■ 九州ダービー福岡県の福岡市をホームタウンとするアビスパ福岡と、佐賀県の鳥栖市をホームタウンとするサガン鳥栖。福岡市と鳥栖市は、非常に近接しているので、アビスパ福岡のサポーターも多く、鳥栖スタジアムに訪れるため、この対戦は、いつも非常に盛り上がる。
九州をホームタウンとする大分トリニータが、J1に昇格して定着しているので、ここ最近は、アビスパ福岡がJ1に昇格した06年を除くと、九州で唯2つのチームであり、このカードは、九州ダービーと称される。
それにしても、ここ最近、ダービーマッチが非常に多い。日本の場合は、同じ街をホームスタジアムとするチーム同士の対戦だけでなく、もっと広範囲な意味で、ダービーという言葉を用いているため、年々、数が増えているような印象がある。
挙げてみると、
・鹿島アントラーズ vs ジュビロ磐田(ナショナルダービー)
・東京ヴェルディ1969 vs FC東京(東京ダービー)
・ベガルタ仙台 vs モンテディオ山形(みちのくダービー)
・鹿島アントラーズ vs 水戸ホーリーホック(茨城ダービー)
・水戸ホーリーホック vs ザスパ草津(北関東ダービー)
・ジェフ千葉 vs 柏レイソル(千葉ダービー)
・浦和レッズ vs 大宮アルディージャ(さいたまダービー)
・横浜マリノス vs 横浜フリューゲルス (旧横浜ダービー)
・横浜F・マリノス vs 横浜FC (横浜ダービー)
・横浜F・マリノス vs 川崎フロンターレ (神奈川ダービー)
・清水エスパルス vs ジュビロ磐田 (静岡ダービー)
・ガンバ大阪 vs セレッソ大阪(大阪ダービー)
・徳島ヴォルティス vs 愛媛FC(四国ダービー)
・アビスパ福岡 vs サガン鳥栖 (九州ダービー)
・ヴァンフォーレ甲府 vs アルビレックス新潟(川中島ダービー)
・FC東京 vs 川崎フロンターレ(多摩川ダービー)
・清水エスパルス vs ヴァンフォーレ甲府(ふじやまダービー)
多分、もっとある。
■ 連敗中の福岡 快進撃を続けていたアビスパ福岡だが、京都サンガに逆転負けし、さらには、湘南ベルマーレにも、0対1で敗れて、連敗中。もう、負けられない状況である。
一方の鳥栖も、ここ2試合連続のドローに終わっており、勝ち点を伸ばせない苦しい状況。3位以内を目指すためにも、必勝で臨まなければならない試合である。
■ 鳥栖が快勝試合は、前半は福岡が優勢。中盤のタレント力を生かしてボールをポゼッションし、FW長谷川を基点に、ゴールに迫る。しかしながら、鳥栖が前半38分に、右サイドに流れたFW金のクロスから、福岡のクリアボールを、ゴール正面に入り込んだ、MF清水が豪快に蹴りこんで先制。1対0の鳥栖リードで前半を折り返す。
鳥栖は、後半開始からMF衛藤を投入。前半に増して積極的なプレーを繰り広げると、後半9分に、右サイドバックの鐡戸のクロスをFW藤田が頭ですらすと、その裏にいたFW金が押し込んで2点目を挙げる。
福岡は、温存していたFWリンコンを投入し、パワープレーに出るが、後半22分に、そのリンコンが、ラフプレーで一発退場し、さらに窮地に追い込まれる。すると、後半36分に、カウンターアタックで、MF高地からのパスを受けたFW藤田が左足で決めて、3点目。その後の福岡の反撃を、MF布部のゴールだけに抑えて、3対1で勝利し、J2開幕戦での雪辱を果たした。
■ 流れを決定付けた判定ポイントになったのは、FW金のゴール。このゴールシーンをリプレーで見ると、藤田がヘディングですらした時点で金はオフサイドポジションにいたので、厳密には、オフサイドである。確かに、クロスボールが上がった時点では、オフサイドポジションではなかったが、誤審といわれても仕方がないというプレーだった。
ただ、この場面のように、クロスボールに対して、攻撃側の選手が触ったのか、守備側の選手が触ったのか、副審には、判断しにくい部分もある。副審のレベルアップが必要ではある事は間違いないが、死角になりやすい部分ではある。
振り返ってみると大きな判定であったが、まだ、後半9分の段階だったので、福岡の選手の集中が切れてしまったのは、いただけない。ベンチには、FWリンコンもいたので、過度に判定にナーバスにならずに落ち着いて試合を運べていれば、追いつくチャンスは十分に残っていたし、冷静にプレーを続けられた方が、鳥栖としては恐かっただろう。
