■ グループD 最後はグループD。このグループに入ったのは、
・ イラン (66位)
・ 北朝鮮 (108位)
・ イラク (101位)
・ UAE (105位)
の4チームである。
① イラン
→ アジアカップは12大会連続12回目の出場。日本、韓国、サウジアラビアとともに長らくアジアの強豪の一角として認識されている。W杯出場は1978年、1998年、2006年の3回。印象的なのは1998年のフランス大会のアジア予選で、第3代表決定戦では日本と本大会出場をかけて対戦。マレーシアのジョホールバルで行われた試合は、FW岡野雅行のゴールデンゴールで2対3と敗れたが、続いて行われたオーストラリアとのプレーオフを制して、20年ぶりの本大会出場を決めた。
ドイツのバイエルン・ミュンヘン等で活躍したストライカーのFWダエイはすでに現役を引退しており、FWハシェミアン、MFマハダビキアらスター選手も代表から外れており、過渡期に入っている、その中で、スペインリーグのオサスナでプレーするMFネクナムが注目の選手。今シーズンは17試合中で12試合でスタメン出場を果たしている。
チームを率いるのはアフシン・ゴトビ氏で、2011年シーズンは清水エスパルスで指揮を執ることが決定している。もともと、イランというチームは個人技の高い選手をそろえて、個人技主体のサッカーを見せていたが、今大会でどんなチームに仕上げてきたか、注目したい。
アジアカップでは1968年、1972年、1976年と3大会連続で優勝を果たし、1980年、1988年、1996年、2004年は3位に入っている。しかしながら、1976年大会以来、決勝進出は果たしておらず、2010年大会の出場を逃すなど、戦力は下降気味。厳しいグループに入ったが、グループリーグを突破して存在感を発揮したい。
② 北朝鮮
→ 5大会ぶり3度目の出場。2010年の南アフリカW杯で44年ぶりの本大会出場を果たし3連敗に終わったが、ここ数年、ユース年代のアジアの大会で目覚ましい成績を残しており、2010年に行われたU-16、U-19と2世代でアジアを制した要注意の国である。
注目はドイツ2部でプレーする元川崎フロンターレのFW鄭大世。W杯後に移籍したボーフムでもゴールを重ねており、今大会もチームの中心としての活躍が期待される。また、南アフリカ大会は惜しくもメンバー落ちしたが、ベガルタ仙台のMF梁勇基もメンバーに入っており、大晦日に行われたカタール戦では決勝ゴールを決めている。J1で11ゴールを挙げている実力を発揮できれば、攻撃力は大幅にアップするだろう。他に、大宮アルディージャから柏レイソルへの決定しているMFアン・ヨンハもメンバーに入っており、J1に所属する選手が二人がメンバーに入っている。
チームの持ち味は「粘り強い守備」と「運動量の多さ」である。南アフリカW杯ではブラジルを相手に1対2で惜敗したが、優勝候補を苦しめた試合が印象的である。アジアカップの過去最高成績は1980年大会の4位であるが、経験を積んだチームがアジアに驚きを与える可能性はある。
③ イラク
→ W杯出場は1986年の1度だけ。パラグアイ、ベルギー、メキシコを相手に3連敗に終わった。政治的な問題もあって、低迷していた時期もあったが、下馬評を覆して2007年のアジアカップを制し、2009年のコンフェデレーションズカップに出場。南アフリカ、スペイン、イラクと同じグループに入って、1敗2分けと健闘した。
イラクというと、1993年のドーハの悲劇のときの対戦相手であり、試合終了間際にコーナーキックから同点ゴールを許してアメリカW杯出場を逃した因縁の相手である。2000年のアジアカップでは決勝トーナメントの1回戦で対戦し、MF名波浩らの活躍で4対1で勝利している。
注目選手は2007年大会のMVPと得点王に輝いたFWユニス・マフムードと、MFナシャト・アクラム。MFアクラムはアテネ五輪で4位に入賞したときのメンバーで、2009-2010シーズンはオランダのトゥエンテでプレーし、10試合に出場した。アジアカップでは2007年の優勝を果たしているほか、1976年大会で4位に入っている。
④ UAE
→ 1990年のW杯に出場した経験を持つ中東の強豪チーム。1996年のアジアカップでは準優勝に輝いている。前回大会は日本と同グループに入って、FW高原に2ゴールを許して1対3で敗れている。
1997年のアジア最終予選でも日本と同グループに入っており、2試合ともドロー。日本にとって最終予選の6試合目となった国立でのホームゲームは、FW呂比須・ワグナーのゴールで先制したが、追いつかれてドロー。W杯出場が厳しくなって、試合終了後に国立が大荒れになった試合として記憶されている。
しばらく低迷期があったが、2003年に地元開催のワールドユースではベスト8入り。その大会でMVPに輝いたのが、MFイスマイル・マタルで、その後、フル代表でも中心になってきた。先に行われたクラブW杯でもアル・ワハダの中心選手としてプレーし、高い個人技を披露した。
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