■ 天地人ダービー開幕前の低評価を覆して上位を争うモンテディオ山形とアルビレックス新潟の対戦。「天地人ダービー」である。
ホームの山形は<4-2-2-2>。GK清水。DF宮本、園田、レオナルド、石川。MF佐藤、秋葉、北村、宮沢。FW古橋、キム。FW長谷川は欠場。DF園田が初スタメン。
対するアウェーの新潟は<4-1-2-3>。GK北野。DF内田、千代反田、永田、中野。MF本間、マルシオ・リシャルデス、曹永哲。FWペドロ・ジュニオール、大島、矢野。DFジウトンは警告累積のため欠場。
■ 矢野の決勝弾試合はアウェーながら地力に勝る新潟が優勢。FW大島を起点に右FW矢野、左FWペドロ・ジュニオールが果敢なアタックを見せて決定的なチャンスを作る。押され気味の山形はFWキム・ビョンスクがイージーミスを連発し、リズムをつかめない。
0対0で迎えた後半も新潟ペースで進むが、山形も懸命に守ってなかなか先制ゴールは奪えない。しかし、後半15分にバイタルエリアでフリーになったFWペドロ・ジュニオールがミドルシュートを放つと、相手DFに当たったボールをFW矢野が落ち着いて決めて先制。
山形はその後、セットプレーを中心にゴール前に迫るが、新潟の高い壁に阻まれてゴールは成らず。結局、1対0で新潟が勝利し、暫定3位に浮上した。
■ 右の矢野貴章新潟はこの試合も自慢の3トップが活躍し勝利をたぐい寄せたが、勝負を決めたのは右FW矢野だった。
昨シーズンまでのFW矢野はFWエジミウソンあるいはFWアレッサンドロといったストライカータイプの横で献身的に動いて味方のチャンスを生み出すプレーに終始していて、ゴールへ向かう積極性はそれほど高いとはいえなかったが、ポジションが右に固定されたことで吹っ切れたのか、ボールを持った時にゴールに迫る迫力が戻ってきている。
それほど得意ではないポストプレーに関してはFW大島がこなしてくれるのでFW矢野がポスト役になる必要はなく、また、対面するのが相手の左サイドバックであり、体格的にも中央で相手のセンターバックに対峙するよりも、アドバンテージを持てることが好影響をもたらしているかもしれない。
■ 止まらないペドロ・ジュニオールFW矢野のパフォーマンスも良かったが、やはりこの試合のベストプレーヤーはFWペドロ・ジュニオールであった。今シーズンはここまで、リーグトップの7ゴールを記録しているが、前を向いてボールを持った時の威力はJ1でもトップレベルであり、山形のディフェンダーはファールで止める事も容易ではなかった。
いくつものチャンスがありながらシュートまでいかずにドリブルを続けて最終的にフィニッシュにまで持っていくことが出来なかったのはマイナスだが、相手からすると分かっていても止められない怖さを持つ。
■ 「3」+「2」の効果新潟のシステムは<4-1-2-3>で、非常に攻撃的なシステムになっている。このシステムは攻撃面はもちろんのこと、守備面でも前に「3人」+「2人」がいて、相手の最終ラインやボランチにプレッシャーをかけやすい。
難しい「1」の部分をこなすMF本間の活躍も見逃せない部分であり、前から積極的にプレッシャーをかけて、縦への突破力のあるFW矢野とFWペドロ・ジュニオールが生きる形になっている。
■ 的確な采配山形はターゲット役のFW長谷川が不在の中、本来はボランチのMFキムをフォワードで起用したが、これが失敗。185cmと体格に恵まれているMFキムだが、不慣れなポジションなのか、ミスを連発した。
すると、小林監督はすかさず前半36分にMF渡辺匠を投入し、MFキムをベンチに下げるという驚きの采配を見せた。このとき、0対0という状況であり、しばらく様子を見てうまくいかないようであればハーフタイムに交代を行うというのが通常であり、思い切った采配であったが、しかし、的確な采配だった。
途中投入のMF渡辺はボランチの選手であり、始めはMF北村をトップに上げて右MFにはMF秋葉を配置したが、しばらくすると、この二人のポジションを入れ替えて、MF秋葉がFW古橋と2トップを組むかのようなポジションとなった。
このMF秋葉のプレーが非常によくて、本職ではなく攻撃的MFのポジションでも、フォワードのポジションでも、遜色のないプレーを見せた。これがJ1でプレーする効果なのか、昨シーズンのプレーと比べると、あらゆる面でスケールアップを果たしていて、J1で旋風を巻き起こす山形の主役の一人となっている。
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