大分トリニータの2007年シーズンを振り返る。■ ダブルボランチ不在06年はチーム史上最高の8位でフィニッシュした大分トリニータだったが、中心となったMFトゥーリオとMFエジミウソンが退団し、ボランチが手薄になった。FC東京からMF宮沢を獲得したものの、不安いっぱいだった。
結局、新外国人としてMFアウグスト、FWセルジーニョ、MFジュニオール・マラニョンの3人を加えたが、未知数であり、予想のしにくいシーズンスタートとなった。
迎えたシーズンは、苦しいものとなった。懸念されたとおりにダブルボランチが固定できず、中盤での主導権を奪われる試合が多かった。得点源として期待されたFWセルジーニョは全くの不発で、MFアウグストは攻撃の核になりつつあったが、怪我のため長期離脱した。
「残留も危うし」という前半戦だったが、後半戦にむけて、MFホベルト、MFエジミウソン、MF鈴木慎吾、MF梅崎司ら即戦力を補強。ようやくチームは落ち着きを取り戻し、何とか、J1残留を確定させた。
■ チームを救った移籍組結果的に、シーズン途中の補強は大成功だった。その中でも、MFエジミウソンとMFホベルトの貢献度は高く、ダブルボランチが中盤の守備を引き締めて、攻撃にもいい影響を与えた。
また、新潟から獲得したMF鈴木も、左サイドでレギュラーを獲得。闘志溢れるプレーでチームを引っ張った。グルノーブルから復帰したMF梅崎も含めて、途中加入の選手がうまくチームに融合したことが、残留を決める要因となった。
■ 柔軟性のなかったシャムスカ采配残留は果たしたものの、やはり期待外れのシーズンだったといわざる得ない。最高順位は11で、シーズンを通して下位に低迷し、浮上のきっかけもつかめなかった。
一時は、「シャムスカ・マジック」とまで称されたシャムスカ監督だが、今シーズンは苦しんだ。序盤は戦力が整っていなかったことも事実だが、采配に柔軟性が無く、ウイークポイントをカバーするだけの戦術を用意することはできなかった。
やり繰りの上手な監督には違いないが、なかなかチームの方向性を示してくれないので、チームとしては停滞した1年であった。来シーズンは勝負の年であり、『シャムスカに任せておけば大丈夫』とは言い切れない状態になってきている。
■ 改善されなかったビルドアップ大分の課題といえるのが、ビルドアップ能力の低さ。MFにホベルト、DFに森重が入ってからは、いくらか改善されたが、単調なパス回しに終始することが多く、攻撃は停滞した。3バックで起用された選手は、総じてパス能力に乏しかった。
ボランチにMFエジミウソンとMFトゥーリオがいた06年は問題にならなかったが、彼らが不在になったシーズン前半は、ビルドアップのまずさは致命的になった。U-20代表のMF森重がリベロで起用されるようになってからビルドアップ能力が向上したことは明るい材料だが、チーム全体でしっかりとしたトレーニングを重ねることが必要である。
■ 10得点をマークした高橋不調に終わった選手が多かった中で、右のウイングバックの高橋は、リーグ戦で10ゴール。ダイナミックなプレーが、数々の歓喜を呼び込んだ。突破力はそれほどでもないが、運動量が豊富で、右サイドの守備も上達を見せている。
勝負強いのも魅力で、サイドの選手としては破格の得点力を備えている。熱いハートも魅力であり、次代のチームを担うタレントである。
■ グルノーブルから帰ってきたMF梅崎フランス2部のグルノーブルから戻ってきたMF梅崎は、チームに復帰すると、トップ下でポジションを獲得。以前と比べると、強さが増して、力強いプレーヤーに変貌した。
しかしながら、波もあって、満足できるシーズンではなかっただろう。その能力は折り紙つきなだけに、五輪代表や日本代表のメンバーに食い込むにも、大分でしっかりとした実績を作って欲しい。
■ 九州のサッカー界の期待を背負う九州のJ1チームは、大分トリニータただ1つであり、九州のサッカー小僧のためにも、トリニータは大きな責任を背負っている。
サッカープレーヤーの卵である少年たちには、最高レベルのプレーを提供して挙げなければならないが、今シーズンのような試合内容では、問題だろう。来シーズンの躍進を期待したい。
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