■ 5大会連続の本大会出場男子の五輪代表が、28年ぶりに本大会出場を果たしたのが、1996年のアトランタ五輪のときで、それ以降は、シドニー・アテネ・北京・ロンドンと、5大会連続で本大会出場を果たしている。本大会の参加国数は、W杯が32ヵ国で、五輪は半分の16ヵ国なので、五輪の方がハードルが高くて、出場が危ぶまれた予選もあったが、無事に出場権を確保し続けている。
男子サッカーは、1968年のメキシコ五輪で、銅メダルを獲得しており、シドニー五輪以降は、「メダル獲得」が期待されているが、周囲が期待するような結果は残せていない。もっとも、メダルに近づいたのは、シドニー五輪で、準々決勝でアメリカにPK戦で敗れて「ベスト4入り」を逃したが、MF中田英、MF中村俊、MF稲本を中心としたチームは、フル代表でもレギュラーになっていた選手がほとんどで、大きなチャンスだったが、残念な結果に終わった。
■ 女子はメダル獲得がノルマか今回のロンドン五輪は、男女とも出場権を獲得しているが、女子の方は、メダル候補の1つである。連覇を目指すアメリカがいるので、金メダル獲得というのは、大変であるが、強豪のドイツは本大会に出場できず、なでしこジャパンの実力が、参加国の中で、3番以内に入っていることは、明らかである。よって、簡単なことではないが、メダル獲得はノルマと言える。
なでしこジャパンについては、2011年のW杯以降、急激に注目度が増したので、嫉妬心も生まれており、快く思わない人もいる。もし、メダルを獲得出来なかった場合の反動は、相当なものになると予想されるので、自分たちの未来を切り開くためにも、メダル獲得は必須である。
■ 男子の目標は・・・一方で、男子にも、メダル獲得を期待する声はあるが、ブラジル、スペイン、イギリスなど、有力チームが顔を揃えているので、いずれかのチームに勝利して、3位以内に入るというのは、現実的な話ではない。今回は、優勝候補の一角であるスペインと同じグループに入っているが、「グループリーグ突破」というのが大きな目標となる。
もちろん、後先のことを何も考えず、MF香川を招集して、オーバーエイジでMF本田圭、DF長友、DF吉田(or GK川島)といった選手を呼んでいれば、チーム力がアップするのは確実であるが、フル代表や所属クラブの事情を無視して、強硬策を取るだけの価値が、男子サッカーには無いのが、現状である。
そして、仮に、彼らがチームに加わったとしても、メダル獲得というのは、相当に難しい話である。男子サッカーに限らず、どの競技でも、期待するのは、悪くないが、期待しすぎるのは、あまり良いことではない。
■ 立ち位置の変化久々に本大会に出場したアトランタ五輪から、16年が経過して、五輪代表の位置付けも変わってきている。世界における日本サッカーの立ち位置も大きく変わったので、当たり前のことであるが、相対的に、五輪の重要度は下がってきている。
アトランタ五輪の頃は、海外のスカウトにアピールするには、世界の舞台で活躍するしかなかったが、今では、J1のみならず、J2の試合にも、海外からスカウトが来るような状況が生まれている。また、「自分の力を知りたい。」という気持ちも、当時は、世界大会出場を目指すモチベーションになっていたが、今では、身近なところに世界レベルの選手がいるので、それも、難しい話ではなくなった。
当然、世界大会にチャレンジする場合は、日本代表チームに、できるだけいい成績を残して欲しいと思うし、いい成績を残すためには、いいメンバーを集める必要があるので、できる限りの努力をして欲しいと思うが、現実的には、いろいろな制約があるので、いいメンバーを揃えることが難しくなっている。渋々ながら、受け入れざる得ないのが現状である。
■ 気を付けたい批評そして、そのような中で、日本サッカー協会ができることも、限られてくる。これは、1年ほど前のコパ・アメリカの参加/辞退の騒動のときにも感じたことであるが、目の前に迫ったことに対して、プライオリティーを十分に考慮せず、日本サッカー協会に、常に、全力を尽くすことを求めるのは、どうかと思う。
残念ながら、まだまだ、そういった場合に、「本気度」であったり、「覚悟」といった表現を使って、日本サッカー協会に苦言を呈する人がいるが、若干の違和感を感じてしまう。「世界大会でいい成績を残したい。」という気持ちは、間違いなく、一般のサポーターよりも、現場に関わっている人の方が、強く感じていることであり、それでも、妥当せざる得ない部分は、必ず発生するのである。
もちろん、日本サッカー協会の仕事ぶりは、きちんとチェックすべきであり、いい仕事をしているのか、いい仕事ができていないのかは、しっかりと評価すべきであるが、「厳しい目で見守ること」と、「事情を考えずに批判すること」は、全く違うものである。
個人的にも、レフェリーであったり、日本サッカー協会というものは、選手あるいはクラブなど違って、強く擁護するような勢力がないので、安易に批判してしまいがちであるが、彼らの事情も十分に考慮しないと、批評に説得力が無くなってしまう。自身への戒めとしても、今回、ここで、記述しておきたい。
関連エントリー 2008/03/05
10年ひと昔のJリーグ 2009/06/06
あなたは本当に日本サッカーのことを知っていますか? 2009/06/28
サッカーサイトの「現状」について考える。 2011/01/28
「信頼できるライター」と「信頼できないライター」 2011/05/17
コパ・アメリカの辞退 決定に関して 2011/07/01
アトランタの思い出 2012/02/21
【J1】 レフェリーによるレフェリングの傾向について
- 関連記事
-