■ 直接対決勝ち点差「4」で残留を争う17位のジェフ千葉と15位のモンテディオ山形の直接対決。千葉はここ10試合で5敗5分け。江尻新監督就任後の7試合を見ても、3敗4分けと監督交代の成果は出ていない。対する山形も4連敗中。16位の柏レイソルとの差は「1」のみ。正念場を迎えている。
ホームのジェフ千葉は<4-2-3-1>。GK岡本。DF坂本、池田、福元、青木良。MF工藤、中後、深井、谷澤、ミシェウ。FW巻。DFボスナーはベンチ外。FWネット・バイアーノはベンチスタート。MFミシェウがトップ下で、MF工藤とMF中後のダブルボランチ。
対する山形は<4-2-2-2>。GK清水。DF宮本、西河、レオナルド、小林亮。MF佐藤、秋葉、宮崎、宮沢。FW古橋、長谷川。DF石川はベンチスタート。4試合欠場していたDF西河がスタメン復帰。DFレオナルドとセンターバックのコンビを組む。
■ 山形が2対1で勝利試合は前半26分に山形が先制。ゴール前やや右寄りでフリーになったMF宮沢のスルーパスをFW長谷川が右足で決めて先制。FW長谷川は待望の二桁ゴールとなる10ゴール目。前半は1対0の山形リードで終了。
後半になると、落とせない千葉が攻勢。後半19分にMF谷澤に代えてFWネット・バイアーノを起用し、FW巻とのツインタワーに変更すると、高さを生かした攻撃を見せる。後半26分に、コーナーキックからハイボールでつないで、最後はゴール前のMFミシェウがヘディングで押し込んで同点に追いつく。MFミシェウは2ゴール目。
これで活性化するかと思われた千葉だったが、その3分後に、山形がサイドを攻略。右サイドの奥のスペースをMF宮崎が抜け出す。そのクロスからFW古橋が中央でボールを受けて決定的なシュート。これはGK岡本が防ぐが、ゴール前に走り込んだ途中出場のMF北村が押し込んで勝ち越しに成功する。MF北村は2ゴール目。
結局、このまま2対1で山形が勝利。残留に向けて貴重な勝ち点「3」をゲットし、最下位の大分と引き分けた16位の柏との差を「3」に広げた。一方の千葉は、またしてもホームで勝てず。残留圏の15位の山形との差は「7」に広がって、J1残留が厳しくなってきた。
■ 大きな勝ち点「3」直接対決を制した山形は4連敗でストップ。勝ち点を大台の「30」に乗せた。
前半26分といういい時間帯にFW長谷川のゴールで先制。後半に追い付かれたが、途中出場のMF北村のゴールで勝ち越し。後半の立ち上がりから千葉に攻め込まれたが、両センターバックが踏ん張って最少失点に抑えて、勝ち越しに成功。したたかに勝利を勝ち得た。
山形は次節は大分戦。30節は柏戦。残留を目指すチームとの直接対決は続く中で、幸先のいい結果となった。
■ 10ゴール目の長谷川悠山形のFW長谷川はこの試合のゴールで10ゴールに到達した。22歳という若さで、しかも、今シーズン、J1にデビューした選手としては、十分すぎるほどの成績である。
187cmの高さを生かした空中戦とがっちりとした体格を生かしたボールキープはチームに不可欠であり、運動量も多い。派手さは無いが、黙々と仕事をこなす姿は、モンテディオ山形というチームの象徴といえる。
これだけのサイズがあって、しかも、これだけの結果を残しているとなると、当然、日本代表候補にも入ってくる。もう、いつ日本代表に呼ばれたとしても不思議ではない。そうなると、モンテディオのクラブ史に快挙となる。
■ 小林伸二監督のサッカーシーズン開幕前は、「戦力的にはJ1の中でも一番下である。」という評価が一般的だった山形だったが、ライバルを下して残留に少し近づいた。
ピッチ上で見せているサッカーは、昨シーズンにJ2で見せていたサッカーと大きな違いはなく、2年目を迎えた小林監督らしい実直なチーム作りが実を結んでいる。昇格した2008年シーズンも決してJ2の中では抜きん出た存在ではなかった。今シーズンは、J1とステージは上がったが、同じようなチャレンジャーの立場で、シーズンを戦うことが出来た点も予想以上の結果を残している要因といえる。
2005年にセレッソ大阪を率いてJ1制覇にあと一歩に迫った経験のある小林監督は、風貌からするとオジサンに見えるが、まだ49歳。どちらかというと「若手監督」の部類に入るが、経験値は非常に高い。
「ボールも人も動くサッカー」が主流になった日本サッカーの中では、異質なチーム作りを見せるが、猫も杓子も「ボールも人も動くサッカー」を目指す中で、こういう監督は貴重である。伝えられるところによると、相当に厳しい指導を行う監督のようであるが、一切の妥協を許さないチームマネージメント力は高い評価が与えられるべきである。
スペクタクルなサッカーではないが、単に守ってばかりのサッカーかというと全くそうではなく、チャンスと見ると、ボランチも積極的に攻め上がってチャンスを作る。この試合では、MF宮崎やMF宮沢といった攻撃的MFの選手の活躍が目立ったが、きちんと役割を整理してピッチ上に送り出しているので、選手が迷うことなくプレー出来ている。長くJ2で戦ってきたチームがJ1に上がった時、J1のレベルの高さに戸惑うこともあるが、それを乗り越えた時、チームも選手も着実な成長を遂げることになる。
■ 痛すぎる敗戦一方の千葉は1対2で敗戦。J1残留を考えると、痛すぎる敗戦となった。
この試合はFWネット・バイアーノをスタメンから外してFW巻をスタメンで起用。MFミシェウをトップ下に起用。後半26分にそのMFミシェウのヘディングシュートで同点に追いつき、「さあ、ここから」というムードが高まったが、同点に追いついたと同時に4バックから3バックに変更。アタッカーの枚数を増やして、ガンガン攻めるつもりが、逆にスカスカになった左サイドを破られて後半28分に失点。いい時間帯に追い付いて、いいムードだっただけに落胆は大きかった。
システム変更はギャンブルを伴うものであるので仕方がないとはいえ、失点シーンは、あまりにも左サイドのケアが出来ておらず、中央の枚数も少な過ぎた。3バックに変更した時、右ウイングバックはMF和田で問題ないが、左ウイングバックはMF深井となる。これは采配ミスといえるのではないか。
■ 改善の余地が多い両サイドバック前半30分ごろからは千葉もいい攻撃を見せるようになった。MFミシェウのドリブルとキープが効果的で、3試合ぶりのスタメンとなったFW巻の中央でのポスト役も悪くは無かった。ただ、やはりというべきか、厚みのある攻撃は出来ず、FWネット・バイアーノが投入されるまでは、ゴール前で脅威を与えられなかった。
改善ポイントの1つは両サイドバックとなる。試合の序盤は、右のDF坂本、左のDF青木良が攻め上がる回数は少なく、いい形でボールを奪った時も躊躇なく前に出る意欲に欠けた。後半になると、意識が変わったのか、やや改善されて攻撃に絡むシーンが増えていったが、4バックの場合は、両サイドが果敢に攻め上がるスタイルが主流。サイドバックがゴールシーンやアシストシーンに関わらなくても、ゴール近くに上がっていくだけでも、攻撃の厚みは大きく違ってくる。
慎重に戦うべき状態であれば、DF坂本とDF青木良の両サイドがバランス感覚に優れているので悪くないが、現状を考えると物足りない。
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