■ 19節J1は第19節。中二日のセレッソ大阪と中三日のFC東京の対戦。2010年の最初の対戦は味の素スタジアムでの試合で、0対0の引き分けに終わっている。
ホームのC大阪は<4-2-3-1>。GK松井。DF高橋、茂庭、上本、丸橋。MF羽田、マルチネス、乾、家長、清武。FWアドリアーノ。GKキム・ジンヒョンは怪我のため欠場。MFアマラウは出場停止でMF羽田がスタメン出場。
対するアウェーのFC東京は<4-2-2-2>。GK権田。DF中村北、今野、キム・ヨングン、松下。MF森重、梶山、石川、徳永。FWリカルジーニョ、大黒。FW平山、FW重松がベンチスタート。MF羽生は怪我のため欠場。MF徳永が左サイドハーフでスタメン。
■ C大阪が圧勝試合は立ち上がり早々にC大阪が右サイドを崩し、MF家長の左足のクロスをFWアドリアーノがヘディングで決めて先制。FWアドリアーノは今シーズン7ゴール目。FWアドリアーノの突破に手を焼くFC東京は前半37分にDF森重がFWアドリアーノを倒してこの試合で2枚目のイエローカードを受けて退場。10人となる。前半は1対0のC大阪リードで終了。
後半開始からC大阪は前半に負傷したFWアドリアーノに代えてFW小松を投入。すると後半5分に左サイドを突破したFW小松がシュート気味のグラウンダークロスを送ると、ファーサイドのDF高橋がうまく押し込んで2点目を挙げる。
FC東京はFW平山、FW重松、MF大竹を投入。攻撃的なメンバーを入れて得点を狙うが、C大阪は35分に途中出場のMF黒木が左足でミドルシュートを決めて3点目。FC東京は後半41分にFW平山のポストからMF大竹が決めて2点差とするが、その直後にC大阪のDF石神がミドルシュート。GK権田が処理できずにゴールイン。
結局、4対1でC大阪が圧勝。C大阪は2連勝。一方のFC東京はまさかの大敗で勝ち点「20」のまま。
■ アドリアーノの先制ゴール真夏の試合で両チームともに運動量は少なめの試合となったが、前半3分にFWアドリアーノが大きく、90分を通してC大阪ペースで試合は進んだ。FC東京はMFマルチネスのマークが非常に甘く、そこから楽々と展開を許した。11人の時もそうであったので、一人減って10人になったら事態が悪化するのは必然だったと言える。
前半途中にMF森重と衝突した影響があったのか前半のみの出場となったFWアドリアーノであるが、この日はキレキレでFC東京の守備陣の脅威となった。スピードはもちろんのこと、当たり負けしないフィジカルの強さが素晴らしい。意外と怪我がちであって、欠場する試合も多いが、継続して試合に出続けることが出来たら得点ランキングでの上位に入ってくるだろう。
■ 小松塁の活躍そのFWアドリアーノに代わって後半開始から出場したFW小松も好プレーを見せた。相手が10人の状況だったとはいえ、最初のチャンスでDF高橋のゴールをお膳立てし、その後はノリノリだった。
待望されるJ1でのゴールは生まれなかったが、出場してすぐのプレーが得点につながったことが好影響をもたらして、いつものように無駄に持ち過ぎたり、仕掛けなくていいところで仕掛けたりするといったことがなく、判断も非常によかった。
FWアドリアーノが怪我等で試合に出られないときに1トップに誰が入るか?というのはC大阪にとっては1つの悩みになっているが、この試合のFW小松の出来であれば十分である。
■ 黒木のダメ押しのミドルシュート試合を決定付けたのが途中出場のMF黒木のミドルシュート。DF上本の素晴らしいディフェンスからカウンターを仕掛けて、ボールを持ったMF黒木がドリブルで1人外して豪快に左足でシュートを決めた。このゴールはMF黒木にとってJ1で初ゴールとなる。
J2だった昨シーズンは、ボランチでレギュラーポジションを奪った時期もあったMF黒木。2009年は35試合に出場して3ゴールと飛躍のシーズンとなったが、今シーズンはボランチの序列としては、MFマルチネス、MFアマラウ、MF羽田の次の4番手を争う形になっていて、スタメン出場はゼロ。なかなかチャンスが無かっただけに、大きなアピール弾となった。
彼もロンドン世代となるが、もともと右足のキックの精度の高さは抜群であり、右足のミドルシュートの威力と精度はJ1の中でもトップクラスに近いレベルにあるが、まさか左足で同じようなミドルでのゴールが決まるとは予想外だった。
この年代の選手は試合に出ることで成長する部分があるので、ベンチあるいはスタンド観戦が多いというのは非常にもったいない気もするが、ある程度は我慢して状況を受け入れなければならない。最近になってMFアマラウがチームにフィットしてきているが、ポテンシャルを考えるとMF黒木がスタメンを奪い取ってもおかしくはないはず。
■ 完敗のFC東京C大阪よりも1日休みが多くて、コンディション的には有利だったはずのFC東京であったが、4失点で敗戦。立ち上がりにいとも簡単にMF家長の突破を許して失点。攻守ともに散々な出来だった。10人になったとはいえ、後半はピンチの場面が続いて、もっと失点を重ねていても不思議ではなかった。
