■ シュート数に注目してみる。毎年、この時期になると発売されるサッカーダイジェストの「
2015 Jリーグ総集編 2016年1/29号」は今シーズンのJリーグをじっくりと振り返る上で欠かせない一冊である。J2やJ3にもページは割かれているが何と言ってもJ1の18クラブに関する情報が盛り沢山。特に各種データ(チームスタッツならびに個人スタッツ)が充実しているのが一番の特徴で、資料としても手元にある非常に便利である。
当然、数字だけを鵜呑みにして全てを判断しようとするのは危険であるが、(数字を考慮することなく)イメージだけでチームや個人を評価しようとすると落とし穴にはまる可能性がある。各クラブ or 各選手の数字を眺めていくと「このスタッツはイメージ通りだ。」と思うこともあるし、「このスタッツはイメージとは正反対である。」と思うときもある。イメージとは逆の数字になっていることが分かったときは面白い。
1回目の
ドリブル編、2回目の
パス編、3回目の
クロス数編に続く4回目に取り上げるのはシュート数について。表1はクラブ別のシュート数を表しているが、1位は鹿島で528本。2位が浦和で458本なので鹿島のシュート数の多さが目立つ。1試合平均で10本に満たなかったのは合計で7チーム。年間順位で4位になったFC東京が8.71本でワースト3位だったのは興味深い。ワースト1位は甲府で7.65本だった。
表1. クラブ別のシュート数
ランク | 所属 | (本) | 1試合平均 |
1 | 鹿島アントラーズ | 528 | 15.53 |
2 | 浦和レッズ | 458 | 13.47 |
3 | サンフレッチェ広島 | 442 | 13.00 |
4 | 川崎フロンターレ | 437 | 12.85 |
5 | ガンバ大阪 | 402 | 11.82 |
6 | 横浜Fマリノス | 400 | 11.76 |
7 | ヴィッセル神戸 | 377 | 11.09 |
8 | ベガルタ仙台 | 367 | 10.79 |
9 | 名古屋グランパス | 361 | 10.62 |
10 | モンテディオ山形 | 356 | 10.47 |
11 | 湘南ベルマーレ | 352 | 10.35 |
12 | 清水エスパルス | 338 | 9.94 |
13 | アルビレックス新潟 | 332 | 9.76 |
14 | 松本山雅 | 331 | 9.74 |
15 | 柏レイソル | 327 | 9.62 |
16 | FC東京 | 296 | 8.71 |
17 | サガン鳥栖 | 293 | 8.62 |
18 | ヴァンフォーレ甲府 | 260 | 7.65 |
■ シュート数の1位はガンバ大阪のFW宇佐美貴史表2は個人別のシュート数のベスト30を示している。1位はFW宇佐美(G大阪)で119本、2位はMFクリスティアーノ(柏)で109本、3位はFW大久保(川崎F)で105本だった。100本を超えたのはこの3人。ベスト10の中で日本人選手は1位のFW宇佐美(G大阪)と3位のFW大久保(川崎F)と7位のFW金崎(鹿島)の3人だけ。外国籍選手が7人もベスト10に入っている。ミドルシュートを得意としている選手が目立つ。
表2. シュート本数のベスト30
順位 | 選手 | 所属 | シュート |
1 | 宇佐美 貴史 | ガンバ大阪 | 119 |
2 | クリスティアーノ | 柏レイソル | 109 |
3 | 大久保 嘉人 | 川崎フロンターレ | 105 |
4 | ドウグラス | サンフレッチェ広島 | 87 |
5 | アデミウソン | 横浜Fマリノス | 86 |
6 | ディエゴ | モンテディオ山形 | 83 |
7 | 金崎 夢生 | 鹿島アントラーズ | 82 |
8 | パトリック | ガンバ大阪 | 80 |
9 | カイオ | 鹿島アントラーズ | 79 |
10 | ハモン ロペス | ベガルタ仙台 | 68 |
11 | 岩上 祐三 | 松本山雅 | 66 |
11 | 遠藤 康 | 鹿島アントラーズ | 66 |
