■ 2ndレグの会場は新・国立競技場夏に行われるパリ五輪の女子サッカーの出場権を賭けたアジア最終予選の北朝鮮戦は2月28日(水)に新・国立競技場で行われた。すったもんだの末、1stレグは中立地のサウジアラビアでの開催となったがスコアレスドローだった。「2試合合計のスコアが同点になった場合はアウェイゴールの多かった方が勝ち抜け」というルールではないので1対1や2対2のスコアで90分の戦いを終えた時は延長戦に突入することになる。
日本は「3-4-2-1」。GK山下杏也加。DF高橋はな、熊谷紗希、南萌華。MF長谷川唯、長野風花、清水梨紗、北川ひかる、藤野あおば、上野真実。FW田中美南。キャプテンのDF熊谷はアンカーの位置でもプレーできるがこの日は「3バックの中央」に入った。MF宮澤、MF遠藤純などベスト8に進出した昨夏の女子W杯で活躍した主力選手を怪我で欠いている中、左WBは攻撃力の高いMF北川が先発出場で起用された。
ベンチスタートになったのはGK田中桃子、GK平尾知佳、DF石川璃音、DF古賀塔子、MF杉田妃和、MF中嶋淑乃、MF林穂之香、MF清家貴子、MF谷川萌々子、FW植木理子、FW千葉玲海菜の11名。昨秋のアジア大会で活躍した173cmのDF古賀は2006年1月生まれの高校3年生。1月15日にフェイエノールトへの入団が発表された。将来を嘱望されているMF谷川も高校3年生。バイエルンへの加入が発表された。
■ 久々の自力での出場権確保「生きるか?死ぬか?の大一番」は水曜日の夜の試合であるにもかかわらず、20,777人というたくさんのお客さんが集まった。そのうちの3,000人ほどが北朝鮮の応援団になる。異様な雰囲気の中での試合となったが前半25分に日本が先制に成功する。左サイドでFKを獲得するとFW田中美がヘディングシュート。クロスバーに当たって跳ね返ったところをDF高橋が押し込んで大きな先制ゴールを奪った。
前半45分には北朝鮮に攻め込まれてヒールでシュートを打たれたが守護神のGK山下がゴールライン上でスーパーセーブ。大ピンチを防いだ。北朝鮮の選手は猛抗議したが受け入れられず。前半は1対0で折り返した。迎えた後半はかなり苦しい展開になったが後半31分に右サイドでMF清水が粘って相手をかわして中央にクロスを入れるとフリーで待っていたMF藤野がヘディングで合わせて追加点を奪った。
2点を追う北朝鮮は後半36分にFWキム・ヒェヨンのゴールで1点差に迫ったが追いつくことは出来なかった。2対1で勝利した日本が見事にパリ五輪の出場権を獲得した。2012年のロンドン五輪は銀メダルを獲得したが2016年のリオ五輪はまさかのアジア予選敗退。2021年の東京五輪は自国開催だったので開催国として出場することが出来た。2012年のロンドン五輪以来なので久々の自力での出場権確保となった。
■ FIFAランキングは日本が8位、北朝鮮が9位パリ行きの切符を賭けて北朝鮮とホーム&アウェイで戦うことになったが1stレグの開催地を巡って騒動が起こった。北朝鮮国内での開催は無し。サウジアラビアでの開催となったが試合の数日前まで開催地もキックオフ時間も判明しなかった。これは大きな問題と言える。気温も湿度も東京や平壌とは異なるのでコンディション調整は極めて難しかったが苦しみながらも2対1で勝利。五輪の出場権を確保した。
FIFAランキングは日本が8位、北朝鮮が9位なのでほとんど変わらず。実力的には同じくらいと言える。苦しい戦いになることは試合前の段階から分かっていたが日本はあまりチャンスを作れなかった。シュート数は日本が12本だったのに対して北朝鮮は7本のみ。「ボール支配率」も56.5%だったので日本が上回ったがゴール前の際どいシーンはむしろ北朝鮮の方が多かった。逆の結果になっていても不思議はなかった。
理由は定かではないがホーム&アウェイ方式であるにもかかわらず、アウェイゴールのルールが採用されなかったのは日本にとっては幸運だった。もちろん、アウェイゴールの差で決着する可能性があるのであれば日本はサウジアラビアで行われた1stレグの試合でもっと積極的にアウェイゴールを狙ったとは思うが「2ndレグで1対1や2対2だとOUTの状況」であれば日本の選手には大きなプレッシャーがかかった。
■ チームを救った守護神のスーパーセーブ日本は少ないチャンスを生かしたが前半25分にセットプレーから先制ゴールを奪えたのは非常に大きかった。DF熊谷、DF南、DF高橋と3人もサイズのあるCBを先発で起用したので「高さ」というのは日本の武器の1つだったがDF熊谷もFW田中美もいいポジションを取って競り勝った。やや重苦しい雰囲気の中で試合は進んだがムードメーカーのDF高橋の先制ゴールが生まれて少しだけ心理的な余裕が生まれた。
2点目を挙げたのは20歳のMF藤野だったがその前の右WBのMF清水の突破とクロスが最高だった。フリーの状態から完璧なクロスを入れることが出来た。MF藤野、DF古賀、MF谷川など最近の女子サッカーは若手の台頭が目立つがその中でもMF藤野は20歳ながら主力に定着している。実力的には同じくらいの北朝鮮が相手なので2点目のゴールは極めて大きかった。価値ある追加点のゴールとなった。
この日のベストプレーは前半45分のGK山下のビッグセーブになる。「ゴール・ライン・テクノロジー」が採用されていないこともあって北朝鮮の監督や選手は猛抗議したが神がかり的なスーパーセーブだった。決まっていたら1対1の同点。極めて悪い流れでハーフタイムに突入することになった。キーパーも若い力がどんどん出てきているが実績的にも能力的にもGK山下がナンバー1。頼りになる守護神である。
※ 投稿日:2024年1月29日(月) (総再生数:19,121回)※ 投稿日:2024年2月8日(木) (総再生数:8,180回)※ 投稿日:2024年2月11日(日) (総再生数:11,002回)
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