■ 第34節J2の第34節。17勝6敗10分けで勝ち点「61」のサガン鳥栖が、ホームで「18位」の横浜FCと対戦。横浜FCは8勝17敗8分けで勝ち点「32」。鳥栖は「14試合負けなし」と好調であるのに対して、横浜FCは「11試合勝利なし」と絶不調で、好対照のチームの対戦となった。
ホームの鳥栖は「4-2-3-1」。GK赤星。DF丹羽、木谷、呂成海、磯崎。MF藤田、米田、キム・ビョンスク、池田、早坂。FW豊田。「4対4」の死闘となったFC岐阜戦でイエローカードを受けたDF田中とMF岡本は出場停止で、MF米田がボランチでスタメン出場。U-22韓国代表のMF金民友が怪我から回復してきてベンチ入り。出場すれば、10月2日の岡山戦以来となる。
対するアウェーの横浜FCは「4-1-4-1」。GK関。DF藤田優、森本、渡邉、宮崎。MF佐藤、荒堀、高地、三浦知、難波。FWカイオ。MF三浦知は17試合目のスタメンとなったが、今シーズン、まだゴールなし。DF渡邉は今シーズン初スタメン。FWカイオはチームトップの9ゴールを挙げている。FWフランサはベンチスタートとなった。
■ サガンが昇格に大きく前進試合は前半12分にホームの鳥栖が先制する。DF丹羽のスローインから、ゴール右寄りでボールを受けたMFキム・ビョンスクが意表を突くロングシュートを放つと、これが「いいコース」に飛んでネットに吸い込まれる。MFキム・ビョンスクは今シーズン4ゴール目。前半は「1対0」と鳥栖がリードして折り返す。
1点を追う横浜FCは、後半12分にFW藤田祥、後半17分にMF寺田を投入。「攻撃の形」を作り始めるが、鳥栖が後半30分に追加点を挙げる。右CKを獲得すると、MF藤田の蹴ったボールをMF池田がヘディングで合わせて「2対0」とリードを広げる。大卒3年目のMF池田は今シーズン6ゴール目。
劣勢の横浜FCは、後半38分にMF高地がラフプレーで一発レッドとなって万事休す。結局、「2対0」でホームの鳥栖が快勝し、勝ち点を「64」に伸ばした。今節は、3位の札幌が敗れて、4位の徳島が引き分けたため、4位との差が「5」に広がって、鳥栖は「初のJ1昇格」に大きく前進した。一方の横浜FCは、12試合勝利なし。20チーム中で「18位」と低迷している。
■ ノルマは2勝1敗1分け2009年のオフから続く「因縁対決」は、2位の鳥栖が「2対0」で快勝した。10月30日に行われたアウェーのFC岐阜戦は、選手たちが試合に集中しきれておらず、鳥栖らしくない「軽率なミス」が続出し、「4対4」という大味なスコアとなって、勝ち点「2」を取りこぼした。終盤戦に入ってきて、「昇格へのプレッシャーが出てきたか。」と心配されたが、モチベーションの上がるチームとの対戦だったのは幸運で、「勢いの差」を見せつける展開となった。
鳥栖は、MF金民友を欠いていたこともあって、「単調な攻撃」が目立ってきて、「セットプレー頼み」になることが多くなってきたが、千葉戦、FC岐阜戦、横浜FC戦と3試合連続でセットプレーから「ゴール」が生まれており、「セットプレー」が威力を発揮している。
FC岐阜戦で苦戦した理由は、豪雨の中での試合だったので、スローインのときにボールが滑ってしまって、MF藤田のロングスローが全く使えなかったことが挙げられるので、今後は、鳥栖にとっては「天候」というのも、勝敗の行方を左右するファクターになってきているが、残り4試合となって、3位や4位との勝ち点差が「5」というのは、心理的には楽である。
これで、勝ち点は「64」となったが、徳島と札幌が勝ち点「59」なので、徳島と札幌は4連勝しても勝ち点は「71」にしかならない。ということで、残り4試合で勝ち点「8」以上を獲得すると「J1昇格」が確定するが、得失点差でも圧倒しているので、たとえ、勝ち点「71」で並んだとしても、「得失点差」で徳島や札幌を上回るのは確実で、勝ち点「71」というのが目安になる。よって、「2勝1敗1分け」という数字がノルマとなるが、これは、それほど難しいノルマではないだろう。
