい大会になったと思う。
■ アジアチャンピオンとして・・・最後にホスト国のカタールも見事であった。厳かなファイナルの雰囲気を作り上げたスタジアム、華やかなセレモニーだけでなく、表彰式が終わるまで、ほとんどの観衆が席を立とうとせず、日本の、そしてオーストラリアの選手やスタッフをたたえた。これは、なかなか出来ることではない。
今大会でアジア王者の地位を奪回し、コンフェデレーションズカップへの出場も可能になった。南アフリカ大会でベスト16入り、関塚ジャパンはU-21代表で挑んだアジア大会を制し、ザッケローニ監督もアジアを制した。いい流れをいつまでも続けたい。
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