■ 昇格決定!!!第44節の愛媛FC戦で3対2と劇的な逆転勝利を飾ったモンテディオ山形のJ1昇格が決定した。モンテディオ山形は、1999年のJリーグ2部制開始とともにJ2に参加しているオリジナルクラブで、10年目にして初めてのJ1への切符を勝ち取った。
昇格を決めた愛媛戦は、今シーズンのチームの勢いを象徴する歴史的な試合となった。後半の終了間際にDF石川とFW豊田のゴールで逆転勝ち。夢のような試合展開でJ1行きを決定付けた。
■ モンテディオの勝因開幕前に必ずしも前評判が高くなかったモンテディオ山形がJ1行きを決めた理由として、次の3点が挙げられる。
① 小林伸二監督の招聘 → 大分やセレッソ大阪時代にJ1で十分な実績を築いた小林監督。派手さは無いが堅実な守備をベースにしたひたむきなサッカーは、雪国である東北人の気質にうまくマッチしていたと言えるかもしれない。
② 長谷川悠の大ブレーク → シーズン序盤のチームを引っ張ったのがFW長谷川。柏や福岡時代はゴールがなかったが、今シーズン、プロ初ゴールを含む13ゴールを記録。ゴール以外でも、類まれなキープ力で前線の核となった。
③ 移籍組のスムーズなフィット → 選手層が厚いとは言えない山形にとって、新加入組の活躍は戦力アップを果たす上でも大きかった。前述のFW長谷川悠の他にも、MF宮崎光平、MF宮本卓也、DF石井秀典の3人は、必ずしもシーズンを通してレギュラーというわけでは無かったが、チームの戦術上、重要な役割を担った。
■ ライバルを振り落とした終盤戦昇格目前になって、やや足踏みをしたことから分かるように、プレッシャーは大きかったはずである。ただ、それでも、最終節を残してJ1昇格を決めた。ライバルのベガルタ仙台に2勝1敗、湘南ベルマーレに2勝1分け、セレッソ大阪に1勝1敗1分けと3クラブを相手に互角以上の戦績を残した。
総得点はリーグ4位、総失点はリーグ2位と十分な結果であり、間違いなくサンフレッチェ広島を除いたJ2の14チームの中では、もっともJ1昇格にふさわしい力を備えていて、決してフロックではないと言える。
■ 来シーズンのポイント①気になるのは、来シーズンの動向である。来シーズンはいよいよ、J1が舞台となる。難しいのは、FW長谷川やFW豊田といった主力の数名がレンタル組であり、元のクラブに復帰する可能性が低くないということである。したがって、来シーズンの開幕戦で、どういうメンバーがピッチに並んでいるのかは、全く不明である。
それでも、小林監督の続投は決定的であり、今シーズンのJ2で行ったサッカーをJ1でも披露できるかどうかが一番のポイントだろう。
■ 来シーズンのポイント②地元は空前の盛り上がりを見せるかもしれないが、大事なのは、欲張らないことである。確かにJ1に残留することは大切だが、チームバランスを崩して無理な戦力補強をして、負の遺産を残しては、再来シーズン以降に差し障りが来る。
ただ、やり方によっては、スモールクラブでもJ1で結果を残すことが出来ることはこれまでの歴史の幾つかが証明している。
■ 来シーズンのポイント③欲張らないことは大事だが、J1を過大評価しないことも大切である。
今のJ1には、数度の優勝経験のあるビッグクラブ(浦和、鹿島など)と、そのもう少し下の中堅クラブ(名古屋、FC東京、清水など)が10クラブ程度あって、それ以外の8クラブ程度は横一線であり、さらにJ2で昇格を争う6~7チームも、そのJ1の下の8クラブとそれほど大きな戦力差は無い。
モンテディオ山形と比べると、クラブの格という意味では大きな差があるかもしれないが、必要以上に恐れないことも大事である。
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