■ 運命を決める入替戦の2試合目入替戦の2試合目。11月29日(日)に行われた入替戦の初戦を1対2で落とした大分トリニータがホームの大分銀行ドームで町田ゼルビアと対戦した。レギュラーシーズンは大分は8勝20敗14分けで21位。町田は23勝4敗9分けで2位と対照的な数字を残しており、大分は入替戦の初戦を含めると5連敗中。一方の町田も同様に入替戦の初戦を含めると過去10試合で8勝2分けと絶好調。引き分け以上で「J2昇格」となる。
ホームの大分は「4-2-2-2」。GK武田洋。DF阪田、ダニエル、山口貴、安川。MFキム・ジョンヒョン、松本昌、松本怜、為田。FW高松、エヴァンドロ。初戦で退場処分を受けたDF若狭とDF鈴木義はともに出場停止。MF兵働は腰を痛めているため欠場中。FW三平も怪我のため欠場。出場時間が1,000分未満だったMFキム・ジョンヒョン、FW高松、FWエヴァンドロ、DF阪田がスタメンというやや苦しい陣容となった。
対するアウェイの町田は「4-2-2-2」。GK高原。DF土岐田、深津、増田、平。MF李漢宰、森村、鈴木崇、重松。FW戸高、鈴木孝。こちらは「現時点ではほぼベスト」と言えるスタメンとなった。エースのFW鈴木孝は入替戦の初戦は2ゴールの大活躍。前半のアディショナルタイムに決めた同点ゴールはとてつもなく価値のあるゴールだった。今夏にJ2の福岡から加入したMF森村はボランチでスタメン出場となった。
■ 明暗を分けたPK成功&PK失敗試合は前半9分に大分がビッグチャンスをつかむ。スタメン抜擢のFWエヴァンドロの左足のクロスからファーサイドで待っていたFW高松がフリーでヘディングシュートを放つがキーパーの正面に飛んで先制ならず。勝たなければならない大分が優勢だったが、前半34分にエリア内でDF安川が倒されてPKを獲得。先制の絶好のチャンスを得たが元日本代表のFW高松のPKをGK高原がビッグセーブで防いで先制ならず。
0対0で迎えた後半12分に今度はアウェイの町田のエースのFW鈴木孝がエリア内で倒されてPKを獲得。エリア内なのか?エリア外なのか?はやや微妙だったが山本雄大主審は迷わずPKを宣告。FW鈴木孝が自ら決めて町田が先制に成功する。FW鈴木孝は2試合連続ゴールとなった。「ここから2ゴールを奪ったとしても延長戦」という追い込まれた大分だったがなかなかチャンスシーンを作れず。時間だけが過ぎていく。
大分は後半35分にMF西弘則を投入。もう1枚カードが残っていたがFWパウリーニョが投入されたのは後半48分。後半43分あたりからDFダニエルを最前線に上げるパワープレーを仕掛けたがほとんどチャンスシーンを作れなかった。2連勝した町田が見事に2012年以来となる「J2昇格」を果たした。一方の大分はまさかの「J3降格」。J1経験のあるクラブがJ3リーグに落ちるのは史上初めて。最悪の結末となった。
■ 2012年以来となるJ2昇格を決めた町田ゼルビアアドバンテージを持って大分に乗り込んできた町田が入替戦を制した。J2とJ3(JFL)の入替戦の制度が導入されたのは2012年だったが、初年度は昇格の権利が無かった長野パルセイロがJFLで2位になったので入替戦は実施されず。J2で22位の町田が自動降格となった。2013年はJFLの讃岐(vs 鳥取)がJ2昇格を決めて、2014年はJ2所属の讃岐(vs 長野)がJ2残留を果たしたので、3回目で2度目となる下剋上となった。
PKの成功と失敗が明暗を分けたのは言うまでもないところ。前半35分のFW高松のPKが成功していたらトータルスコアは2対2となったが、アウェイゴールの差で大分が勝ち抜けとなる。町田の方が「このままではダメ」という状況になったが、キーパーのGK高原がビッグセーブで防いだ。自らPKを獲得してプレッシャーのかかるPKを決めたFW鈴木孝の活躍も見事だったが、MOMは文句なしでGK高原と言える。
町田はクラブ史上2度目の「J2昇格」となる。2012年は名将のアルディレス監督がチームを率いてショートパス主体の特徴的なサッカーを見せたが7勝24敗11分けの成績で最下位。自動降格となったが、相馬監督になってからは守備の堅さがウリとなっている。今シーズンは36試合でわずか18失点のみ。1試合平均の失点数が0.50というのは驚異的である。とにかく手堅いチームだったが、勝負強さも持っている
昇格1年目の金沢が今年のJ2で旋風を巻き起こしたことは記憶に新しいが、これだけ守備に関して飛び抜けた成績を残しているチームなので町田が昇格初年度でそこそこの順位に付けたとしても誰も驚かないだろう。2013年が4位、2014年が3位とあと少しのところで「J2復帰」を逃してきたが、3度目の正直で「J2昇格」を勝ち取った。J3のレベルが年々向上していることを印象付ける入替戦の2試合だったと言える。
■ まさかのJ3降格となった大分トリニータ一方の大分はまさかの「J3降格」と言える。昨シーズンは17勝13敗12分けで7位。あと少しのところでプレーオフ出場を逃したが、悪くないシーズンだった。オフにWボランチのレギュラーだったMF末吉(→福岡)とMF伊藤大(→岡山)が揃って退団。不安視する声が無かったわけではないが残留争いに巻き込まれることを想像できた人はほとんどいなかった。Jリーグ史に残るような「サプライズ降格」となった。
怪我人と出場停止者でメンバーが揃わない中、ベテランのFW高松をスタメンで起用。今シーズンはスタメン起用は8試合だけ。最後にスタメンで出場したのは8月8日(土)に行われた28節の愛媛FC戦(H)。ということで約4か月ぶりのスタメンだった。経験豊富な「トリニータの顔」に賭けたが、前半9分の決定的なヘディングシュートを決められず、前半35分のPKも失敗。サッカー人生の中で辛い1日の1つになってしまった。
「1年でのJ2復帰」は至上命題となるが簡単な道にはならないだろう。J2からJ3に降格したカターレ富山やガイナーレ鳥取の現状を見ると決して楽観視はできないが、そうは言っても、クラブ規模やクラブの歴史やタレント力やサポーターの数は過去にJ2から降格したクラブとは大きな差がある。「どのくらいの選手をチームに残すことが出来るか?」で大きく変わってくるが、大本命となるのは間違いないだろう。
ただ、J1からJ2に降格するときもかなり大変であるが、現状ではJ2からJ3に降格する方がはるかに大変である。J2が誕生した当初はJ1とJ2にとてつもない格差があったので「この世の終わり」のような感じで1999年に浦和がJ2に降格したのが象徴的であるが、その後、J2の規模が大きく拡大。環境もレベルも注目度も格段にアップしたが、J3となるとJ2と比べてもあらゆる部分で大きく見劣りするのは否めない。
観客動員が1,000人程度の試合も珍しくない。自分のプレーを観てもらえるチャンスが格段に減るので若手から中堅世代の主力を留めるのはかなり難しいだろう。大分と言えども、楽に「J2昇格」を決めることはまずありえないと思うが、J1を経験している大分のようなクラブがJ3に落ちてくることは他のJ3のクラブの刺激になるのは確か。「J3降格」は決まってしまったが、いろいろな効果を期待したい。
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