はてなキーワード: きな子とは
自分で自分のことを非モテだと思ってるし実際実績を見ても非モテなんだけど、増田たちやツイッタラーの言う非モテの苦しみだとか、女への恨みつらみが全然共感できない。
そりゃ昔は好きな子とかいたけど、「でも恋愛って俺には関係ないしな」とか思ってたらここまできた。自分に関係ないことだから苦しみとかもない。
女叩きもあんまわからなくて、職場の女の人たちはみんな俺より優秀そう。インターネットではあらゆるタイプのバカが大量にいるから、「こんなバカな女がインターネットにいた!」という指摘も意味があるとは思えない(なぜならバカはあらゆるところに大量にいる)
というわけで非モテであることと非モテを拗らせることは別なんだなと思った。俺は拗らせ切った結果透明になってしまったのかもしれない。
俺ってこのまま死ぬのかな
そろそろ2025冬アニメも折り返し地点なので自分が今見てるアニメ覚え書き。順不同。
テレビ放送のみ。配信は見てない。テレビ埼玉、CBCテレビオンリー放送など多くの地域で放送していないものも見れてない。
アニメはこうやってボーッとたくさん見てるけど詳しくはないです。アニメ制作会社とか声優とかはよく分からんので間違ってること書いてたらごめんなさい。
ここに書いてないアニメは3話〜5話くらいまで見た結果、見るのを止めたと思ってくれたらいいです。
おじさんが乙女ゲームの悪役令嬢に転生、年の功と培った社会人スキルでいろいろ乗り切ってしまう。
あと性格の良さでどうも悪役令嬢になりきれない。それどころか周囲から好感度上げまくり。
みんなこういうの好きだよね、私も大好きだけど。
転生前の家族、娘とも仲良さそうだった。そこもほほえましいような、だからこそ切ないような・・・(ここまで3話くらいの感想
と思ったら!ストーリーの裏側では妻と娘に見守られながら、メタフィクションサイドの視点でゲームに介入されているとか新しい!面白い!
OPのクレジットに注目。現実パートのフォント&カラーと異世界パートに彩られるシーンでフォント&カラーに違いがある。
1期(深夜のアニメリコ枠)より好き。なんでだろ。なぜか1期は好きになれなかった。
ヒロインの足が大根足だったからとか、花子が男だったからだとかそういう理由ではなく、
単純に時間が私にあわなかったのかな。今期は楽しく見てる。2期 1話の引き込みはすごかったと思う。
1期(1話~12話)の続きである、第2期(14話~)がスタート。
13話はOVAだったので見てない人もいるかもしれないが大丈夫。
従兄の薄刃新が美世の護衛役になった。という情報だけ知っていれば大丈夫。
実況のコメントもニチアサと変わらないくらいなので皆そう感じてるのかな。ホント面白い。
父や祖母の老いなど考えさせられる部分もあるが、普通にプリキュアはそういうとこあるからね。
単純に面白いという評価もあるけれど、品質や温度がプリキュアなところが何だか嬉しかった。ズルいかもしれけどそれが本当に嬉しい。
平凡なサラリーマンとニートのくノ一との同棲生活を描くラブコメディ(Wikipedia抜粋)
主人公以外がテンションが高いエロギャグコメディ。15分アニメでちょうどいい。
原作ファンとか多そうなので怒られるかもだけど全然面白くない。というかよく分からない。
育ての父と、実の母の過去を辿る。悲劇に繋がると分かっていながら見るのが切なすぎる。
6話の出産シーンはなかなか。
2クール目。世が世で話が話なので、ずっと緊張感を持ってみてる。
難しい哲学的な話が続くが割とスッと入ってくるので作りが上手いんだと思う。
それぞれの登場人物が持つ思いの執着と、その先に待つ人生の終着において、結果的に救いがあると見るか、救いがないと見るかは・・・人によるかもしれない。
主人公のことをバンパイアとは知らず居候させる男の子と、そんな男の子を童貞のまま食っちまいたいバンパイアと、バンパイアに好意を抱く女の子の話。
恋の一方通行。BLではあるがBL好きではなくても楽しめるタイトルだと思う。
タイトル通り。うちなーぐち(沖縄方言)が凄い飛夏(ひな)の元気でかわいい姿を見るのもいいし、
それを訳してくれる夏菜(かな)の乙女な気持ちを見守るのも面白いね。
それにしても、飛夏の声優さん凄いな。沖縄の方言をここまで話せるなんて。
OPはHY。ちくしょう、聴いてて沖縄よりも "きのこいぬ" を感じてしまう。
EDは沖縄出身のJPOPアーティストの曲をカバー。発売するCDの情報を見ると3曲だけっぽい。
CDは3曲を2人バージョン、各ソロバージョン、インストバージョンを収録して計12トラック。
そういえば昔、宮古島へ行った時にローカルテレビを見てたんだけれど、おばぁと外国人のグレッグが話をするという番組やってて、
おばぁの言うことが全然分からんで、まだグレッグが話している言葉の方が理解できて、なんだか面白かった。
話変わって指笛の話。指笛は沖縄の文化として好きだし、沖縄の居酒屋で酒飲みながら聞くのは心地よい。
高校野球でも沖縄球児の応援では無くてはならないものだと思ってるんだけど、
ストーリーは面白いんだけど、ちょっと描写がキツくて耐えられないかもしれない。
今まではほとんどハルのとんでもない無鉄砲な行動やハッタリで何とかやってたけど。
ガクの周りにたくさん仲間が集まってきて、感情と理論とウルトラCが混ざって皆で色んなことをひっくり返す展開が、
2019年から始まったこのアニメもいよいよファイナルシーズン。3クール中1クールがこの2025冬アニメで放送。
今回のシーズンは気持ちを打ち明け、整理して、お互いがお互いを意識し合う感じか。
OPとEDが変った。OPはマカロニえんぴつ。OPのレターボックスの色、黒が時間の流れで青に変化する表現が好き。
私からは特にないです。けど原作ファンからは言いたいことが色々あるとか。
後宮に勤める官女が王宮内に巻き起こる事件の謎を薬学の専門知識で解くミステリー、ファンタジー、ラブコメディ小説(Wikipedia抜粋)
異世界へ転移した主人公は何故か現代日本のネット通販サイトが使えて、買った商品は転移されてくるという特別スキル保持者。
このスキルを利用してお金を稼ぎ、人脈も広げていく。おそらくこの勢いで国とか世界とか救うんだろう。
作画はお世辞にも良くはないけれど、自分のやりたい事、スローライフのためなら寄ってくるヒロインからも離れるスタイルが好き。
結果的に「せっかくこのキャラは主人公に捨てられた感じでかわいそうだな」と思わせる部分も含め、そういうの他の作品にはあまりないので結構好き。
アニメに詳しくない私でも一瞬でGoHands制作だと分かるクセのあるアニメ。
人々が居なくなった世界で女の子たちがスペシャルな武器を使って敵と戦う。
GoHandsさんは、また「好きな子がめがねを忘れた」みたいなの作ってくれませんかね
魔神英雄伝ワタルの現代版。配信サイト、マイクラみたいなブロックなどが出てくる。
登場人物は昔と違うが、誰がどの立ち位置かなんとなく分かって、昔を知っている人はそこが楽しめるかも。
医療ミステリー。見た目は子供、頭脳は大人(以上)の天才女医が謎を解き明かす。
犯人が逆上して暴力をふるってきても大丈夫。付き添いが得意の空手パワーでやっつけちゃう。
と書けばこれ名探偵コナンだな。
初回(1話2話連続放送)で面白いと思って見始めたけど、その後はそうでもない。完走できないかもしれないくらいガッカリしてる。
→追記、ちょいちょい入るDVD特典みたいな声優の話は良いとして、
本編が・・・最初の印象と違って、、うーん。1、2話も大きく違うわけではないけど、3話以降と違ってまだ良いところがあったんだけどなー。何か違う。
自由を好む貴族令嬢が王子の婚約者になるための教育をロッテンマイヤーさん(違う)から受けるが、それがキツイのなんのって感じで
ある日、王子から婚約破棄されたと勘違いし、「やったぜ自由だぜ」と自分をさらけ出して逃げ出す。
「おもしれー女」と、王子はストーキングという名のライフワークに勤しみ、彼女を拉致監禁する。
何か他のアニメとは違う感じ。世界名作劇場のように思わせて急にギャグに走る。好きか嫌いかでいうと好き。
たまにバラエティ番組的なデン!SEと共に視聴者に語り掛けてくる演出があるのだけど、あれは何。
追記:8話から答え合わせ。その前から面白かったけれど。デン!こういうアニメ、もっとあってもいいと思います!