■ 代役のMF米田が活躍終盤戦に入って、どのチームも「出場停止」や「怪我」で欠場する選手が増えてきたが、今節、鳥栖はボランチのMF岡本と右SBのDF田中が出場停止となった。2位と躍進した鳥栖であるが、選手層はあまり厚くないので、「出場停止」や「怪我人」が出ると、やり繰りに困るチームであるが、MF岡本に代わって先発出場したMF米田がしっかりと穴を埋めて、MF岡本の不在の影響をあまり感じさせなかった。
選手層に関しては、上位の中では、FC東京と徳島は「2チーム」を作れそうなほど、「控え」が充実しており、札幌も、選手層こそ厚くないが、高木、日高、岩沼とポリバレントな選手が揃っているので、2人くらいであれば、十分にカバーできるだけのメンバーを揃えている。しかし、鳥栖の場合は、遜色ない選手を用意できるのは、GK室のいるキーパーのポジションと、DF田中のいる右SBくらいで、それ以外は空きが出ると、「チーム力」を維持するのが難しくなるが、主力のMF岡本不在の試合を乗り切って、1つの関門をクリアした。
■ MF金民友が怪我から復帰ここに来て、MF金民友が戻ってきたのも大きい。まだ「完治」はしておらず、後半22分からの登場で、あまり見せ場はなかったが、独りでも局面を打開できる選手なので、いるのと、いないのとでは「大違い」である。
MF金民友が不在の間、2列目のポジションは、MF池田、MF早坂、MFキム・ビョンスクの3人で固定されて、過密日程の中、3人ともよく頑張ったが、負担の大きいポジションなので、疲労の色は濃く、攻撃に絡めない試合も増えてきた。しかし、MF金民友が戻ってくると、4人で回すことができるので、各選手の負担も軽減されるだろう。
それにしても、MF金民友がスタメンから外れた6試合を「4勝2分け」で乗り切ったのは立派である。10月は、札幌、FC東京、千葉との直接対決を控えていたが、ちょうど札幌戦の前に負傷して、1ヶ月ピッチを離れることになった。それまで、「いい感じ」で来ていただけに、「致命的な穴になりうる。」と思ったが、MF池田、MF早坂、MFキム・ビョンスクの3人と、控えのMF國吉が奮闘して、「得点力」を維持することができた。ラストスパートに入ってきたので、今後、どういう使い方をするのかは分からないが、ベンチに温存しておいて、「切り札」として使うのも面白い。
■ 12試合勝利なし一方の横浜FCは、12試合勝利なし。最後に勝利したのは、8月27日のザスパ草津戦なので、2ヶ月半も勝利から遠ざかっている。横浜FCも、8月は好調で、4試合で4勝0敗。夏に入って、調子を上げてきたので、「J1昇格争い」に加わってくるかと思われたが、完全に崩れてしまった。J2の場合、降格制度が無いので助かっているが、シーズン前の期待値を考えると、J1、J2を含めた38クラブの中も「最悪」と思えるヒドイシーズンとなっている。
鳥栖の監督を退任した岸野監督を招へいしたのが「2009年のオフ」で、ここから積極的に選手を補強し、J2のクラブとしては、これ以上ないくらいの補強を行ってきたが、ここまで結果が出ないとは、予想できなかった。どのポジションにも「タレント」は揃っているので、普通に戦うことができれば、勝ち点を稼ぐことは、難しくないように思えるが、信じられない惨状である。
岸野監督もつらい立場にある。2010年の途中からGMも兼任しており、昨オフは、MFファビーニョ、FW藤田祥、DF藤田優らを獲得し、シーズン途中にも、FWフランサを獲得するなど、「ほぼ思い通りの補強」を行ってきた。よって、結果を出さないといけないシーズンだったが、この成績である。しかも、大幅にメンバーを入れ替えたことで、「横浜FC」を感じさせる選手がほとんどいなくなって、サポーターが愛着を持ちづらいチームになってきている。
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