■ ACLが開幕2014年のACLが開幕。9年ぶりのACL出場となる横浜Fマリノスはアウェーで韓国の全北現代と対戦した。横浜FMは2004年・2005年に続く3度目のACL挑戦となるが、「各組の上位2チームが決勝トーナメントに進出できる。」という今のレギュレーションになってからは初めての参加となる。過去2回は2004年が5勝1敗、2005年が4勝2敗と好成績を残しているが、いずれも2位でGL敗退となった。
アウェーの横浜FMは「4-2-3-1」。GK榎本哲。DF小林祐、栗原、中澤、下平。MF中町、富澤、三門、中村俊、齋藤学。FW伊藤翔。ゼロックスの広島戦でスタメンだった選手の中では、DFドゥトラ、MF藤本淳、FW端戸が外れて、DF下平、MF三門、FW伊藤翔という新戦力の3人がスタメンに抜擢された。2013年のリーグMVPのMF中村俊は自身初のACL出場となる。
■ 3対0で全北現代が圧勝試合は立ち上がりからホームの全北現代が主導権を握る。長らく韓国代表として活躍したFWイ・ドングッ、神戸で活躍したベテランのMF金南一はベンチ外で、背番号「10」のMFレオナルドもベンチスタートとなったが、C大阪と横浜FCで活躍した長身のFWカイオを1トップに置いて、FWカイオを中心に攻め込んでくる。前半は何とか無失点でしのいだが、ホームの全北現代が圧倒した45分間だった。
後半になるとようやく横浜FMもボールがつながるようになってきて、後半10分には左SBのDF下平のアーリークロスをニアでFW伊藤翔が合わせるが左ポスト直撃でゴールならず。直後の後半13分に温存していたMFレオナルドを投入。すると、後半15分に中途半端なクリアをカットされて、最後は韓国代表のMFイ・スンギに決められて先制を許すと、後半22分にもMFイ・スンギに決められて2点ビハインドとなる。
劣勢の横浜FMは後半25分にも途中出場のMFレオナルドにPKを決められて0対3となる。MF藤本淳、MF小椋を投入した効果もほとんど無くて、そのまま0対3で敗戦。ゼロックスの広島戦に続いて完封負けとなった。第2節はホームでアジア王者の広州恒大と対戦するが、GLを突破するためには勝たなければならない試合となったので、1試合を終えた段階ではあるが、GL突破に黄色信号が灯った。
■ 韓国らしいチーム2006年のアジア王者で、2011年のACLでも準優勝に輝いている全北現代はACLの常連チームの1つである。グループGはアジア王者の広州恒大がいて、豪州のメルボルン・ビクトリーもいるが、全北現代と横浜FMが2位争いをするのではないか?という予想が多い。1節から直接対決となったが、全北現代にとっては最高のスタートとなった。直接対決の得失点差が絡んでくることもあるので、3点差というのも大きい。
韓国代表監督を務めて辛うじてブラジル行きの切符を獲得したチェ・ガンヒ監督がチームに戻ってきたが、オーソドックスな監督で、伝統的な韓国サッカーをしてくるチームである。各ポジションにタレントがいて、スピードやパワーや高さを持った選手が何人もいて、サイドからの崩しが主な攻撃パターンとなる。日本のチームが苦手にしているプレースタイルと言えるが、攻守両面で横浜FMを圧倒した。
FWイ・ドングッ、MF金南一、MFレオナルドなどがスタメンではなかったので、ベストメンバーとは言えなかったが、力のある選手が多かった。もっとも目立ったのは、何と言っても右サイドハーフのMFハン・ギョウォンで、2・3人で横浜FMの選手が囲んでも単独で打開する場面が何度もあった。また、MFレオナルドも途中出場で2つのゴールに絡むなど、切り札の役割を十二分に果たした。
日本でもお馴染みのFWカイオは1トップで起用された。横浜FCを退団した後はUAEでプレーして、今年から全北現代に加わったが、なかなかのプレーを見せた。高さで勝負するタイプではないが、187センチとサイズがあって、しかも、スピードと運動量があるので、相手にすると厄介な選手である。C大阪に加入した当初はMFだったが、2008年にクルピ監督がフォワードにコンバートして才能が開花した。
