大分トリニータが浦和レッズをホームの九州石油ドームに迎えて対戦した。試合は、大分が前半9分、カウンターから松橋が左サイドを突破して中央にグラウンダーのクロスを送ると、混戦から高松が押し込んで先制。後半14分には、高橋が中央を松橋とのワンツーで切り裂くと、強烈な右足のシュートを決めて追加点。浦和の反撃をワシントンの1点に抑えて、2対1で大分が勝利した。
前半は、完全な大分のペース。浦和のシュート数はなんとゼロ本。梅崎や松橋といったアタッカー陣が、浦和のディフェンスをきりきり舞いにした。後半、運動量が落ちて集中力が欠け始めたこともあり、不用意なパスミスから危ない場面を迎えることもあったが、内容的にも完勝だった。
大分では、実質2アシストのFW松橋が光った。日本代表入りも期待される快速アタッカーは、この試合も躍動した。とにかく、このスピードは分かっていても止められない。いい形で前を向いたら、DFはどうしようもない。もちろん、スピードだけではなく、この試合の2点目のアシストのシーンからも分かるように判断力も向上していていて、オールラウンドなストライカーに進歩した。例えば国際試合で、相手のディフェンスを崩しきれないとき、一番必要なのは、分かっているのに止められない武器である。松橋のスピードは、リーサルウェポンになりうる。
日本代表に初めて選ばれたMF梅崎は、この試合でも、積極的なプレーでチームを牽引した。サイドに流れて相手と勝負したときの打開率が高く、中に切れ込むと強烈なシュートが待っている。右利きだが、左利きと間違えているメディアもあるくらい左足のシュートも遜色がない。最後はスタミナ切れになって交代したが、19歳とは思えないほど、サッカー選手として完成している。
松橋と組んで2トップを形成した高松は調子が上がっている。前の試合に続いて、この試合でも貴重なゴールを決めた。ターゲットタイプの選手は、日本には不足しがちなので、いずれはオシムジャパンに呼ばれることだろう。
一方の浦和は、散々な出来。堅守を誇ったディフェンス陣も、大分に翻弄された。ワシントンの孤軍奮闘ぶりと周りの選手の不甲斐なさも目立った。特に、気になるのが長谷部のプレー。彼は、もっともっとできる選手だが、今のタレント集団の浦和レッズの中では、それほど長谷部が活躍しなくても、チームは勝つことが出来るし、100%の力を発揮せずとも、何とか形になってしまう。セルティックの中村俊輔にも言えることだが、このレベルの選手は、より厳しい環境のなかで、”自分が活躍しないとチームが勝てない”、という状況に置いておかないとさらなるステップアップは望めない。この若さで、浦和レッズという人気チームの中核としてプレーするのは、なかなかできることではないが、今年の長谷部を見ていると何か物足りない。
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