朗読で世界観に引き込む演出とか、アクタージュがもしアニメ化したらこんな感じだったのかなと思ってしまった。
ゲームが原作。生死の狭間の世界にある「黄昏ホテル」で宿泊客の記憶を取り戻す手伝いをする。
主人公の声がクセになる。
続きをやってくれてよかった。1期は11話で終わっていればよかったじゃん。なんで12話やったの。
というような救われたような、救われなかったような複雑な終わり方だった。いや好きでしたよ。
多分Unnamed Memory Act.1を知らなくてもAct.2は見られます。
・Act.2のヒロインは、Act.1の世界消失と引き換えに自分が助けられたことを知っています。
・でも他に誰もそれを知らないし、不審な情報だから黙って恩返ししよう。
https://x.com/furumiyakuji/status/1876523927411069267
思うてたのと違うスキルをゲットした主人公だったけど、結果的に最強のスキルだったわ系の話。
FF5で「すっぴん」なんだよって思ってたけど最終的にはアビリティ複数持ててええやんみたいな。違うか。
剣がダサい。
サラリーマンが魔王に召喚されるという、異世界召喚もの。特にチートスキルはない。ただの人。
以前のブラックな職場と違い、理想の上司?理解のある上司の魔王の下で魔王軍四天王として様々な問題を解決していく。
OPとEDの音量が小さいのをどうにかして欲しい、それ以外は言うことないのよ。
見てて普通に面白いけど、お笑いでいうと"爆発がない"という感じ。盛り上がりに欠けるというか。
ドラゴンボールという看板がなければ結構退屈なんじゃないかな。
主人公のギルド受付嬢(この世界では公務員みたいなもの)は、実は超特殊スキルを持ってて強い。
討伐要請が出てるモンスターを冒険者が中々倒してくれない場合は残業になってしまうので、自らが倒しに行くこともある。
ある日、冒険者ギルドの最強のパーティーのリーダーに素性が晴れてしまい、彼からストーキングという名のライフワークを受けてしまうことに。
何て書くと面白そうにないかもしれないけれど、この3倍くらいには面白いし、各キャラがかわいいです。
前作MyGo!!!にも登場した祥子が立ち上げたバンド、Ave Mujicaのストーリー。位置的にはMyGo!!!2期といった感じか。
バンドリは今までスタンダードなガールズバンドやバイオリンが加わったバンドなどあったが、今回は演劇要素がある。
祥子とは幼馴染でバンドメンバーの睦、彼女の精神が壊れAve Mujicaの進退を揺るがす事態になる。めちゃくちゃ面白い。
たぶんだけど、日本ではアニメ バンドリはそれほど人気がないように見える。
おそらくまだ3DCGメインのアニメが好きでない人、BanG Dream!1期が苦手だった人がいて、
"ある食べ物にあたったらその後は二度と食べたくない"レベルで新作が出ても、視聴を拒絶しているのかな(変な例え)
私も1期のまま続いてたら見なかっただろう。けど、2期の「花園たえがPoppin'Partyを抜け、RAISE A SUILENに入るのでは」というギスギスした感じになってから好きになった。
どうも私はバンドにおいてはキラキラよりギスギスが多めの方が好きらしく(どちらか一方はダメ、疲れる)
7話はすばらしい。MyGo!!!と同じくやってくれた!手が痛くなるほど拍手した。この回だけで5回は見たと思う。
感情が溢れる安定しないリアルなバンド演奏と歌声もブサイクでそれでいて美しい。それでいてすばらしい。
アニメオリジナル。前に短編アニメ化してた。その時は遥、美波、彩花(それぞれの頭文字をとってHAM)が既に友達になった状態だったけれど、
オーイとんぼを見た後なので、イガイガみたいな人が恋しい。ごめんなさい、空色ユーティリティは何も悪くないです。
Season1から見てる。前にも書いたけどキン肉マンを見るのは昭和のキン肉マン以来だったので全部は知らないのだけれど、
ちゃんとキン肉マンしてる感じが出ていて、いいなと思いました(小並感)
双方意識はしているがツンデレでいがみ合い、他にも主人公に好意を持った女子もおり、ハーレム状態よくある話。
金持ちが用意するダブルベッドにしては小さい気がする。いろいろと余裕が欲しいでしょ。
素直に1000円! まとめて1000円!
タイトルとキービジュアルを見てアニメーターお仕事アニメを想像していた人も多いかと。
ハマグリ弁当にあたって異世界へ飛んだ天才アニメ監督がピンチな状況をまるっと描きかえ修正してしまう。
高3のときにかかった統合失調症について自分の身に起こった症状を経過とともにまとめておく。まず秋の三者面談で担任に友達がいない=それだけコミュ力がないことを指摘された。
当時官僚に憧れていたが、そのことを知っていた他人は学力もそうだがそこを改善したところでその社交性の無さをどうにかしなければどうにもならないことを言ってきたのだ。
それに私は心底動揺したようで、母によれば帰りの電車でチック症状が出ていたらしい。そこから、受験勉強も頑張りつつ立派な人格者になろうと奮起したことでだろうか、だんだん行動と思考がおかしくなっていく。
柄にもなく今まで話したことも無いような生徒に話しかけるようになる。記憶力が良くなったような気分になる。化学式が水を吸い込むスポンジのようにすらすら頭に入っていく気分だった。
実際少しは記憶力が上がったのかもしれないが気分の部分が大きかったように思える。気分が高揚し何故か授業中でも教科書に書かれた偉人を模写するようになった。
普段の私は不器用な方で模写などできるようなタチでもなく、したとしてもゆっくり書いても線は歪にるし顔のパーツのバランスも元のようには書けなかったはずなのだが、そのときはなぜかさらさらと筆が運んだ。各パーツの境界等を線ではなく元の絵通り濃淡で表すなんて普段の私にはできないことを普通にしていた。数学の教科書のガウスを描いたときが特に印象に残っている。風邪でもないのに熱が出て学校の中で倒れるということが起こるようになった。何度か親に送り迎えされることがあった。
私は中学のころまでは学校の人間をいじめていたことがあったのだが、急にそのことを思い出し心底恥じ入る気持ちになり号泣した。そして旧友がどうなっているのか訪ねに行った。受験生なのに何をしてるのかと思うだろう?私にもわからない。
塾の特別講座や模試を受けに都心に行ったときはひどいものだった。湯島聖堂に行って人が引くような感服をした。ピンクのハトを見て神がかり的な力を感じてしまった。(ピンクのハト自体は幻覚ではなく写真に残っているしそもそもそこまで珍しいものではないと思われる)
興が乗りゲームセンターに行ってヴィクトルーパーズというゲームを体験する。プレイ時に自分の反射神経に関して今までとは違うものを感じて全能感を感じた。
そして確かリフレクビートみたいな音ゲーを他人がプレイしているところの画面をなぜかタッチした。当然苦言を呈された記憶がある。でもそのときの自分は意に介していなかったと思われる。
夜になっても秋葉原を闊歩してあるときは自分の腕力に自信を感じ筐体を動かせるかどうか試していた。
今思えば実際は持ち上げていたのではなく引っ張る程度でなんの腕力の証明にもなっていないのだがあのときはこう理詰めで考える力を失っていたように思う。
釣り合わないおっさんと若い女性が一緒に歩いている姿を見て、犯罪の匂いを感じ制裁してやろうとか思った(今思えばコンカフェのサービスに過ぎないだろう)。
街中で大学生と思しき数人の男女の組を見つけて話しかけて自分の志望大学について語る。あのときは普通に対応されたけど陰でやばい奴認定されていたのではないか。
道路にポスターが筒状に丸められたものが落ちていて、アキバでの土産として持ち帰るつもりだったのに、振り回したり膝に当てて曲げたりしていた。思考の滅裂が伺える。
結局その夜は終電を逃し、教科書等が入って10kgになっているリュックを背負ってほとんど休まず冬の夜を始発まで歩き続けていた。それは冬に露地で寝たら凍死するという、ここだけはまだ高校生としてまともなイメージによるものだった。
その最中、座って休んでいたときはとめどなく出てくる感じの英語を、どうせ誰もいないからと気持ちよく口に出した。まるで通訳ならそういう境地であるかのように、自然に英語で思考が言葉として頭に浮かんでくるのだ。これも今までにないことだった。今までの学んだことの蓄積が一気に爆発的にアウトプット可能なものへと昇華されたような感じだ。第三者がいないので、これが実は文法が滅茶苦茶だった空喜びだ可能性もある。
