■ 西京極から長居へ関西遠征の2試合目は、午後7時キックオフの長居スタジアムでのセレッソ大阪とジェフ千葉の試合。西京極からは、大阪・梅田まで直通の電車があるので、長居スタジアムまでは1時間ほど。関西は都市が密集しているので、京都-大阪間といえども、それほど遠くはない。長居スタジアムは初めてだったのでよく知らなかったが、ここスタジアムは、完全に大阪の中心地にある。アクセスはいい。
事前のチケット販売状況では、ほとんどチケットが売れていなかったので、「バックスタンドは余裕で空いているだろう。」と思っていたけど、それが大間違い。45分ほど前にスタジアムに到着したにもかかわらず、すでにバックスタンドは空席がほとんどなく、ピンクに染まっていた。通路にもサポーターが座っている状況。素晴らしい雰囲気の中、試合が始まった。千葉は巻、セレッソは大久保と名波がベンチスタート。この3人の登場時期も見所のひとつ。
■ アグレッシブなジェフ千葉前半開始から、千葉がセレッソを圧倒。素早いプレスでボールを奪うと、CFハースを起点に面白いようにパスが回る。セレッソは前線に苦し紛れのロングフィードを送るも難なく千葉に処理されて、反撃を受けるという展開。
前半8分に、千葉のMFクルプニがスーパーミドルを決めて先制。その後も、千葉は幾度となくチャンスを作る。しかしながら、前半29分に森島が右サイドに抜け出すと、ふんわりとしたクロス。古橋がオーバーヘッドで狙うも空振りするが、その裏にいた西澤がボレーで決めて同点に追いついた。西澤らしい、ダイナミックなゴールだった。
結果的には、セレッソにとっては、この西澤のゴールが大きかった。この時間帯まで、千葉が素晴らしいサッカーを見せていて、セレッソはノーチャンスだった。千葉との明確な差は、バックラインからのフィード力にあった。ハースの足元にきれいに入る千葉に比べると、アバウトなボールが多かった。
千葉は、右サイドの坂本が出色の出来。久々に実践復帰したゼ・カルロスを翻弄した。中盤で味方がフリーの状態でボールを持ったら、すかさず前方のスペースを見つけて飛び出しを試みる。サイドで1対1になれば、間違いのない判断で、プレーを途切れさすことがない。この選手は、テレビ画面だけでは、その良さの全てを味わうことが出来ない。
■ 大久保&巻が登場前半は、結局、1対1で終了。ハーフタイム中に、「千葉のスタミナが切れたころに、大久保や名波を投入して、セレッソが勝ち越しゴールを奪えるかがポイントになるだろう」と見ていたが、後半に入ると、セレッソも素晴らしいサッカーを見せるようになる。
その中心は、右ウイングバックの酒本。このポジションは、これまで、守備的な選手を置くことが多かったが、この試合では、攻撃に特徴のある酒本を起用したが大成功。柔らかいドリブルとバリエーション豊富なクロスで、千葉の脅威になった。前半から、全く前線に基点が作れていなかったが、後半に入ってようやく、右サイドに起点が出来るようになった。
酒本の活躍でイーブンの状態になった試合は、後半6分に、古橋がドリブルからシュートを決めて勝ち越す。追いつきたい千葉は、後半16分に、スタジアムの大ブーイングの中、FW巻を投入する。セレッソも後半21分、こちらは大歓声の中、大久保を投入するが、その直後、水野ロングスローから、巻が直接ヘディングで押し込んで同点に追いついた。
ロングスローをするチームは多いが、そのロングスローから直接ヘディングシュートが決まるのは、珍しい。セレッソとしては、キーパーの吉田に処理してほしいボールだった。
もう、どちらが決勝点をとってもおかしくない展開になった。決勝ゴールを奪ったのは、大久保。右サイドを抜けた古橋のクロスをダイレクトで合わせた。最後まで千葉は攻め込んだが、詰めが甘く、同点ゴールは奪えなかった。
■ 決定力不足敗れた千葉だが、敗因は、間違いなく「決定力不足」にある。この試合でも2度、ゴール前でドフリーになって押し込むだけというシュートをふかしてしまった。
日本代表が敗れると、必ず敗因として挙げられる「決定力不足」というフレーズだが、使い方を誤っているケースが多いように思う。”決定力不足”というのは、「決定機はしっかり作れているけれど、最後のシュートだけが決められていない状態」のことをいうので、十分に決定機が作れていないチームに対して、”決定力不足”と言葉を使うのはおかしい。そういうチームは、”得点力不足”もしくは、”攻撃力不足”というべきである。
■ 名波浩の使い方は?最後に、名波の使い方に関して。現状では非常に使い方が難しい。トップ下には、古橋と森島がいるし、ボランチとして起用するには、守備力に不安がありすぎる。
とはいえ、長居スタジアムの売店での売り上げを見る限り、名波への期待は非常に高い。(名波のタオルは、一番人気。おそらく、大久保のタオルの倍以上売れているのではないかと思う。前に並んだ人も、その前に並んだ人も、横に並んでいた人も、みんな名波のタオルを買って行った。)なんとかして、西澤・古橋・森島・大久保・名波をうまく組み合わせて、使いどころを探ってほしいが・・・。
■ 美しいスタジアムそれにしても、長居スタジアムは美しかった。味の素スタジアムも綺麗だったが、それに負けないレベルだった。そして、周りに座っていた観衆の目も肥えていた。阪神タイガースの影響が強すぎて、「関西にはサッカーの文化がない」と言われるが、そんなことはない。
両チームが見せたサッカー、スタジアムの風景、バックスタンドを埋めたピンク色の全てが綺麗で美しかった。スタジアムの雰囲気も最高だった。セレッソ大阪は、これだけのスタジアムを持っていながら、そして、これだけのサポーターをかかえていながら、J2で戦うことは決して許されない。
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