■ 悔やまれるミスからの失点対する横浜FMはいいところを見付けるのが難しい試合となった。アウェー戦なので「引き分けでもOK」という試合だったが、まさかの3失点。前半から圧倒されたが、結局、1失点目も、2失点目も、3失点目も、後方から組み立てていくところで相手にボールをカットされて失点することになった。体を張ったシュートブロックで何とか後半途中まで0対0のスコアを維持していたので、悔いの残る形で失点を喫した。
横浜FMはJリーグの中では「ボールを大事に運ぶことのできるチームの1つ」と言えるが、DF栗原とDF中澤がそこまでビルドアップができるタイプではないので、相手に前からプレッシャーをかけられると脆さを見せるときがある。2013年のJ1の33節の新潟戦(H)もそういう展開になったが、プレッシャーをかけられても慌てることなくボールをボランチに供給できるCBの大事さを痛感する試合となった。
ゼロックスの広島戦の内容が良くなかったこともあって、DF下平、MF三門、FW伊藤翔の3人をスタメンに抜擢した。1トップのFW伊藤翔に関しては、ポスト直撃の惜しいシュートもあったので見せ場は作ったが、左SBのDF下平、右サイドハーフのMF三門はあまりいいところは無かった。実力があるのは分かっている選手たちであるが、チームの悪い流れを変えることはできなかった。
特にMF三門は持ち味を全く出せなかった。攻撃に関与するシーンはほとんど無くて、守備においても、2度ほど高い位置でボールを奪い返しただけ。彼のところが全く機能していないのは明らかだった。ただ、MF三門という選手は縁の下の力持ちタイプなので、自分自身が貢献できるかどうかは、チームの出来・不出来に大きく左右される。したがって、彼を責めるのがお門違いである。
疑問に感じるのは、MF兵藤が2試合連続でベンチスタートだったことで、広島戦はMF藤本淳、全北現代戦はMF三門が右サイドハーフで起用されたが、全く機能していない。MF兵藤は横浜FMの中盤の肝と言える選手で、大事なところで点を獲る「勝負強さ」も持っている。短い出場時間にとどまっているので、状態があまり良くないのかもしれないが、右サイドの人選に関しては疑問に感じるところもある。
■ 埋まっていないFWマルキーニョスの穴ACLはGLで2位以内のチームが決勝トーナメントに進出できるが、突破するために必要な勝ち点の目安は「10」くらいで、3勝2敗1分けが最低ラインとなる。なので、初戦で敗れても突破の望みが無くなるわけでないが、今後の戦い方は難しくなる。特にホームの広州恒大戦とホームの全北現代戦は勝ち点「3」を狙って無理をしなければならなくなるので、1試合でかなり難しい状況に追い込まれた。
横浜FMはゼロックスの広島戦もほとんど決定機が無かったが、全北現代戦もチャンスらしいチャンスはFW伊藤翔のシュートがポストに当たった後半10分のシーンくらい。この試合のFW伊藤翔のプレーはチームメイトと比較して、相対的には悪くなかったが、良かったかというとそういうわけでもない。今のところ、FWマルキーニョスの穴は埋まっておらず、樋口監督の一番の悩みどころになっている。
もちろん、昨シーズンの終盤のFWマルキーニョスの不調がV逸の要因の1つである。高年俸や年齢を考えると「無理をして引き留めなかった判断」は正しかったと思うが、彼はゴール数など数字以外でもチームに貢献できる選手で、たとえ不発の試合が続いたとしても、相手に恐さを与えることができる。なので、FWマルキーニョスのような選手がいなくなると、相手チームは心理的にちょっと楽になる。
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