そうして家族には捜索願を出す迷惑をかけさせるなか帰宅した。保護入院のXデーは近い。またあるとき横浜へ行くと、キャリアになるような人間は高い志を持っていなければならないという心境で、ゴミ掃除をした。受験生なのに。
掃除しているところを見たお巡りさんから未来の官僚様へというふうな感じでブラックサンダーと栄養ドリンクをもらった記憶がある。ということは自分の希望進路をこの警官に行ったことになるのだが、だとすればこの警官の労いは奇妙な行動をする学生を生暖かい目でからかうことを意図したものだったかもしれない。自宅の近所に1000年前からあるという由緒のある神社と正一位の神格がある寺院に目を付け、この地域は稀に見る神聖な土地なのだという気持ちになる。
またその影響からかこのころから神のお達しを感じるようになったり(幻聴ではなくテレパシーのような感じ)自分に女性キャラクターが乗り移ったような感覚が現れることが起こるようになる。口調も普段から変わってしまう。
当時の社会情勢の悪さを神的なものとに結びつけ、寺社に赴いた記憶がある。おこがましくも何かを助言した記憶がある。別に神職者だって宗教を信じてないことが多いのに本物のやばい奴が来てしまったという感じだろうな。
マムシ=蛇の出没も神的なものと結び付け両側が藪の道を木の枝を下に向けて振り回しながら歩く。当時の本人にはマムシを追い払うことでマムシが持つとする瘴気を払うことを意図したものだろう。
またあるときは公園で木の枝を持ってこれが神風だという感じで大げさに振り回す。あくまで高校までの化学の知識から着想を得た「核戦争にも耐えられる強化外骨格」の設計ラフを書いた小切れなどを河原にばらまいたりもした。
夜寝てもすぐ起き上がって漢文がひらめくことが多くなりまともに寝なくなる。当時の自分としてはそれが漢文のいい訓練になるものだと思っていたことを覚えているが、志望大学は漢文の比重が重いものではないので、ほとんど無駄だったと思われる。
滑稽なのは四声も知らないのに(いや受験生としては問題ないんだが)漢詩等を次々書いて悦に入っていたことである。文法はともかく古代中国語として韻律のめちゃくちゃなものだった可能性が高い。
でもこんなことをしていたのには訓練以上に、漢文に書かれた思想に感じ入っていたところも大きい。
おかしくなった私の目標は立派な仕事に恥じない人格者になることだった。そして湯島聖堂に行ったときに孔子の深遠さに衝撃を受けた。
もちろん孔子自体は以前から知っていたが、偶然「聖地」を見つけ赴いてしまったことで、自分なりに感じた霊験あらたかさに、彼と彼の思想がいっそう素晴らしいものに感じるようになってしまった。
普通の受験生にとっては教材でしかない漢文から仁徳を感じ取るたびに感動し、過去の不徳な自分と対比して大泣きして大真面目に反省するという情緒不安定も起こっていた。
電車で、密着して二人の世界に入っている男女に話しかけたりもした。今考えれば当然のガン無視をされた。しかしやっぱり躁状態になっている私は誰とでも話せる人間になろうという思いが強かったのか意に介さないのである。
テレビでちょうどやっていたイスラム国関連のニュースの映像を見たときとてつもなく怖いものが見えたように感じ体を丸めて怯えたような記憶がある。あの心理状況はどういう原理だったか。
イスラム国はどうにかしなけばならないという義憤を感じてツイッターでアラビア語?で検索してイスラム国関係者と思しきツイートに直接リプライしたり、また当時の漢文にハマっていた自分らしくSNSのアカウント名を「莫歯牙(しがない)○○」をしたりそこで椅子子羊(イスラム)なる言葉を使って打倒を呼び掛けていた記憶がある。
世界中から反響があった感覚があったが、実際はただ日本人以外からなにがしかのリプライが来たと言うだけで、数としては数件に過ぎなかったのではないか。
でも当時は確かにカバオコピペのように「今までにない熱い一体感を感じ」ていた。
テレビのイスラム国に関する報道が自分の行動とリンクしているようにも見えていた。自分が世界に影響力を与えている気分になっていた。
調子が悪そうなことをした親に総合診療科に連れられたこともあり、そこで血液検査をしたらCK値の上昇が認められそこで筋肉が壊れてきていることを指摘された。
冬の夜通しの闊歩が祟った結果だと思われる。とはいえ今思うと自衛隊員は数十キロの装備を身に着けることもあるし、強力(ごうりき)はそれこそ100kg近くを背負って運搬するわけだから、ちょっと虚弱過ぎやしないかと思う。
しかし当時の私は筋肉が壊れるほど肉体を酷使している自分に対してこれまた全能感をこじらせ酔っていた記憶があるから滑稽だ。
また当時気になっている子がいたのだが、学校帰りに駅前のブティックに足を運んで何万、何十万かするビロードのような服を品定めしていこともあった。
そういう服を対象にしたのはすっかり自分が上流の人間の気分になっていたから。
そして将来は官僚になってこういうものを好きな子にプレゼントするんだと店員に息巻いていたと思う。
近くの受験が見えなくたって遠い不確定の可能性の低い将来を前提とした行動をとる、まさに統失仕草だったと思う。
卒業間際好意を伝えたときやんわり振られるオチまでついている。
こうしていろいろあって親は養護教諭に電話相談して、精神科への入院を勧められ、私の同意のもと保護入院することになったのだった。
※ブコメから知ったこととして保護入院とは家族の同意のもと行われる強制入院の一つだという事実があるが、私の場合入院したいか、それとも受験するどうかをあくまで私の意思を尊重する形で家族に確認されたため、法的なことはともかく実態としては任意の入院なのだった。
そこで統合失調症という診断が下されたが、診断名は変わる可能性があると言われた。
統合失調症は全段階として6か月未満の統合失調様症状というものがあり、中学のときのエピソードして、自分は悪魔になってしまったという発言や、ナイフの図鑑を買ったりポッカキットで処刑映像を見ていたことを統合失調症の期間として含めるべきかをはっきり判断できないからだということだそうだ。まあ今思えばさすがにこれはただの中二病だろうと思うが。
なお、記憶力や模写等脳の能力に関しての向上を記述したが、これが統失の症状としてあり得ることだったのか、私固有の現象だったのかはわからない。
統合失調症は服薬し続けず「治る」ケースがごく稀な病として有名だが、幸い私は薬も飲んでないが上記のような明らかな妄想も出ることなくただの発達障害(医療機関による診断済み)として暮らせている。
いろいろなことをした、「記憶はある」が、なぜそうしたのか今の自分では全く理解できないことが、過去あったその妄想と現在の現実を区別できる能力が回復している何よりの証拠だと思う。
ほんとう、記憶はあるが秩序のあるものとして理解できず、記憶を記録するにあたってはただあったことを羅列しているだけという気分が拭えないという部分は朝起きる直前の夢に似ているような感じがする。
この長文を書いたのは、統合失調症は脳機能の低下を起こすから患者になったことがある人本人に「書ける」人が少なく、このような本人直筆の体験談は貴重と考えたためで、使命感を持って書いた。
(使命感とかいうとまだ統合失調症が治ってないだろとか言う人が出てくるのかなと思いつつ)
【追記】
実はあれから既に十年以上経っている。
もし統合失調症が治っていない状態で薬をやめていた場合はだいたい長くとも1、2年で、もっとひどい状態で症状がぶり返すのが通例だ。
脳機能も一度目の急性期後より格段に落ちると聞いている。壁に自分の排泄物を塗りたくるようなレベルの廃人になるということだ。
しかし私は御覧の通りこうして記事が書ける程度の理性や知性をいまだ残せている。
それは、薬の副作用にアカシジアというものがあって、その、四肢の気持ち悪い感覚が苦痛だったからだ。
今も、断薬の承諾を得た精神科医本人から三か月おきに診察を受け経過を見てもらっているので、統失が治っていないということについては心配しないでほしい。
その医者の対応に対する違和感を書いてもらって思い出したが、それ以上に著しい倦怠感や思考の鈍麻が起こっていたことについて親が見兼ねたというのが大きかった。
