■ アウェーでのシリア戦北京五輪二次予選。日本代表は、シリアと対戦。
日本は、平山とカレンの2トップ。家長のトップ下。青山敏と梶山のダブルボランチで、青山直・伊野波・水本の3バック。GKは西川。
試合は、立ち上がりから自力に優る日本が優勢に進めると、前半17分、水野が豪快なミドルシュートを決めて先制。さらに、前半43分には本田圭が追加点を奪った。
後半は、日本の運動量が落ち始めたこともあって、2度ほど、決定機を作られたが、それ以外は、特に危なげなく守りきって、2対0で勝利した。
■ 理想と現実特に後半は、攻め込まれるシーンもあったが、さすがに、その点を指摘してどうこういうのは、酷かと思う。ほとんどの選手が、Jの開幕前から、ミッドウイークにも試合を行ってきており、疲労は、ピークを超えている。そんな中で、この試合のように、前半で2対0でリードを奪って、安全圏に入った試合ならば、ある程度はダレてしまって、完璧な試合運びが出来なくても、仕方ないかなという感じがする。
「最終予選だったら・・・。」とか、「韓国やオーストラリアが相手だったら・・・。」とかいう仮定は、あんまり、意味が無いように思う。試合の重要度や、試合展開、相手との力量差、選手の個々のコンディション等々、いろいろな要素を加味して、抜くところも必要である。彼らは、この試合を終えると、すぐに、シリアから日本に帰ってきて、土曜・日曜のJリーグの試合に出場するのである。代表の試合だからと言って、いつも素晴らしい内容で勝利しなければならないというわけでもないし、この試合よりも、週末のJリーグの試合で活躍する方が、大事だと考えている選手がいても不思議ではない。
もちろん、これは、ほとんど予選突破が決まっていて、いわば、消化試合のような試合に限定する話である。代表に選ばれている以上全力でプレーべきなのは、当然であるが、代表の試合がJリーグの試合よりも、いつも、プライオリティが高いかというと、そうではない。
■ 大きかった水野の先制ゴール試合を考えると、アウェーという厳しい条件の下、前半から主導権を握れたのは、やはり、水野のゴールが大きかった。目の覚めるような左足のシュートで、シリアゴールを突き破ったこのゴールで、シリアの戦意は、大きくそがれることになった。
今シーズンの水野は、五輪代表でも、千葉でも、完全に右サイドのレギュラーポジションを獲得しており、安定して、好パフォーマンスを披露している。これは、千葉で右サイドのレギュラーを争っていた坂本が新潟に移籍したことが、大きく影響しているように思う。
坂本がいなくなって、責任感が増したことと安定を手に入れたことが、水野の飛躍を促しているように思う。核となる選手が抜けると、通常は、戦力がマイナスになるものだが、逆に、若手選手の秘めたる才能を引き出すこともある。
■ 簡単なシュートではなかった本田の2点目試合を決定付けた、本田の2点目のシーンは、簡単なシュートのように見えて、難易度の高いシュートだった。フリーの状態ではあったが、胸トラップから抑えたシュートを打つのは難しいし、相手DFが4・5人いる状態でネットに突き刺すのも、簡単でない。
攻撃面では、クロスボールの精度を欠くなど、十分な出来ではなかったが、決定的な仕事をするあたりは、さすがに本田といったところだ。
■ 重要な残り2試合これで、予選突破が決定した。したがって、最終予選までのあとの2試合は、完全に消化試合となる。
今年に入ってからは、ほぼメンバーを固定して戦っている五輪代表だが、例えば、ユース世代の柏木や内田ら、能力が高く、チームにプラスアルファをもたらすことのできる選手はまだ残されているし、今後のJリーグの試合を通して、大きく伸びる選手が現れてくることも間違いない。
五輪代表チームで必要なのは、いつまでも門を広げていて、ニューフェイスを排除しないようなチーム作りである。
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