■ 流れを生んだ衛藤の起用2点目は判定に助けられたとはいえ、後半に入ってからの時間帯は、ずっと、鳥栖が攻勢で押しに押していたので、その勢いが実った成果ともいえる。
前半は、ボランチにMF村主を起用し、高橋・村主・高地というトリプルボランチ気味の布陣で戦うというやや慎重な姿勢で臨んだが、後半に入ると、一転してMF衛藤を起用し、もっと攻撃的な陣容で戦った。その岸野監督の積極性が、実った成果でもあった。
■ ヒーローとなった清水ヒーローとなったのは、先制ゴールをマークしたMF清水。いつもの右サイドではなく、この試合は、左サイドでプレーすることが多かったが、右に限定されることなく縦横無尽に走り回ったことが、先制ゴールにつながった。
夏場になって、レギュラーポジションを獲得した清水だったが、これまでは、なかなか効果的なプレーが出来ず、その立場が危うくなりつつあっただけに、うれしいJリーグ初ゴールとなった。辛抱強く清水を起用し続けた、岸野監督の起用も当たった。
■ 悔やまれるリンコンの起用方法だが・・・福岡としては、「何故、王様・リンコンをスタメンで起用しなかったのか。」という素朴な疑問が生じる。代役で出場したFW長谷川のプレーが非常に良かっただけに、完全に失敗だったとはいえないが、大一番で、エースストライカーを外すという選択肢は、やはり、理解しにくい部分がある。
この起用方法にリンコン自身が納得していたのかどうなのかは分からないが、途中出場のリンコンは、レフェリーの判定も含めて、明らかにイラついていて、不要なレッドカードで退場になってしまった。次節も、リンコンがいない戦いになる。
とはいっても、187cmながら、柔軟なプレーで前線の核となったFW長谷川のプレーは大きな収穫であり、長谷川の可能性に賭けたリトバルスキー監督の思いが、いつの日か、実るのかも知れない。
サガン鳥栖:採点
GK:赤星 6.0
→ 久々の出場。浅井とのポジション争いは、見物。
DF:鐡戸 7.0
→ 普段は、安定感はないが、時折、光るプレーをする選手である。だが、この試合は、ずっと、良かった。
DF:柴小屋雄一 6.5
→ 187cm。福岡の高さに負けなかった。
DF:飯尾 6.5
→ 安定していたDFリーダー。
DF:日高 6.0
→ 無難にプレーした。最後は、右サイドバックに回った。
MF:高地 6.5
→ この人がフリーでボールを持つと、必ず、チャンスに結びつく。ハードワークもこなす、レフティ。
MF:村主 5.5
→ 前半で交代も、悪くはなかった。
MF:高橋 6.0
→ 普段よりも、やや高めの位置でプレーし、積極的にプレーした。
MF:清水 7.0
→ Jリーグ初ゴール。愛称は、「黒豹」。
FW:金 6.5
→ 柔らかいプレーを見せた。確実になじんできている。
FW:藤田 6.0
→ 1ゴールは貫禄。シーズン通算では、18ゴール目。
サブ:衛藤 6.0
→ 怪我から復帰して、走り回った。
サブ:野崎 6.5
→ 積極的な姿勢が、チームにいいリズムをもたらす。3点目の起点になった。
サブ:吉田 採点なし。
→ 採点なし。
アビスパ福岡:採点
GK:神山 6.0
→ J2では、№1のキーパーだろう。
DF:山形辰 5.5.
→ 久々に右サイドバックでプレー。
DF:長野 5.5
→ 高さでは、負けてはなかった。
DF:宮本 5.0
→ 鳥栖の2列目からの飛び出しを、捕まえ切れなかった。
DF:チェッコリ 5.5
→ もう少し、攻撃に絡めたらよかった。
MF:布部 6.0
→ 意地のゴール。福岡のリーダー。
MF:久藤 5.0
→ いつもよりは、良くなかった。
MF:久永 5.5
→ 改めて、いい選手だと感じた。
MF:アレックス 4.5
→ これだけ仕事が出来なかったのは、珍しい。
MF:宮崎 5.5
→ 相手にすると、嫌な選手である。
FW:長谷川 6.0
→ いい先発デビューだったのではないか。
サブ:リンコン 2.5
→ ラフプレーで退場。
サブ:山形恭 採点なし。
→ 採点なし。
サブ:川島 採点なし。
→ 採点なし。
【おしらせ】・わっきーりぐさんから、この試合のマッチレポート(現地観戦)が届きました。ありがとうございました。わっきーりぐさんのマッチレポートはこちら↓。
▽2007/09/02 鳥栖×福岡(鳥栖スタジアム) by わっきーりぐさん New!!!
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