■ 新興勢力と言えるオランダフランスで開催されている女子W杯は決勝Tに突入した。1勝1敗1分けで2位通過を果たしたなでしこジャパンはE組を3連勝で突破したオランダと対戦した。オランダのFIFAランキングは8位となるが2018年の2月28日に行われたアルガルベカップのときは2対6で日本はオランダに大敗した。苦手意識のある相手との試合になった。この試合で勝利したチームは準々決勝でイタリアと対戦することが確定している。
日本は「4-2-2-2」。GK山下。DF清水、DF熊谷、DF市瀬、DF鮫島。MF三浦、MF杉田妃、MF中島依、MF長谷川唯。FW岩渕、FW菅澤。怪我のため2戦目と3戦目はスタメンから外れたMF長谷川唯が復帰。左SHに入った。2戦目でゴールを決めたFW岩渕&FW菅澤の2トップを採用。19才のMF遠藤純はベンチスタート。GK山下、DF清水、DF熊谷、DF鮫島、MF杉田妃、MF中島依は4試合連続スタメンとなる。
ベンチスタートになったのはGK池田、GK平尾、DF南、DF宮川、DF三宅、MF阪口、MF宇津木、MF籾木、MF遠藤純、FW横山久、FW小林里、FW宝田の12名。GLの3試合で出場機会を得ているのはDF南、MF遠藤純、FW横山久、FW小林里、FW宝田の5人。GK池田、GK平尾、DF宮川、DF三宅、MF阪口、MF宇津木、MF籾木の7人はまだ出場機会を得られていない。MF遠藤純がこの中では最年少になる。
■ 後半の終了間際に失点試合は攻撃力のあるオランダが立ち上がりから押し込む展開になった。強力な3トップを中心に迫力ある攻撃を仕掛けた。ただ、日本もDF熊谷とDF市瀬を中心にしっかりと対応。徐々に落ち着いた対応ができるようになっていたが前半17分にCKからFWマルテンスにニアサイドで合わせられて失点。オランダが先制ゴールを奪った。FWマルテンスはドフリーになっていたが彼女をマークする選手がいなかった。
連携のミスから失点した日本だったが前半43分にMF杉田妃のパスからチャンスを作るとFW岩渕の絶妙なスルーパスを受けたMF長谷川唯が決めて1対1の同点に追いついた。初戦のアルゼンチン戦以来のスタメンとなったMF長谷川唯はW杯初ゴールとなった。前半は1対1で折り返した。後半の立ち上がりはほぼ互角の展開になったが半ば以降は日本がコンビネーションからチャンスを作るようになった。
後半26分にはMF長谷川唯、後半31分にはFW岩渕、後半34分にはMF杉田妃、後半35分にはMF籾木にチャンスシーンが訪れたが決められず。すると後半43分に相手のシュートがDF熊谷に当たってPKを献上。微妙なジャッジだったがVARで主審がチェックすることはなかった。これをFWマルテンスに決められて終了間際にオランダが勝ち越しゴールを奪った。2対1で勝利したオランダがベスト8に進出した。
■ 健闘したなでしこジャパンだったが・・・。FIFAランキングは日本が7位で、オランダが8位。ランキング的には日本の方が上になるが身体能力の高い選手が多いオランダはなでしこジャパンが苦手にするタイプである。力的にはオランダの方がかなり上だったと思うので「2対6で大敗したアルガルベカップのときのように大敗することもあり得る。」と思っていたがなでしこジャパンが健闘した。勝てるチャンスは十二分にあっただけに悔しい結果になった。
オランダの武器は強力な3トップになるが右ウイングのFWファン・デ・サンテンに対してはDF鮫島がしっかりと対応。CFのFWミーデマに対しても両CBがきちんと対応して自由を与えなかった。オランダのサイド攻撃をある程度は封じることができたのでオランダにとっては思うようにいかない試合になった。相手の良さを消すことでなでしこジャパンはペースを引き寄せることに成功したが2点目を奪えなかった。
後半半ば以降はなでしこジャパンが主導権を握ってチャンスを作ることができたので「完全な日本ペース」だったが決めきれず。サッカーの試合ではありがちな展開になった。途中出場したMF籾木がアクセントになってここからチャンスを作ったが後半35分の決定機は相手キーパーが好セーブ。MF籾木がテクニックとアイディアを発揮して大チャンスを迎えたが「相手キーパーが凄かった。」というしかない。
■ 厳しい判定だったPKPKの判定については「かなり厳しかった。」と言える。至近距離から放ったシュートだったのでDF熊谷が避けるのは無理。ここ最近のハンドに関する解釈を考えると「これでPKを取るのは厳しすぎる。」と個人的には考えるが主審がスタジアム内にある機器で映像をチェックすることもなかったので「明らかなハンド」と判断されたのだろう。DF熊谷がPKを献上する形になったが彼女を責めることは誰にもできない。
キャプテンを任されたDF熊谷にとっては高倉監督になってからの期間は相当に大変だったと思う。一緒に戦ってきた先輩の多くが代表から外れてMF阪口は長期離脱。CBの相方もなかなか固定されずに頼れる選手が少ない状況。チームとして結果も出なくて、MF澤やMF宮間など歴代のキャプテンと比較されることも多かった。一番、苦労して来た(だろう)選手が最後の最後にPKを献上する形になったのは悲劇的である。
なでしこジャパンは2011年が優勝、2015年が準優勝。2大会連続で決勝に進んだ後、今回はベスト16止まり。近年の女子サッカーの事情をよく知らない人からは批判されると思うが、「ベスト8に進出できれば十分」と言えるくらいの立ち位置だったことを考えるとベスト16というのは普通に予想できた成績になる。世界一を口にする選手は少なくなかったが「優勝できるほどの力は全くなかった。」と言える。
それでも「上位進出できるはず。」と思っていた人は少なくないので、ベスト16で終わったことでまたしても女子サッカー界に逆風が吹くことが予想されるが、より大事なのは2020年の東京五輪である。女子サッカーをもう一度、盛り上げるためには、メダル獲得が必要になる。「高倉監督の去就がどうなるのか?」が当面の注目点になるが、「大型化」と「若返り」は誰が監督になっても急速に進めないといけない。
→ 2019/05/12 【女子W杯】 なでしこジャパンの上位進出は考えにくい。常識的に考えて・・・。
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