統失の治療薬のイメージとしては躁的な症状をもたらす過剰な神経物質をブロックするというものだが、このころは既に陰性期あるいは寛解状態にあった。
つまり健康体の人間に投薬するのと変わらない状態で、症状を相殺するのを通り越して過度のドーパミン不足を誘発したのかほとんど寝たきりで毎日を過ごすような時期があったのだ。
こんなところにいたら殺される(滝山病院の例もあるので大げさな考えとは思われない)と心配した母親が担当医の忠告、「お母さんあなたも精神病ではないか」という苦言を振り切って入院期間を繰り上げたのだった。最初の急性期を見て薬を処方した入院先で断薬許可をもらったわけではなかったのだ。
ただセカンドオピニオンでかかった他の大学病院の医者も、以前のその病院の処方薬や量の内容を見てこれは多すぎると言っていたようだ。
今かかっているクリニックはこれらの統合失調症や発達障害の診断やそれに伴い我が家庭ではどう対処してきたかという経緯を理解したうえで、基本的にこちらの考えを尊重しときには睡眠の習慣を整えるためにロゼレム?を服用してはどうかと言われては、悪夢を見るから嫌だ、いやこれは他の睡眠薬と違って悪夢は見ないよ、でもちょっと抵抗があるから見送らせて欲しいとかああだこうだ忌憚なく相談できる関係性を築いている。
模写した絵などは残っていない。というのも数年前まで私の部屋は受験期にコレクションした参考書がずらりとならぶ、いかにも子供部屋おじさんの極致にあるような有り様だった。
しかし親に、いい加減高校時代のことに固執してもしょうがないだろうと、絵も描かれたノート類とともにすべて処分することを催促され、応じるしかなかった。化学の新研究とかぐらいは、通読してみたかったなと思っていたのだが。
絵の証拠写真を挙げないのでは一連の記述が創作と思えて仕方がないこと、もっともなことだ。信じる人が信じるだけでもこれ幸いというものだ。
少し退院後のその後の事を書くと、まず予備校に入って再度大学を目指そうとした。
しかし当時の自分は統失の余波か薬の副作用か大変疲れやすく、体験授業後にチューターには母の口から、授業中にも寝てしまうことも有り得ることが伝えられた。
また数か月か、あるいは一年ほど経った頃だったか、入院中も見舞ってくれた担任が定期的に会いに誘ってくるようになった。
と、このあたりのことを書くと俺がどこ高校出の誰かか特定される可能性が1%ぐらいは出てきてしまうと思っているのだが、そうなったらそうなったらでこの記事が創作でないことの証明にもなるわけなので、気にせず書いてしまおうと思う。
そうして職業訓練校を目指すことになった。その訓練校が試験で出す問題と同レベルのSPIとかの練習問題を解いた当時の自分としては、問題自体は大学受験とは雲泥の差の易しさだが、それでも油断はできなかった。
統合失調症と長い間机に向かっていなかった影響で、筆記スピードというあくまで肉体面の要素が著しく落ちていたからだ。
そんな私にアドバイスしてくれたり、数学の先生だったので、私が趣味で取り組んでいた数学に話を合わせ付き合ってくれた。
それに前後して北里か東海大(ここ記憶が曖昧)や、クリニックの児童精神科医にセカンドオピニオンを仰いでいた。
そこでいわゆるウェクスラーを受け、言語性IQが130で動作性が90前後という結果だった。その大学病院が役所に提出する用の親展の封筒を、やっぱり使わないと親が開けて見てしまった中身の書類の記述によると、大変頭の出来がいいというニュアンスの表現でべた褒めする内容だったそうだ。
言語性IQなんていかに成人向けに最適化されたテストといえど受験期等の蓄積で簡単に高成績が出る脆弱性がありそうでならないと私は思っているので、これは私より圧倒的に優秀な大学教授の心の余裕から来るリップサービスのようなものではないかと今は分析している。でも認知機能のテストの一種か何かで、100から次々7を引いた答えをどんどん言ってくださいという問いに自分なりになるべく速く答えたその反応に対しても早い早いと言っていたから、まんざら嘘ではなく、そういうことを総合してなのかな。
ともかくもしこの書類を出していたら障害者手帳の申請は通らなかったからこれでよかったということを親は言っていた。申請に使った診断書等はクリニックが書いたものだったと思う。そのクリニックだが今は児童精神科専門になってしまい、私のような大人の発達障害や統合失調症を受け入れなくなってしまったと風の噂で聞いている。dorawiiより
今騒がれてる彼で検索すると「○○くんは人生だったのに」 「○○くんがいない世界なんて死にたい」みたいなのが平気で出てくる。
今でいう熱狂的な二次元やアイドルへの"推し活"的なファン層が、彼にもしっかりいたということ。
正直驚いた。私にとっては元アイドルの面白いおじさん枠だったから。世界は広い。
解散した某アイドルグループの全盛期が1996年らしい。当時のキャーキャー言われてる映像はすごい迫力がある。
アイドルってビジネスがそもそも無理がない?だって、性欲じゃん。
ファンとか推しとか尊いとか、ていのいい言葉で包んで、ぶつけてる感情の本質にあるのは生々しい性欲じゃんね。
20かそこらのかわいい/かっこいい少年少女に、容姿でキャーキャー言わせる仕事に就かせました。
それを30年続けさせました。
そうしたらどうなるか?の世界に2025年の今、初めて日本人が直面した。
そしたら「ダメでしたね」ってだけの話だと思った。
18歳の頃にそういうのにときめくのは全然わかるよ。思春期だもん。中高生の頃は私も好きなグループくらいいたよ。
同様に、それくらいの年代のとき、「万人にモテたい!魅力的だと思われたい!」ってアイドルになりたがるのもわかるよ。
でもさ、無理じゃん。それを何十年も続けてくのは。それを求めるのは。それを許してよ!って駄々こねるのは。
いつまでもピギャピギャギャ~~~~○○君かっこいい~~~とかよだれ垂らしてほざいてる未熟な振舞い、いつからこんな市民権得ちゃったんだろうね。
30代40代になってさ、○○君は人生!とか言っちゃってるやつ、マジで何?
いつまで思春期やってるの?
早い人ならもう大きな子供がいる歳じゃん。
その歳になって「今更なんでこんなこと言うのぉ~~~意味わかんない~~~○○くん返してぇぇぇぇ」っていい年のファン()達がぶーたれてるの見ると本当に吐き気がする。
事実の真偽は置いといて、真っ先に被害者女性を慮るなり社会的な改善策を求めていくなりする年代や立場なんじゃないの?本来は。
それどころか、「一番の被害者は○○君だ」なんて意見も平気であるよ。
やばいって。
お前の娘が同じ目に遭って「これで満足ですか??」とかファン()達から罵声浴びせられたらどうなの?
なんなら被害者女性を羨ましいとすら思ってない?(笑) 醜い。
いい年してジャ〇オタの奴らってずっと違和感あったけど、今回の件で本当に明らかになった。
違う!って言いそうなやつらに言いたい。
それも何万もの、悪意も入り混じるギトギトの性欲だらけの目線だよ。
だってさ、未婚で推し活!()とかやってるやつらはもうどうしようもないと思うけど、
いい年こいて彼氏や旦那がいる女でも、推し()からキスしよ?って言われる機会があったらするんでしょ?絶対拒めるの?
手くらいなら繋ぎたい?実際握手会とかあるもんね。ハグとか、要は密着するのをごまかしてさ。
結局接触したいだけじゃん。じゃあそれ性欲じゃん。その見知らぬ有象無象のおっさんおばさんの視線がわが子や親戚に向けられる世界、耐えられる?
だからもともと、まだ若い女子や男子を「アイドル」売りするビジネスがおかしいんでしょ。
日本の芸能やジャ〇―ズも含めて、ずっと無理があったけど、黒い世界発祥の芸能という世界での商業が思ったより金を稼げちゃって、そういう巨悪が野放しになってたってだけ、
お前らみたいな手軽にドーパミン出したいバカ共がホイホイ釣られてお金をつぎ込んで気持ち悪いおじさんたちの私腹を肥やしてただけでしょ。
アイドル側もさ、それ一本で何十年もやってくのが本来無理あるってわかるから、
個人の人気商売って無理があるから、さっさと”卒業”したり別の芸を身に着けたりするんでしょ。
近しいジャンルに宝塚があるけど、あれだけ厳しい訓練を積んでようやくデビューして数年立ってトップに立とうと長くて十年かそこらで引退だよ?