11 | ピーター ウタカ | 清水エスパルス | 66 |
11 | 渡邉 千真 | ヴィッセル神戸 | 66 |
15 | 武藤 雄樹 | 浦和レッズ | 63 |
16 | オビナ | 松本山雅 | 62 |
17 | 永井 謙佑 | 名古屋グランパス | 61 |
18 | 齋藤 学 | 横浜Fマリノス | 59 |
19 | 大前 元紀 | 清水エスパルス | 57 |
19 | 高山 薫 | 湘南ベルマーレ | 57 |
21 | 指宿 洋史 | アルビレックス新潟 | 56 |
22 | 水沼 宏太 | サガン鳥栖 | 51 |
22 | 槙野 智章 | 浦和レッズ | 51 |
24 | 塩谷 司 | サンフレッチェ広島 | 49 |
25 | 柴崎 岳 | 鹿島アントラーズ | 47 |
25 | ズラタン | 浦和レッズ | 47 |
25 | 工藤 壮人 | 柏レイソル | 47 |
25 | 興梠 慎三 | 浦和レッズ | 47 |
29 | 石津 大介 | ヴィッセル神戸 | 46 |
29 | 伊藤 翔 | 横浜Fマリノス | 46 |
■ 90分あたりのシュート数のベスト30表3は90分あたりのシュート数のベスト30を示している。1位はFWハモン・ロペス(仙台)で4.37本/90分。FWハモン・ロペスはドリブル数/90分でも1位だった。2位はFW浅野拓(広島)、3位はFWラフィーニャ(横浜FM)、4位はFW宇佐美(G大阪)、5位はFW鄭大世(清水)。3.00を超えた日本人選手はFW浅野拓(広島)、FW宇佐美(G大阪)、FW金崎(鹿島)、FW大久保(川崎F)、FW阿部吉(松本山雅)、MF高木俊(浦和)の6人。
目立つのはFW阿部吉(松本山雅)。2015年は24試合5ゴールという成績だったがスタメンは2試合だけ。大半が途中出場だったが高いアベレージを残している。35歳という年齢もあって2015年限りで現役を引退したが「まだまだ十分にやれる。」という中での現役引退となった。五輪世代ではFW浅野拓(広島)、MFカイオ(鹿島)、MF野津田(広島)、MFアデミウソン(横浜FM)、MF中島翔(FC東京)の5人がランクイン。
表3. 90分あたりのシュート数のベスト30 ・・・ シュート数が10本以上の選手限定
No. | 選手 | 所属 | 出場試合数 | 時間(分) | シュート/90分 |
1 | ハモン ロペス | ベガルタ仙台 | 26 | 1,402 | 4.37 |
2 | 浅野 拓磨 | サンフレッチェ広島 | 32 | 1,048 | 3.86 |
3 | ラフィーニャ | 横浜Fマリノス | 10 | 387 | 3.72 |
4 | 宇佐美 貴史 | ガンバ大阪 | 34 | 2,965 | 3.61 |
5 | 鄭 大世 | 清水エスパルス | 13 | 1,027 | 3.59 |
6 | 金崎 夢生 | 鹿島アントラーズ | 27 | 2,157 | 3.42 |
7 | カイオ | 鹿島アントラーズ | 32 | 2,099 | 3.39 |
8 | クリスティアーノ | 柏レイソル | 34 | 2,958 | 3.32 |
9 | 大久保 嘉人 | 川崎フロンターレ | 32 | 2,868 | 3.29 |
10 | 阿部 吉朗 | 松本山雅 | 24 | 521 | 3.28 |
11 | 高木 俊幸 | 浦和レッズ | 21 | 881 | 3.27 |
12 | ズラタン | 浦和レッズ | 29 | 1,296 | 3.26 |
13 | レナト | 川崎フロンターレ | 17 | 1,494 | 3.25 |
14 | ラファエル シルバ | アルビレックス新潟 | 17 | 1,307 | 3.10 |
15 | ドウグラス | サンフレッチェ広島 | 33 | 2,529 | 3.10 |
16 | ウイルソン | ベガルタ仙台 | 19 | 1,035 | 3.04 |
17 | 野津田 岳人 | サンフレッチェ広島 | 19 | 878 | 2.97 |
18 | パトリック | ガンバ大阪 | 32 | 2,428 | 2.97 |
