■ J1第28節FC東京と横浜Fマリノスの対戦。
ホームのFC東京は、<4-5-1>。GK塩田。DF伊野波・茂庭・藤山・金沢。MF福西・今野・リチェーリ・ルーカス・鈴木。FW赤嶺。DF徳永は出場停止のため、DF伊野波が右サイドバックに入った。
アウェーの横浜Fマリノスは、<4-4-2>。GK榎本。DF那須・中澤・栗原・小宮山。MF河合・清水・山瀬幸・山瀬功。FW大島・坂田。DF田中隼はベンチスタート
■ 逆転の勝利試合は、ピッチコンディション不良に悩まされて両チームとも苦戦を強いられる。
先制したのは横浜FM。後半2分、MF山瀬功のパスを受けたMF山瀬幸のミドルシュートを決めて先制。FC東京は後半16分にFW平山を投入。すると、後半21分に、MFリチェーリのクロスをFW平山が豪快に頭で合わせて同点に追いつく。横浜FMとしては、中澤が左サイドに引っ張り出されていて、中央に中澤がいなかったことが失点につながった。
さらに、後半39分に、FC東京は、相手GKの榎本のクリアミスを奪ったMF鈴木規のパスを受けたMF石川が無人のゴールにミドルシュートを決めて勝ち越す。結局、そのまま、2対1でFC東京が勝利した。
■ 平山の魅力FC東京は、ビハインドの状況でスーパーサブの平山を投入。いつもよりもやや早い時間帯での平山の起用となったが、見事に平山が期待に応えて同点ゴールをマークし、逆転勝利に結びつけた。これで、平山はリーグ戦再開後の9試合で5ゴール。すべて途中出場であり、短い出場時間ながらもゴールを量産している。
平山がゴールを量産できている理由は、「コンディションが上がってきていること。」、「得点を奪うという仕事に徹することの出来る状況でプレーすることが多いこと。」、「磐田戦でPKであったが初ゴールを決めて、プレッシャーから開放されたこと。」の3つだろう。
平山のよさは、何と言っても、シュートが打てること。高さを生かしたヘディングシュートはもちろんのこと、ちょっとしたドリブルで相手のマークをかわしてシュートコースを作るのがうまい。
以下が、J1第28節終了時点でのJ1のトップストライカーと平山の90分当たりのシュート本数である。
FWウェズレイ 17ゴール 129本 2103分 → 5.52本/90分
FWジュニーニョ 17ゴール 094本 2195分 → 3.85本/90分
FWバレー 17ゴール 098本 2121分 → 4.15本/90分
FW大久保嘉人 14ゴール 072本 2174分 → 2.98本/90分
FWエジミウソン 13ゴール 095本 2023分 → 4.22本/90分
FWワシントン 13ゴール 078本 1797分 → 3.90本/90分
FW平山相太 5ゴール 025本 0467分 → 4.81本/90分
■ 「5人抜きゴール」よりも価値のあるヘディングゴール①平山は、先日の横浜FC戦で、5人抜きゴールを決めて話題になった。あのゴールは、試合終了間際という時間帯であり、ビハインドの状況であった横浜FCのDFがファールすら出来ない状況であったため、厳しく対応することができなかったのもDFを突破できた要因であるが、別段、驚くことでもない。
もともと、平山はドリブラーとしての素質も持っている。ヘラクレス時代は、ドリブルからのゴールは一度も無かったが、一人で持ち込んでシュートまで行くシーンはわりとよく見られたプレーであった。
どうしても190cmという高さに目がいくので、「ポストプレーヤー」としてカテゴライズされがちだが、どちらかというと、「ポストプレーヤー」というよりは、「ドリブラー」としての才をもつ。もちろん、スピードがあるわけではないが、体の大きさを生かしたボールキープとコース取りのよさは目を引く。FC東京に加入後は、コンディション不良もあって、こういうシーンがほとんど無かったし、また、ドリブル突破をチャレンジするだけの実績も余裕も無かったので封印されていたが、ようやく本来の持ち味を発揮できたという印象である。