「芸術」を個人が表現する術はいくらでもある。あらゆるジャンルの芸術、ダンスや歌や演劇で、「芸を磨く」ことって個を昇華させ続けていくことだと思うけど。
そういう「アーティスト」ならわかるよ。
でもそういうのじゃないじゃん。アイドルって。「個人の容姿が魅力的だから」 「かわいい/かっこいいから」売りじゃん。
どんなことしてその人を応援()してたとしても、お前らが喜ぶ感情の根幹は「○○君かっこいいー!」でしょ?
お前らの性欲収集機じゃん。気持ち悪いよ。何が人生だよ。応援じゃなくて依存だよそれ。
ジャ〇ーさんが特別気持ち悪い悪人だったんじゃないと思う。お前らが絶大な権力と美少年を得たら絶対同じことするよ。そういう根は同じ人種でしょ。
女は誰しもおばさんに、男は誰しもおじさんになる。小汚い中年になる。
気持ち悪いのはそれにいつまでも”夢を見て”る=人間性を無視して画面で切り取られた姿にいつまでもいつまでもキャーキャーハァハァ興奮してるお前らの方だと思うよ。
今も若い10代20代のグループ人気だけどさ、どうせおじさんになるんだよ。
てかなんであんな年端もいかない少年達が踊ってる姿に興奮できるの?ロリコンのジジイとかと同様に全然キモいよ。
別に、V豚も二次元も同様に気持ち悪いよ。でもアイドル業にハマる中年女性は特に無理あるって。
男は貞操観念薄くても続けられる謎システムのせいで、なんか、病気が長引いちゃってかわいそうではあるよね。
好きな子がウリに出されたんじゃなくて良かったな
――当たり前の毎日が、ある日突然不気味な影に蝕まれるなんて、少し前のわたしなら想像もできなかった。わたしは中学三年生。受験を控えているため、普段は塾に通ったり、学校でも進路の相談をしたりと、それなりに忙しい日々を送っている。家は住宅街にあり、学校までは歩いて15分ほど。街灯の数はそこそこあるし、真夜中に外を出歩くわけでもないので、これまで怖い思いをしたことはほとんどなかった。
それでも、一学期の終わりごろから微かな“違和感”が生まれ始めた。最初は通学路を歩いているとき、「視線を感じる」という程度だった。ふと、だれかに見られている気がして後ろを振り返るのだけれど、そこに人の気配はない。でも、どうにも落ち着かない。そんな日が何度か続いて、夏休みが終わった頃には「もしかしたら、わたしの思い過ごしじゃないのかも」と感じるようになった。
決定的だったのは、ある夕方、塾が終わってから夜に帰宅するときのこと。友達と途中まで一緒に歩いていたが、その子がコンビニに寄ると言うので先に別れ、一人で家に向かうことになった。少し薄暗くなってきてはいたものの、まだ人通りがゼロというほどでもない時間帯。だけど、その日はやけに背後が気になった。足音が一つ増えているような気がする。怖くなって、道路脇の自販機でジュースを買うふりをして、そっと後ろを見やった。すると、街灯の下に男の人が立っているのが見えた。30代後半くらいに見え、腹が少し出た体型。見覚えのない顔なのに、こちらをじっと見ている。その目つきに、不気味な笑みが浮かんでいたように感じた。
一瞬、心臓が止まりそうになった。「もしかして、わたしをつけている…?」考えたくなかったが、その可能性を否定できなかった。その日は慌てて家に帰り、両親にも打ち明けた。母は「気をつけなさい」と言い、父は「危なそうだったら遠慮なく叫べ」とアドバイスをくれた。わたし自身も「気のせいじゃないかも」と半ば確信していたけれど、決定的な何かがあるわけでもないので、どうにも気持ちが晴れない。そんな宙ぶらりんの状態が続いていた。
ところが、数日後、ついにその男が正面からわたしに接触してきた。学校から帰ろうとして、家のすぐ近くの角を曲がったところで、まるで待ち伏せしていたかのように声をかけられたのだ。
思いがけない質問に、一瞬「え…?」と固まってしまう。すると男は、妙にテンションの高い声で続けた。
「ガンダムだよ、ガンダム。プラモデルとかあるだろ? あれ、ガンプラって言ってさ。実は俺、ガンプラを転売して生活してるんだよ。レアな限定品とかはネットで高く売れるから、なかなか儲かるんだよね」
まったく身に覚えのない話を次々と畳みかけられて、困惑しかなかった。わたしはガンダムに興味があるわけでもない。何より、この男がどうしてわたしの家の近くで待ち構えているのかが気持ち悪い。けれど、怖さと戸惑いで体が動かず、言葉も出なかった。
「もし興味あったら、一緒にガンプラ買いに行かない? 教えてあげるよ。限定版とか、結構大変なんだけどさ、手に入ると嬉しいんだよな」
意味不明な勧誘に、わたしは思わず後ずさった。怖い。この人はわたしを待ち伏せして、しかもこんな会話を一方的に押しつけてくる。わずかに震える声で、「興味ないんで、すみません」とだけ言うと、逃げるように家の門を開けて中に入った。ドアを閉める直前、わたしを見つめる男の目はまだ笑っていた。あの不気味な笑みが焼きついて、頭から離れなくなった。
その日から、男はわたしの周囲でますます姿を現すようになった。朝、家を出るとき、門の外に立っていることもある。学校の近くで待っていることもある。わたしだけでなく、クラスの友人たちにも目撃されはじめ、「あの人何?」「怖いんだけど」と噂になった。「髪が脂ぎっていて、いつもガンダムのTシャツ着てるよね」とか、「30代後半くらいかなあ。ガンプラ転売ってホント?」なんていう憶測がクラスで飛び交っていたけれど、わたしからすれば笑い事ではなかった。
どうしてわたしをターゲットにするのかが分からない。ガンダムなんてまったく興味ないし、むしろ男の人が言うようなレア商品の価値もピンとこない。無視してやりすごそうにも、毎日しつこく声をかけてくる。「おはよう。昨日はガンダム観た?」「ガンプラ買うなら今がチャンスだぞ」など、訳の分からない話ばかり。はじめは無視して歩いていたのだが、そのうち腕を掴まれそうになることもあった。
「逃げんなよ。俺は優しく教えてやろうとしてるのに」
その言い方が、もう普通じゃない。目の奥が怖くて、まるで自分が獲物にされているような、そんな凄みを感じた。学校の先生に相談し、生活指導の先生が一緒に帰り道を巡回してくれる日もあった。でも、その日は男の姿は見当たらない。先生がいない日に限って、わたしの通り道にひょいと現れるのだ。わたしは携帯を握りしめて、いつでも警察に電話できるように心がけていたが、相手がすぐに手を出してくるわけでもない。曖昧な距離を保ちながら、ネットリと追いかけられている感覚だった。
さらに恐ろしかったのは、わたしのSNSを探し当てられたこと。プロフィール写真は家族や友達との写真だったが、そこからわたし本人を特定したのだろう。急にフォロー申請が何件も届き、メッセージで「一緒にガンプラ見に行こうよ」「ガンダムの良さを教えてあげるからさ」としつこく書かれたものが送られてきた。もちろん拒否したけれど、それでもアカウントを作り直して追いかけてくる。
そのSNSのアイコンもガンダム関係のものばかり。タイムラインにアップされている写真には、大量のプラモデルの箱が積み上げられており、「最近ゲットした限定版。転売すれば倍になるけど、コレクションにしてもいいよな」とか「本当に好きな子に出会えたら、このコレクションを見せてあげたい」など、怪しいコメントが並んでいた。わたしは背筋が凍る思いだった。どうやってブロックしても追いかけてくるし、日に日に執着が深まっているようにすら感じられる。
両親も事態を重く見始め、警察に相談したほうがいいのではないかという話になった。わたしは「でも、実際に身体的な被害には遭っていないし…」と気が引けていた。学校の先生も「警察に通報して相手を刺激するのが心配だ」という雰囲気で、結局「注意して帰りましょう」というアドバイスのまま、なかなか大きく動くことができない。その間にも、わたしの不安はどんどん募っていった。