これで中断明けは1勝3敗3分け。最初のゲームでヴィッセル神戸を相手に2対0とリードしながら終盤に立て続けに失点を喫してドローに終わった試合が悔やまれるが、19節を終えて4勝7敗8分け。14位に転落し、16位のベガルタ仙台との差は「5」のみ。上位進出よりも残留を目指して戦う必要が出てきた。
■ 不可解な徳永の起用①日本代表や五輪代表クラスの選手が揃っていて、もっと上位に位置していなければおかしいチームであるが、まさかの空回りで期待外れのシーズンとなっている。城福監督からは負のオーラが出始めていて、厳しいチーム状況である。
DF長友がイタリアに移籍したことによる戦力ダウンの影響はあるが、もっともよく分からないのはMF徳永の起用方法。なぜ、城福監督はMF徳永を右サイドバックのポジション以外で起用するのか不思議でならない。おそらく、城福監督が普通の起用方法をしていたら、勝ち点は「5」から「10」ポイントほどは上乗せできていただろう。
■ 不可解な徳永の起用②右サイドバックとして日本代表にも召集されていて南アフリカ行きの可能性もあった国内有数の右サイドバックの選手であるが、なぜか今シーズンはボランチで起用されることが多く、この試合はMF羽生が欠場ということもあって左サイドの攻撃的MFでプレー。やはりというべきか、うまく機能しなかった。
もともと、DF今野、MF森重、DF中村北といったユーティリティな選手が揃っているが、なぜかMF徳永をユーティリティ選手として扱っているのか?今シーズン、ほとんどの試合で消えてしまっていて、彼の持ち味であるはずの守備の強さであったり、縦に運ぶパワフルなドリブルといったサイドバック時代の良さが全く見られないままで、ボールを受けても横パスをするしかない。
右サイドバックにDF徳永と同じレベルの選手がいるのであれば、他のポジションでのDF徳永の起用を模索してもいいが、そういうわけでもない。ボランチあるいは攻撃的MFでプレーするMF徳永を見ると不憫に思えるし、本職のプレーヤーとそうではないプレーヤーのレベル差を感じずにはいられない。
■ 意地の大竹のゴールFC東京の中で数少ない収穫といえるのがMF大竹のゴール。一人少ない状況の中で、うまくFW平山とのコンビで中央を崩して左足でゴールを奪った。これで今シーズンは2ゴール目となった。
いい時のFC東京は攻撃にスピード感があって連動性もあったが、夏の暑さの影響なのか、メンバーの問題なのか、今は、完全に個人技頼みの状況になっている。フィットし始めてきている新外国人のFWリカルジーニョとともに、攻撃はMF大竹がカギを握っているように思える。
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自分も城福監督の起用法にはかなり疑問がありますね。
徳永をボランチや攻撃的MFで起用するには無理がありますし本来のサイドバックで使うのがいいと思います。ボランチや攻撃的MFが不足してるなら中村北斗を使う方がずっといいです。
あと多くの専門家が今野と森重のポジションを変えた方がいいと指摘してますが自分も同じ考えです。米本がいない以上今野がボランチで潰し役をやった方がチームが安定すると思います。
森重とキムのCBだと速さに難と言うコメントがありますが自分はそれほど心配してないですが例え難があっても全体のバランスを考えたらしかたないかと。
いくら怪我人などで駒不足とは言ってももう少しまともな布陣で行けばここまで苦戦しないだろうってのが正直な感想です。
城福監督はU-17でアジア制覇して評価を上げましたが当時から采配には強い疑問を感じたのを思い出します。
僕は城福監督は駒が少ない中でよく凌いでいると思います。
計算できるディフェンシブな控え選手を軒並み放出し、
米本・平松(おそらく唯一、今野をすんなりCHに挙げられるCB。森重&キムだと速さに難)が
長期離脱に陥った時点で、ある程度予測できた順位・勝ち点でしょう。
(二人の負傷を知るまでは8~11位あたりを予想していました。)
他の東京サポーターにも多く見られますが、
徳永については、中断期間前までの
失点の少なさに対する少なからぬ貢献を軽視し、
単に「言及・指摘しやすい起用法だから」問題視している
という方が非常に多いように感じます。
徳永をSBに戻したところで勝ち点はそう変わらないでしょう。
また、ここ最近の中村をSBから外す理由がありません。
「日本代表や五輪代表クラスの選手が揃っていて、
もっと上位に位置していなければおかしい」
とのことですが特におかしくありません。
それは他サポであればネーミングバリューに釣られている(いた)、
東京サポであれば盲信している(いた)というだけのことに思います。
代表選手の多さと高順位とが比例していないことは
今更語る必要もないでしょう。
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