■ 「5人抜きゴール」よりも価値のあるヘディングゴール②間違いなく、この5人抜きのゴールはインパクトのあるものだったし、ドリブルという武器は平山という選手にプラスアルファの価値をもたらすものである。だが、やはり、彼の持ち味は高さを生かしたプレーであり、横浜FM戦で、ようやくヘディングシュートでのゴールシーンが見られたことの方が、ずっと喜ばしいことである。
率直に、相手DFの頭の上からヘディングでゴールを決められる選手は、今の日本では、平山以外には存在しない。ヘディングの名手だった原監督に言わせると、「ヘディングはまだまだ。」ということだが、現時点でも、相手DFの脅威となっている。まだ改善の余地があるということだが、制空権を奪う能力は図抜けている。
キレイにショートパスをつないで決まるゴールも素晴らしいが、単純なクロスボールを中央でドカンと合わせて決まるゴールも、同様に素晴らしい。
■ 平山の課題と可能性もちろん、平山の課題は少なくない。現状では、フォワードとしての総合力を考えると、ルーカスや赤嶺に劣るのは否めないし、スタメンを外れている状況も理解できる。もっと運動量を増やす必要があるし、アグレッシブに90分間、戦えるようにならなければならない。
ただ、いろいろなことを起用にこなそうとして、本来の持ち味を失ってしまっては元も子もない。平山には、「高さ」という絶対的な武器があるのだから、その部分を見失わないようにしてもらいたい。スピード不足の面もあるが、それは起用する監督も織り込み済みで、サポーターもそれを承知で見守る必要がある。
例えば、サイドからクロスボールが上がったときに、中央に待ち構えていた170cmのフォワードが合わせられずにクリアされても仕方ないと思うだろう。それと同様に、もう少しスピードがあれば追いつけたかもしれないというボールを、平山が追いつけなかったりキープできなかったとしても、ある程度は、了解しなければならない。190cmの選手は、170cmの選手が見せるスムーズで機敏な動き出来ない。しかしながら、170cmの選手も、同様に190cmの選手が見せるスケールの大きなプレーは出来ないのである。
■ 戦術的な幅の狭い横浜FM横浜FMは、前半の半ばからリズムをつかんで、後半2分に先制するという理想的な形でリードを奪うことが出来たが、その後、2失点を喫して、逆転を許した。
今シーズンの横浜FMは早野監督が就任。従来とは異なるスタイルで戦ってきているが、まだ、チームとして幅がなくて、波に乗れないときに持ち直すことが出来ないし、がむしゃらに同点ゴールを狙いにいかなければならない時間帯でも、迫力のある攻撃がなかなか見せられない。
かなりの部分でスタメンも固定されており、相手に合わせて戦うというよりは、自分たちのスタイルを貫こうとする点が見られるが、それが、このチームのいい部分でもあるし、勝ちを続けられない要因にもなっている。
■ トップチームに肩を並べるために・・・横浜FMというチームは、常勝を義務付けられているチームであるが、今シーズンは、監督も交代し、非常に苦しい状況でスタートした。しかしながら、中盤戦以降でようやくチームとしての統一が図られて、上位に食い込むようになったが、まだ、トップチームと比べると見劣りする。
浦和にしても、川崎Fにしても、G大阪にしても、トップチームには、絶対的なストライカーがいて、ワシントンなり、ジュニーニョなり、バレーが苦しい状況を、1人で打開する場面が少なくないが、横浜FMの坂田や大島はそこまでの選手ではない。
坂田も大島も守備でも貢献し、献身的な姿勢は高く評価できるが、純粋なストライカーとしてみると物足りない部分もないわけではない。優勝争いをするには、年間20点は取れるストライカーがいるものであるが、彼らにそこまで求めるのは酷である。
来シーズンに向けて、絶対的なストライカーを獲得するという考えもあるだろうが、チームとしてのバランスが崩れる可能性もある。11人がハードワークできる好チームになっているだけに、フロントがどういう判断をするのか、面白いところである。
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