そして、ある日の夕方、決定的な恐怖に襲われる事件が起きた。学校の文化祭準備があったため、いつもより帰りが遅くなったわたしは、友達と途中まで一緒に歩いたあと、一人で家に向かっていた。塾の時間も迫っているし、ちょっと急ぎ足だった。ふと曲がり角を曲がった瞬間、目の前に男が立っていた。わたしは思わず悲鳴を上げそうになったが、声にならない。
まるでわたしの行動を全部把握しているかのような口ぶり。彼はあの不気味な笑みを浮かべながら、何か箱のようなものを差し出してきた。ガンプラのパッケージだ。派手な色のモビルスーツが描かれている。
「これ、新作の限定ガンプラ。転売したら高いけど、お前にやるよ。あ、でもただじゃないよな? 俺の好意をちゃんと受け止めてくれるなら、ってことだけど」
彼の言葉の節々に感じる狂気めいた雰囲気。逃げなければ、と思っても、足がすくんで動かない。必死に頭を回転させ、「受け取るふりをして箱を落として、その間に逃げる」という作戦を瞬時に思いついた。わたしは手を差し出すと同時に、わざと勢いよく箱を地面に落とした。
「何してんだよ!」
彼は怒鳴り、落ちた箱のパーツが散らばる。わたしはその隙に走り出した。涙があふれて、視界がにじむ。背後からは乱暴な足音と、「待て! ふざけるな!」という声が聞こえた。息が苦しくなりながらも、どうにか大通りまで走りきり、人通りが増えたところで立ち止まる。彼は少し離れた場所に立ち尽くし、苛立ったようにわたしを睨んでいたが、さすがに人目が多いのか追っては来なかった。
恐怖と悔しさが混じった感情で、わたしはその足で交番に駆け込んだ。そこで出会った警察官は、最初は「どうしたの?」と優しく声をかけてくれた。わたしは必死に息を整えながら、ここ数週間の出来事を話した。ストーカーまがいの執着や待ち伏せ行為、SNSでのつきまとい……警察官の表情が真剣になっていくのが分かった。
連絡を受けた両親が交番に駆けつけ、わたしが受けた被害を詳しく話すと、警察官は「これ以上放置できない」として本格的に捜査に乗り出すことを約束してくれた。わたしはそこでようやく少しほっとしたが、同時に「もっと早く相談しておけばよかった」と強く思った。
それから数日後、警察が男を逮捕したとの連絡があった。わたしの塾の前で、再び待ち伏せしているところを張り込んでいた捜査員が確保したらしい。男は「自分はただガンダムの良さを伝えたかっただけ」などと弁明していたようだが、わたしの写真を無断で撮影して保存していたり、行動パターンをメモに書き込んでいたりと、数々の“ストーカー行為”の証拠が見つかり、転売目的で集めたガンプラの山とともに押収されたと聞いた。
ニュースサイトの地域欄に、小さく「30代男性をストーカー規制法違反で逮捕」と載っていた。名前は伏せられていたけれど、間違いなくあの男だろう。あの不気味な笑み、尋常ではない執着心、SNSでのしつこいメッセージ……わたしの普通の生活は、そんな彼の行動で大きく乱されていた。いま思うと、本当に怖かったし、もし警察に駆け込むのが遅れていたら、もっと大きな被害に遭っていたかもしれない。
男が逮捕されたと聞いてから、わたしはようやく外に出るときの恐怖から解放された気がする。とはいえ、すぐに「もう安心」とは思えず、しばらくは父や母に迎えに来てもらったり、友達と一緒に行動したりして、用心深く過ごした。学校の先生や友達もわたしを気遣ってくれたおかげで、少しずつ心の傷が癒えていったように思う。
受験勉強が本格化するにつれ、わたしはあの出来事を少しずつ振り返る余裕もできた。中学生のわたしには、あの男の「ガンダム転売」という仕事自体がピンと来なかった。好きなものを売買することで生計を立てている大人がいることは分かったが、それを理由に他人を追い回し、恐怖に陥れる行為が正当化されるわけがない。何より、彼自身がガンダムの魅力を熱く語る一方で、人の気持ちを無視した行動ばかり取っていたことに、強い矛盾を感じる。
今では、わたしが夜道を歩いているとき、あの男の足音を想像してしまうようなことはかなり減った。完全にトラウマが消えたわけではないけれど、警察や家族、学校の先生など、わたしを守ってくれる大人がいたことで「一人じゃない」という安心感を得られたのが大きいと思う。
この一件で学んだのは、「変だな、おかしいな」と感じたらすぐに誰かに相談することの大切さだ。最初は「大げさかな」「気のせいかな」と思って、なかなか行動に移せなかった。でも、もしもう少し早い段階で大人に相談していれば、あんなに怖い思いをしないで済んだかもしれない。今はその後悔を活かして、少しでも不安を感じたら周囲に声を上げるようにしている。
ガンダムオタクにストーキングされるなんて、わたしの人生にまさか起こるとは思わなかった。だけど、最終的に彼が逮捕されたことで、わたしの生活は再び平穏を取り戻した。この先も、いつどこで危険が潜んでいるか分からないからこそ、小さなサインを見落とさないように、そして自分の身を守るための行動をためらわないように――そう心に刻みながら、わたしはこれからも前を向いて生きていこうと思う。
好きな子の聖水かけてもらえばええやん。
ほんと女ってそういう男好きね、という毎度の感想。はてなに行き着くような女でさえそういう男が好きなのか - punkgame のブックマーク / はてなブックマーク
定期的にこういうの沸くけどさ、この発言する男って自分よりフィジカルが強い人間はみんなDV男に見えてるんか?
はてブは学生時代にウェイにいじめられた男多そうだから過剰反応しちゃうんかね。好きな子をウェイにとられたとか?でもむしろウェイなんか選ぶ馬鹿と結婚することにならなくて良かったのでは?顔だけで他はゴミ女だったかもよ。
大体、イライラしてる時に口論になったらほとんどの人間が手出すじゃん。
幼い頃から、私たちは“セット”として見られてきた。生まれた日も同じ、顔立ちもよく似ている――いわゆる“一卵性双生児”ではないけれど、それでも周りからは「双子っていいね、仲良しでしょ?」と言われ続けてきた。実際に仲が悪いわけではないし、ケンカらしいケンカをしたことも数える程度しかない。
私と兄は同じクラスに入ることが多くて、席替えのときにはいつも先生が「双子は離しておいたほうがいいわよね」と気をつかってくれたから、わざわざ離れた席にされたりもした。まあ、それはそれで気が楽だった。四六時中、兄の隣りにいるのはちょっと落ち着かないというか、どうも“完全なる一心同体”なんてことはありえないんだと、子どもながらにどこかで感じていたから。
けれど、周囲のイメージとは裏腹に、私たち姉弟――いや、厳密には数分だけ兄が早く生まれた、という関係性――は、「まるで違うタイプ」の人間だった。性格も、好きなものも、行動パターンも、何もかも対照的。
兄は昔から落ち着いていて、実に要領がいい。小学校の頃から自然とリーダー役を任されることが多くて、学級委員をやっていたこともある。友達は多いし、先生からの信頼も厚い。ふと気づけば彼を中心にグループができているような感じで、皆が「○○君に相談すれば大丈夫」「分からないことがあったら○○君に聞けばいい」と頼ってくる。本人はあまり偉ぶることもなく、いつも穏やかに笑いながらうまく場を収めていた。
一方の私は、人前でしゃべるのも苦手だし、控えめに言っても“引っ込み思案”な性格だ。自己主張しないタイプで、どちらかと言うと集団より一人でいるほうが落ち着く。そんな私の横に、なんでも器用にこなしてしまう兄がいる――それがどれほど大きなコンプレックスを生むか、たぶん兄自身は気づいていない。
双子の妹としては、兄のことを「尊敬している」という気持ちが確かにある。その一方で、「ああ、また兄が注目を集めてる」「私なんて何をしても目立たない」と思わず拗ねてしまう瞬間だって少なくない。
たとえば、小学生のとき、学習発表会の劇で主役を決めるオーディションがあった。私は勇気を出して立候補してみたのだが、結果的にみんなの前でうまくセリフを言えず、途中で声が震えてしまった。恥ずかしくなって固まっていると、「じゃあ代わりに○○君やってみて」と先生が兄を指名した。すると、兄はほとんど練習もしていないはずなのに、しっかりセリフを頭に入れていて、堂々と演じてしまったのだ。そこにいたクラスメイトの拍手と歓声の大きさを思い出すと、今でも胸が苦しくなる。「これだよ、これ」と、みんなが“求める”のはいつも兄の方。私という存在は、最初からオプション扱いなんだ、なんて気持ちになってしまった。
