■ スタンドの横断幕ベルギーで行われた日本代表とオランダ代表の親善試合は2対2の引き分けに終わったが、話題になっているのは、試合前にスタンドに掲げられたザックジャパンを激励する(?)横断幕である。かなりたくさんの横断幕が出されていたので、その全てを確認することはできなかったが、確認できたものを書き出してみると、
「ZACさん 海外組が全て?」
「俺たちの声は届いてるか?」
「この挫折は過程?準備できてるの?」
「3月まで試合0!?強化プランの見直しを」
「アジア王者の誇りはどこに?」
「日本に伝わる必死さはあるか?」
「今のままで6月に結果を出せるの?」
「2013Jリーグ得点ランク 1大久保 2川又」
「日の丸の誇り・重みは?」
「結果を出している国内組より結果・出場していない海外組の方が大事?」
といった内容である。試合が行われたのはベルギーのゲンクで、「オランダやドイツに住んでいる現地の日本人の方々もたくさん観戦に訪れていた。」と報道されているが、現地に住む日本人がこういう横断幕を用意していたとは考えにくいので、日本からベルギーに向かったサポーターが出した横断幕だと思われる。内容的には、かなり過激であるが、試合前に掲げられていたというので、アップの時、選手たちの目に入ったのではないか?と思われる。
この横断幕を掲げた人たちに対して、批判的な声も出ているが、個人的には、「行為自体はギリギリOK」だと思う。当然、人種差別的な内容であったり、相手選手や相手チームを揶揄するような内容であったり、暴力的な要素を含んだ内容であったならば、国際問題にも発展しかねない。東アジアカップの日韓戦で横断幕を巡って騒動が起こったが、大きな問題になりかねないデリケートな内容は絶対に避けなければならない。
ただ、今回、確認できた横断幕の内容というのは、そういう類のものではない。書かれている内容が妥当なのか?適切な叱咤激励になっているのか?というのは、かなり微妙なところで、頭の悪さを感じるところもあるが、先日、クラブから静岡ダービーの横断幕の件で処分を受けた清水エスパルスのサポーターのケースとは異なる。そして、思っていることを表現する方法として、横断幕を使うことは手っ取り早いことである。
■ 批判の数だけ強くなれるかまた、行動力についても一定の評価はできる。大掛かりなことなので、どういう人たちが起こした行動なのかはいずれ判明すると思うが、ただ、バツの悪い結果になってしまったので、関わった人たちというのは、今後、日本代表の試合からは距離を置かざる得ない。その人たちの心情というのは想像するしかないが、「赤っ恥をかかされた。」と表現するのが適当で、サッカーという競技自体のことも忘れてしまいたいほどの心の傷になると思う。
オランダという強豪国が相手なので0対3や0対4のようなスコアで完敗することを想定していたと思う。中立地での試合とは言っても、限りなく、オランダのホームに近い状況で行われる試合をチョイスして横断幕を掲げたということに対しては、気の小ささと姑息さを感じるが、「たくさんの横断幕が出されている。」ということから、1人や2人の行動とは考えられない。しかも、影響の強い人が主導で行われた行為だと思うが、当てが外れてしまったと言うしかない。
不思議に思うのは、いくら日本代表を応援していると言っても、試合前にこういう内容の横断幕を掲げた以上、その試合で日本が勝ってしまったり、いい内容のドローゲームに終わると、バツが悪くなる。そうならないためには、相手国のオランダ代表を全力で応援するしかないので、MFファン・デル・ファールトやFWロッベンのゴールに歓喜したと思うが、せっかく、お金と時間をかけてベルギーまで出向いて、それでは、全然、楽しくないだろうと思う。
もちろん、批判的な姿勢というのが必要なときもあるが、十分な知識を得て、よく考えた上での批判でないと「薄っぺらい批判」になってしまう。それぞれに立場があって、それぞれに意見があって、それぞれに好きな選手や嫌いな選手がいると思うので、「今のザックジャパンが気に食わない。」という人もいると思うが、『俺たちの声は届いてるか?』という言葉を用いて勝手に代弁されるとほとんどの人は拒否感を覚えるだろう。
『涙の数だけ強くなれる』というのは真実かもしれないが、『批判の数だけ強くなるか』というと、そういうわけではないと思う。「安易な批判」、「建設的ではない批判」、「批判のための批判」は、むしろ、日本代表のチーム作りを難しくする癌となる。日本人だからといって、絶対に日本代表を応援しなければならないわけではないと思うので、「応援する or 応援しない」を選択する権利は全員に認められていると思うが、足を引っ張る権利は、誰にも認められていない。
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