■ 誤報だったのか?「横浜Fマリノスがブルガリアリーグのスラヴィア・ソフィアに所属する元日本代表のMF松井大輔の獲得に乗り出している。」という報道がなされたが、その後、「横浜FMの統括本部長がこれを否定した。」という続報が流れた。したがって、横浜FMがMF松井に関心を抱いているという報道は、誤報だった可能性が高くなっている。
横浜FMが2列目の選手を必要としているのは間違いない。オフにMF小野が移籍して、MF端戸が北九州から戻ってきたが、MF齋藤学が怪我がちということもあって、サイドハーフの駒が不足している。1つはMF兵藤の指定席になっているが、もう片方がなかなか機能しなくて、ドリブルで打開できる選手を探しているのは間違いないが、ターゲットはMF松井ではなかったようだ。
MF松井は南アフリカW杯の後、「ポルトガルリーグの強豪のスポルティング・リスボンへの移籍が濃厚」と報じられた時期があったが、土壇場で破談となった。その後、ロシアリーグのトム・トムスク、フランスリーグのグルノーブルとディジョンにも所属したが、なかなか出場機会を得ることが出来ず、南アフリカW杯以降、目立った活躍は出来ていない。
■ 元海外組の活躍具合 横浜FM入りか?という噂が流れた時、Jリーグでの活躍に期待する声もあったが、MF松井も32歳になっており、華々しい活躍ができるかというと、かなり難しい。南アフリカW杯のときは、MF中村俊からポジションを奪って、攻撃でも、守備でもチームに貢献したが、効率的なプレースタイルの選手ではないので、Jリーグでどこまでできるかというと、正直なところ、かなり厳しいと思う。
MF松井に限った話ではないが、20代前半で欧州に渡って欧州でキャリアを積み上げた選手が30歳前後になって、キャリアをどう締めくくるのかというのは、難しい話である。日本では、シドニー世代から一気に海外組が増加して、MF中田英、MF中村俊、MF小野、MF稲本、FW高原などが欧州に渡ったが、Jリーグに戻って来て活躍できている選手というのは、限られている。
MF中田英は2006年のドイツW杯直後に現役を退いたため、Jリーグでプレーすることはなかったが、好調の横浜FMを引っ張っているMF中村俊以外では、「まだまだ欧州でもプレーできそう。」という段階で日本に戻って来た鹿島のDF中田浩くらいで、「欧州でも活躍して、日本に戻って来て、また活躍している。」という選手は非常に少ない。高年俸に見合った活躍ができない選手がほとんどである。
もちろん、若い選手に経験を伝えるということも大事な役割なので、オフ・ザ・ピッチでの貢献度も加味する必要があるが、Jリーグも20年が経過して、競技レベルやプレースピードが上がっている。したがって、欧州で活躍できなくなった選手が30歳前後になってJリーグに戻って来て、即、主役級の活躍ができるような環境ではなくなってきている。
■ キャリアの終わらせ方MF松井についてもキャリアの晩年に差し掛かっているので、どのようにサッカー人生を締めくくるべきなのか、そろそろ考えなければならない時期に入っているが、非常に難しい立場に立っている。32歳になって、「Jリーグに復帰して、ここで活躍して引退する。」というのが、一番綺麗な道であるが、先の通りで、簡単な世界ではない。
おそらく、ほとんどの人は、MF松井の印象は2010年の南アフリカW杯でストップしていると思われる。実際には、2011年1月のアジアカップにも出場しているので、「彼がプレーしている姿を最後に観たのは、アジアカップのとき、」という人が大多数だと思われるが、「いい印象のままでキャリアを終わらせる。」というのも、考えられるストーリーの1つである。
MF中田英がドイツW杯のブラジル戦を最後に現役を引退したことは、彼らしい判断だったと思うが、あまりにもすっきりしたキャリアの終わらせ方をしたので、後に続く選手のお手本にはならなかった。シドニー世代は、欧州行きのルートを開拓することに成功したが、その逆のルートを開拓するには至っておらず、戻り方で苦労している選手がたくさんいる。
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