■ 第12節J1の第12節。4勝5敗2分けで12位のアルビレックス新潟と、0勝8敗3分けで最下位の大分トリニータがビッグスワンで対戦した。新潟はここ3試合で2勝1分けと勝ち点を積み上げているが、大分はリーグ戦は開幕から11試合勝ちなしで、ナビスコカップも含めると16試合勝利なしと苦しんでいる。
ホームの新潟は「4-2-2-2」。GK黒河。DF川口、大井、金根煥、金珍洙。MF三門、レオ・シルバ、成岡、田中亜。FW田中達、川又。2トップの一角のFW田中達は10試合に出場しているが、まだリーグ戦でゴールは生まれていない。この日はMF三門がボランチで、MF成岡が2列目で起用された。
対するアウェーの大分は「3-3-2-2」。GK丹野。DF土岐田、若狭、安川。MFロドリゴ・マンシャ、為田、チェ・ジョンハン、木村、松本昌。FW高松、森島康。怪我で戦列を離れていたMF木村は5節以来のスタメンで、DF安川は6節以来のスタメンとなった。JFAアカデミー福島出身のMF松本昌が初スタメンとなった。2011年のU-17W杯にも出場している。
■ 大分が初勝利を飾る試合の序盤ははホームの新潟ペースとなる。3試合で5ゴールを挙げているFW川又のダイナミックな動きでチャンスを作っていく。しかしながら、前半40分に大分は右サイドからMF木村がクロスを上げると、ゴール前に残っていたDF若狭がヘディングシュートを決めてアウェーの大分が先制。前半は1対0と大分がリードして折り返す。
ビハインドの新潟は後半10分に空中戦を競りに行ったDF大井とDF金根煥が味方同士で衝突。ともに頭を強く打ってプレー続行が不可能となるアクシデントが発生して、急遽、DF濱田とDF坪内が投入される。苦しい展開になったが、後半21分に右CKからこぼれ球をFW田中達が押し込んで1対1の同点に追い付く。FW田中達は今シーズン初ゴールとなった。
追いつかれた大分は後半35分にFW森島康が落としたボールに反応したFW高松が落ち着いたコントロールから左足で決めて勝ち越しに成功する。FW高松は今シーズン3ゴール目となった。しかし新潟は後半45分にボランチのMFレオ・シルバがドリブルで前に運んで、最後は右足で強烈なシュートを決めて2対2の同点に追い付く。
アクシデントがあったため、後半のロスタイムは8分と異例の長さとなって、後半45分に同点に追いついたホームの新潟にとって有利な8分間になるかと思われたが、後半52分に大分はハイボールをFW高松が落として、最後はゴール前に上がって来たDF土岐田が決めて3対2と土壇場で勝ち越しに成功する。結局、試合は3対2で大分が勝利した。
■ アクシデントが響いた新潟ホームの新潟にとっては、痛い敗戦となった。大分はなかなか結果が出ていないので、柳下監督も勝ち点「3」を計算していたと思うので、予想外の結果となった。いくつかの誤算はあったが、優勢だった前半にたくさんあったチャンスシーンを逃したことが敗因の1つになった。特に、好調のFW川又に何度か決定機があったので、生かせなかったことが悔やまれる。
さらには、後半10分にDF大井とDF金根煥の頭同士が激突して、両者がプレー続行できなくなるというアクシデントに見舞われたのも不運だった。味方同士で接触することは稀にあるが、それによって、2人ともプレーが出来なくなるというのは、非常に珍しいことで、ここで2枚のカードを切らざる得なくなった。
2失点目と3失点目は同じような形でやられてしまったが、ゴール前でどちらが競りに行くのか、どちらがカバーに行くのか、約束事がなくて、競りに行く選手もおらず、走り込んでくる選手をケアする選手もいなかった。3番手と4番手のCBになると、普段、サブ組で一緒にトレーニングをしていると思うので、コンビネーション等の問題は少ないように思うが、DF濱田とDF坪内のコンビネーションは全く駄目だった。
■ ようやく初勝利!!!一方の大分は、新潟のCB2人が負傷交代するというアクシデントによって生じた相手のウイークポイントをうまく付いて、ようやく初勝利を飾った。2対1とリードを奪っていたが、後半45分にMFレオ・シルバに同点ゴールを許して、気落ちしてもおかしくない状況だったが、ここから盛り返して3点目のゴールを奪ったのは見事だった。
値千金の決勝ゴールを奪ったのは、右ストッパーのMF土岐田だったが、その前にも同じような感じでゴール前に飛び出して決定的なシュートを放っている。このときはキーパーにセーブされて決めることが出来なかったが、2度目のチャンスを生かした。2対2という同点の状況でストッパーの選手がゴール前に入っていくのは勇気が必要になるが、DF土岐田の積極性が実を結んだ。
大分はJ2の頃から3バックを採用しているが、最終ラインの選手が攻撃に参加してくるプレーが、チームの特徴になっている。前半には3バックの中央のDF若狭が攻撃参加して先制ゴールを決めており、左ストッパーのDF安川にも惜しいシーンがあって、後半には2度もDF土岐田に決定機が訪れた。この日は、最終ラインの3人の攻撃参加というのが、突破口になった。
J1になると守る時間が長くなるので、最終ラインの選手が攻撃に参加するのは難しくなって、J2時代に見せていた大胆な攻撃参加は少なくなっていたが、「最終ラインの選手の攻撃参加」という得意のパターンで勝ち点「3」を得たのは、今後につながるだろう。リスクの伴うプレーなので、見極めが重要になってくるが、チームの武器なので、続けていってほしいところである。
■ キーマン2人の復帰J1は中断期間まで残り1試合となったが、大分はラストの13節はホームで磐田と対戦する。磐田も勝ち点「6」と苦しんでいるが、同じ勝ち点で並ぶ2チームの直接対決となるので、この試合で勝ち点「3」が獲れなかったチームは、かなり厳しい状態で中断期間に突入することになる。ただの1試合にとどまらない大事な試合である。
大分は「未勝利」というプレッシャーから解放された状態で試合に入ることができるので、精神的には少し有利と言えるが、戦力的には、DF安川とMF木村の2人が戻って来たのは大きい。今年の大分は、比較的、選手層は厚いので、同じようなレベルの選手を各ポジションに2人程度は保持しているが、DF安川とMF木村の2人に関しては、替えの利かない選手である。
ここ数試合、2人が怪我で離脱していたことがチーム力の低下を招いていたが、MF木村が入ると中盤でボールが回るようになって、DF安川が入ると左サイドの守備が安定して、さらには、左サイドから攻撃を仕掛けることも可能になる。大一番と言える13節の磐田戦を前にして、キーマンである2人が戻って来たことは、大きなプラスと言えるだろう。
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