そうやって、「どうせ私は兄に敵わない」と思うと同時に、兄が称賛される姿を見て心のどこかで誇らしく思う自分もいた。この矛盾した感情を抱えながら成長していくうちに、私は自分がブラコンなのかもしれない、と思い始めた。
――ブラコン。そう、兄を強く慕う妹のことを、ネットや友達同士の会話なんかでは気軽に「ブラコン」と呼ぶ。でも“好き”と言っても、それが恋愛感情であるはずがない。一方で、ただの家族愛だけとも言い切れない。自分でも整理しきれない妙な感情を“ブラコン”という軽い言葉でごまかしている気もした。
中学生になってからも、この複雑な関係は続いた。中学校ではクラスが分かれることもあったし、部活動も別だった。兄はバスケ部、私は図書委員。これで少しは「双子セット」から解放されるかと思ったのに、周りの子にはすぐに「バスケ部の○○君の双子なんだ!」「あのイケメンの妹?」なんて言われる。兄が“イケメン”かどうかは正直私にはわからないけど、少なくともモテることは確かだった。
それを素直に「すごいね」って思えればよかったけれど、現実は違った。私の中にはまたしても“嫉妬”とも言えるような感情が生まれていたのだ。
兄が女子からチョコをもらってきた日、家に帰ったら「これ、好きな子から?」「気になってる子いるの?」と何気なく聞いてしまう自分がいる。いや、妹として話題にするくらいは普通だろう。それでも内心では妙なざわつきを感じる。兄の恋愛を想像するたびに、寂しいような、モヤモヤするような感情が胸のあたりで渦巻く。
私はどうしようもなく「兄を意識しすぎている」と思った。たとえば学校のテストの成績が出たとき。掲示板に学年順位が張り出されると、私は自分の順位より先に兄を探す。兄の成績が上位なら嬉しいし、誇らしい。だけど、いつも兄より下の順位の自分がなんだか情けなくもなる。
結局、私は兄の背中を追いかけているのか、それとも追い抜きたいと思っているのか、自分でもはっきりしない。そんな曖昧な気持ちを抱えてしまうせいか、勉強も部活も中途半端なまま、どんどん自分に自信をなくしていった。
高校受験が迫ったとき、先生には「同じ学校を受けることになるよね?」と当然のように言われた。両親も「双子なんだから同じ高校でいいじゃない」と笑っていた。だけど、私は少し反発心を抱いていた。いつまでも「兄の妹」として見られるのは嫌だったし、同じ進路を選ぶのが当たり前というのもなんだか癪に触った。
しかし、結局は同じ高校に通うことになった。兄の成績ならもっとレベルの高い私立や、他の選択肢もあったはずだけど、彼は家から一番近い、いわゆる“県立の進学校”を選んだ。私としては心の底でほっとしたのかもしれない。だって、違う学校に進んでしまったら、毎日どんな気分になるのか想像もつかなかったから。
高校に入り、部活も別々、クラスも別々になった。それなのに、噂はすぐに広まった。「あのイケメンの双子」だの「お兄さんと妹さん全然似てない」だの、また私は地味な存在として扱われ、兄だけが注目されているという図式が出来上がる。私はその“いつもの光景”に、慣れてしまったのだろうか。辛い、悔しい、というよりも、「ああ、またこれだ」と自分を納得させてしまっていた。
しかしその一方で、兄が自然とクラスでも中心的存在になるのを見て、どこか安心している自分がいる。それは確かにブラコン的な感情なのかもしれない。だって、「あ、また人気者になっちゃってる」「でも、なんだか誇らしいかも」と思ってしまうのだから。変だと思いながらも、これが私の素直な気持ちだった。
このまま大人になって、いつか兄が誰かと付き合ったり結婚したりすることになったら、私はどんなふうに感じるんだろう――そんな想像をすると、時々息苦しいような、不思議な寂しさが込み上げてくる。兄がいなくなるわけじゃないのに。「家族」だから、ずっと一緒に暮らすわけじゃないとわかっているのに、なんとなく孤独を感じずにはいられない自分がいる。兄がいなければ、私のアイデンティティはどうなるのか。自分ひとりで立っていられるのか、不安になる。
ある日の放課後、私は図書室で一人、本を読みながらうとうとしていた。すると、突然ガタガタと椅子が動く音がして、目の前に兄が座っていた。
「珍しいね。ここで何してんの?」
兄は私がよくいる場所をわかっていたみたいで、わざわざ探しに来たらしい。
「いや、ちょっと疲れちゃって……寝てた」
私が照れ隠しにそう言うと、兄は少し笑ってから、「今日は部活早めに終わったからさ、待たせちゃ悪いし。帰ろうと思って」とあっさり言った。
私が彼を待つなんて、そんなの当たり前じゃないのに。いつからか私たちは、自然と同じ時間に家を出て、同じ時間に帰るようになっていた。もちろん都合が合わない日は別行動だけど、兄はできるだけ合わせようとしてくれる。
私は不器用に本を閉じてバッグにしまいながら、少し早足で歩く兄の後ろ姿を見つめた。いつの間にか、背も私よりずっと高くなっていた。昔はほとんど同じ身長だったはずなのに。そんな変化ひとつひとつが、私の心をシクシクと痛めつけるような気がした。
高校二年のある夜、兄がふいに私の部屋のドアをノックした。ドアを開けると、彼が少し困ったような表情で立っている。いつも余裕たっぷりの顔をしている兄にしては珍しい。
そう言って兄は部屋に入ってきた。私は慌てて机の周りを片づけ、椅子を勧めた。何か深刻な話でもあるんだろうかと、胸が高鳴る。
「どうしたの?」と聞くと、兄は小さく息をついてから、「……おれ、告白されたんだ」と言った。
瞬間、私は心臓が大きく跳ねた。体温が上がるのを感じる。なんだ、その話。自慢でもしてるの?――そんな意地悪い言葉が頭をかすめる。けれど、兄が思いのほか真剣な表情をしていることに気づき、私は思わず黙り込んだ。
「その……同じクラスの子なんだけど、バスケの試合をよく応援してくれてて、この前の大会終わってから声をかけられた。ちゃんと考えて答えたいんだけど、自分はどうしたらいいのかわからなくて……」
兄はもともと人気者だし、告白くらい何度かされてもおかしくはない。けれど、彼がこんなふうに私に相談してくるのは初めてだった。
「どんな子なの?」と私は声を震わせないように気をつけながら尋ねる。
「明るくて、周りを盛り上げるのが得意な感じ。勉強も得意みたいだし、すごく……可愛いと思う」
そこまで言われて、私はなんとも言えない感情に襲われた。可愛い子。兄がそう表現する女の子。おそらく兄にふさわしい、そういうタイプなんだろう。私とはまるで正反対の…。
でも、私は笑顔を作って、「いいじゃない。付き合えば?」と返した。兄は意外そうな顔をして、「そっか……でも、なんだか変に緊張して気軽に返事できなくてさ」とさらに眉をひそめる。
「兄ちゃんがいいと思うなら、OKすればいいんだよ。あ、応援してるから」
声が上ずりそうなのをこらえながら、私は精一杯明るい口調を作った。兄は少し安心したように笑って、「そっか……ありがとう」と言い、私の部屋を出て行った。
扉が閉まった瞬間、私は椅子に崩れ落ちた。ああ、終わった。そんな意味のわからない言葉が頭に浮かんでくる。私にとっては“何かが終わった”気がした。兄がこのまま誰かと付き合って、どんどん私の知らないところで大人になっていく……。その未来を思い描くと、胸の奥に大きな穴が空いたように感じる。
あの夜から私は兄とどう接していいのかわからなくなった。どんな顔をすればいいのか、何を話せばいいのか。今まで自然と近かった距離が、一気に遠のいてしまったような気がする。
それでも朝になれば兄と顔を合わせるし、一緒に家を出る。兄は普段通りに私に接してくれる。時には「行ってきます」と頭をポンと叩いて笑ってみせたり、何気ない雑談を振ったり。でも、私は妙なぎこちなさを拭えないまま、まともに目を合わせられなくなってしまった。