19 | ダヴィ | 鹿島アントラーズ | 10 | 401 | 2.92 |
20 | 石津 大介 | ヴィッセル神戸 | 27 | 1,437 | 2.88 |
21 | 中島 裕希 | モンテディオ山形 | 31 | 597 | 2.86 |
22 | アデミウソン | 横浜Fマリノス | 33 | 2,820 | 2.74 |
23 | 中島 翔哉 | FC東京 | 13 | 401 | 2.69 |
24 | ピーター ウタカ | 清水エスパルス | 28 | 2,207 | 2.69 |
25 | 赤﨑 秀平 | 鹿島アントラーズ | 22 | 1,141 | 2.68 |
26 | 渡邉 千真 | ヴィッセル神戸 | 28 | 2,237 | 2.66 |
27 | 遠藤 康 | 鹿島アントラーズ | 32 | 2,318 | 2.56 |
28 | ノヴァコヴィッチ | 名古屋グランパス | 26 | 1,269 | 2.55 |
29 | 伊藤 翔 | 横浜Fマリノス | 29 | 1,635 | 2.53 |
30 | 藤田 祥史 | 湘南ベルマーレ | 17 | 646 | 2.51 |
■ フォワードと攻撃的MF以外でシュートが多かったのは?最後の表4はフォワードや攻撃的MFのポジションの選手以外で「90分あたりのシュート数」が多かった選手をまとめてみた。1位はMF宮阪(山形)で2.18本。2位はDF塩谷(広島)、3位はMF山村和(鹿島)、4位はMF柴崎岳(鹿島)、5位はDF槙野(浦和)となった。「攻撃型のCB」と言われるDF塩谷とDF槙野がランクインしており、それ以外のCBでランクインしたのはDF闘莉王(名古屋)とDF森重(FC東京)の2人だった。
表4. 90分あたりのシュート数のベスト20 ・・・ フォワードと攻撃的MF以外
No. | 選手 | 所属 | 出場試合数 | 時間(分) | シュート/90分 |
1 | 宮阪 政樹 | モンテディオ山形 | 18 | 1,281 | 2.18 |
2 | 塩谷 司 | サンフレッチェ広島 | 27 | 2,319 | 1.90 |
3 | 山村 和也 | 鹿島アントラーズ | 13 | 611 | 1.77 |
4 | 柴崎 岳 | 鹿島アントラーズ | 29 | 2,546 | 1.66 |
5 | 槙野 智章 | 浦和レッズ | 33 | 2,970 | 1.55 |
6 | レオ シルバ | アルビレックス新潟 | 25 | 2,224 | 1.50 |
7 | ダニルソン | 名古屋グランパス | 12 | 899 | 1.40 |
8 | エウシーニョ | 川崎フロンターレ | 34 | 3,007 | 1.32 |
9 | 永木 亮太 | 湘南ベルマーレ | 32 | 2,854 | 1.29 |
10 | キム ミンテ | ベガルタ仙台 | 16 | 1,273 | 1.27 |
11 | 青山 敏弘 | サンフレッチェ広島 | 33 | 2,951 | 1.22 |
12 | 田中 マルクス闘莉王 | 名古屋グランパス | 30 | 2,587 | 1.18 |
13 | 田口 泰士 | 名古屋グランパス | 11 | 990 | 1.18 |
14 | 関根 貴大 | 浦和レッズ | 32 | 2,465 | 1.17 |
15 | 安藤 淳 | 松本山雅 | 15 | 1,317 | 1.16 |
16 | アルセウ | モンテディオ山形 | 32 | 2,880 | 1.13 |
17 | 森重 真人 | FC東京 | 32 | 2,834 | 1.08 |
18 | 柏木 陽介 | 浦和レッズ | 33 | 2,834 | 1.08 |
19 | 菊池 大介 | 湘南ベルマーレ | 34 | 2,939 | 1.07 |
20 | 山本 脩斗 | 鹿島アントラーズ | 28 | 2,445 | 1.07 |
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