兄のほうは私のそういう態度に気づいているのかいないのか、何も言わない。それが逆に辛かった。私が一方的に意識しすぎているだけなんだと思い知らされるようで。
しかし、数週間ほど経ったある日、兄はふと私の肩を掴んで、ぐるりと向かい合って言った。「お前、最近なんか変じゃない? 具合悪いのか?」と。私はドキッとして何も言えなくなり、目をそらそうとする。
「もしかして、あれ……おれが告白された話、嫌だった? ごめん、変な相談して」
兄はそう言って、気まずそうに視線を落とした。そのとき私は、頭の中がぐちゃぐちゃになったまま、「別に」と口走った。
「別に、嫌とかじゃないし。良かったじゃん、兄ちゃんが告白されて……」
「うん、でもなんかお前の態度が変だからさ。もしかして反対なのかと思って」
「なんで私が反対しなきゃいけないの。全然いいよ。早くOKすれば?」
自分でもわかるほどに、投げやりな声になってしまう。兄は少しむっとした様子で、「何だよその言い方」と眉をしかめた。
あ、もしかして今、兄がちょっと怒ってる? 珍しい。そんなことを考えた瞬間、私は突然涙がこぼれそうになって、慌てて目を閉じた。
「ごめん……」
小さな声で謝ると、兄はそれ以上は何も言わずに、ほっと息をついて「わかったよ。とりあえず……ごめんな、変な空気になっちゃって」と呟き、また歩き出した。私は動揺したまま、背中を見送るしかなかった。
私がブラコンなのかもしれない――そう意識し始めたのはいつの頃からだろう。ずっと昔から、兄は私の“特別”だった。それが家族愛だけなのか、別の感情が混ざっているのか、自分でもわからない。ただ一つ言えるのは、私は兄に強いコンプレックスを持ちながら、同時に強く惹かれているということ。
テストで負ければ悔しいし、兄が誰かに好意を寄せれば胸が痛い。それでも、兄が元気で笑っていてくれると嬉しい。それはまるで、一方的な片想いにも近いかもしれない――なんて考えるのは、やっぱりおかしいのかな。
あれから何日か経った頃、兄は告白してくれた女の子に対して「もう少し時間がほしい」と伝えたらしく、今も決断できずにいるようだった。どういうことなんだろう。私は聞きたいと思いつつも、なかなか話しかけられないでいる。兄も自分からその話題を振ってはこない。
でも、この中途半端な状態が続くうちに、私は少しだけ気持ちに整理がつきはじめた。もし兄がその子と付き合うことを選んだら、私は素直に応援したい。兄の幸せを喜んであげたい。それが「妹」として当然の気持ちかもしれないし、私が抱えているコンプレックスや嫉妬は、所詮は家族愛の延長にある“わがまま”なのかもしれない。
「おれさ、たぶん……その子と付き合うことになると思う」
思わずどきりとしたが、私はできるだけ自然な声で「そっか」と返事した。すると兄は少し笑って、「まあ、お前とはずっと一緒にいるし、いろいろ相談してくれてもいいのに、最近は離れちゃってるから寂しかったわ」とポツリと呟いた。
「別に離れてなんかないよ、兄ちゃんこそ勝手に決めつけないで」
私は思わずふてくされたような口調になってしまい、すぐに言い過ぎたかと後悔した。でも兄は、「そっか」と柔らかく微笑んで肩をすくめるだけだった。私の中で、何かがほっと緩むのを感じる。兄はいつも通りだ。大きな変化が起きる前の、最後の日常みたいにさえ思えた。
その週末、兄は正直に返事をしたようで、結果として女の子と正式に付き合うことになった。その報告を受けたとき、私は不思議と落ち着いていられた。ああ、本当に、兄に素敵な人が現れたんだな。良かった。きっとすごく似合う二人になるんだろうな。
だけど夜になって一人になったとき、妙に胸が苦しくなって、泣きそうになる自分がいた。まるで失恋でもしたような――いや、これは失恋なのかもしれない。私が心のどこかで抱いていた「一番近い異性としての兄」が、誰かに取られてしまったような気持ち。そうとしか説明できない。
ただ、それを口にするわけにはいかない。だって、そんなの兄にとっても彼女にとっても迷惑だし、何より自分自身が許せなかった。
それからは、少しずつだけど状況は変わっていった。兄は放課後に彼女と一緒に帰ることが増え、休日も部活の合間を縫ってデートに出かけるらしい。家にいる時間も減ってきたし、リビングで顔を合わせてもスマホを気にしていることが多くなった。
そんな姿を見るたびに、私は初めこそ「何それ」と拗ねそうになったけれど、次第に「ああ、これが普通なんだよね」と思えるようになった。いつまでも双子で一緒に行動して、べったりいられるわけじゃない。私たちはもう、高校生になって、少しずつ大人になる道を歩んでいる。兄が変わっていくように、私も自分自身で変わらなきゃいけない。コンプレックスに振り回されるだけじゃなくて、ちゃんと自分の人生を築く努力をしなくちゃ。
そうして意識を切り替えるようになってから、私は自分自身にもっと集中しようと考えた。成績を上げるために塾に通うことを決め、大学受験に向けて目標を明確にする。部活には入っていなかったけれど、放課後は図書室に残って勉強する習慣をつけた。
以前なら、兄と差を感じるたびに落ち込んでいたけれど、もうそれはやめよう。兄が私とは別の人生を歩むのは当然のことなんだ。私は私で、やるべきことに打ち込めばいい――そう思えるまでに時間はかかったけれど、兄が“誰かの彼氏”になることで、その覚悟ができた気がする。
ただ、正直に言えば、私はまだ「兄が好きなんだな」と感じる瞬間がある。家でふと兄の靴が脱ぎ散らかしてあるのを見たら、「もうちゃんと揃えてよ」と文句を言いながらも、心が温かくなる。彼がリビングでぼーっとテレビを見ていると、いつものように軽口を叩き合いたくなる。そんな些細な日常が、やっぱり私は好きだ。だからこそ、これからもずっと“兄の妹”であり続ける自分を大切にしたいと思う。
確かに、兄と比較して自分を卑下してしまうこともあるし、兄に対する“ブラコン”めいた気持ちがふとした瞬間に疼くこともある。けれど、それも私の一部なんだろう。
それに、コンプレックスを抱えながらも兄を慕っていた時間は、決して無駄ではなかった。兄を目標にしてきたから、こんな自分でも少しだけ頑張ることができたのかもしれない。だって、誰かを目標にしなければ、自分なんか何もせずに投げ出していただろうから。
将来、私たちが進む道はもっとバラバラになるだろう。大学へ行くのか、就職するのか、あるいは兄はさらに先の道を選ぶかもしれない。けれど、たとえどんな道を進もうと、私たちは双子でありきょうだい。そこに嘘はないし、その事実は変わらない。
――もしかしたら、私は一生「ブラコン」かもしれない。時々、兄のことを思い出して「あの人は今どうしてるんだろう」と胸を締めつけられるように感じるかもしれない。それでも、私には私の人生があるし、兄にも兄の人生がある。お互いが自分の道を歩いて、それでも時々振り返ったときに「相変わらず元気そうだね」と笑い合える。そんな関係が理想だ。
だから私は今、「ブラコンかもしれない」という自分を受け入れつつ、少しずつ前を向こうと思っている。コンプレックスごと受け止めたうえで、兄のことを好きでいるし、同時に自分の目標に向けて一歩ずつ前進していく。その先に待っているのがどんな未来なのかはわからない。でも、きっともう少し強くなった私なら、兄の存在に振り回されるばかりじゃなくなる――そんな期待を抱きながら、今日も図書室の机に向かう。
時々、顔を上げて窓の外を見つめると、校庭でバスケをしている兄の姿が見える。仲間と笑い合いながら走り回る姿は、いつも通りキラキラしていて、私の胸をかすかに痛めつける。それでも私は微笑んで、参考書に再び向き合う。
「大丈夫、大丈夫」と心でつぶやきながら。兄は兄で、私は私。二人で支え合い、時には離れて、それぞれの人生を歩んでいく。私のブラコンはきっと治らないかもしれない。でも、それでいい。そんな自分を認めてあげたら、少しだけ楽になれる気がする。