■ アジア最終予選の3戦目ロシアW杯のアジア最終予選の3戦目。ここまで1勝1敗の日本はホームの埼玉スタジアムでイラクと対戦した。イラクは2連敗スタートと出遅れた。日本は初戦のUAE戦で痛恨の逆転負けを喫したが2戦目はアウェイでタイに2対0で勝利して初勝利を飾った。4戦目は最大の強敵であるオーストラリアとアウェイで対戦することになるのでイラク戦は何がなんでも勝ち点「3」を獲得しなければいけない試合となる。
日本は「4-2-3-1」。GK西川(浦和)。DF酒井宏(マルセイユ)、DF吉田(サウサンプトン)、DF森重(FC東京)、DF酒井高(ハンブルガーSV)。MF長谷部(フランクフルト)、MF柏木(浦和)、MF本田圭(ACミラン)、MF清武(セビージャ)、MF原口(ヘルタ)。FW岡崎慎(レスター)。トップ下はMF香川がベンチスタートでMF清武がスタメンに抜擢された。左SBもDF長友がベンチスタートでDF酒井高がスタメンで起用された。
ベンチスタートになったのはGK東口(G大阪)、GK川島(FCメス)、DF長友(インテル)、DF太田宏(フィテッセ)、DF槙野(浦和)、DF丸山(FC東京)、MF山口蛍(C大阪)、MF大島僚(川崎F)、MF小林悠(川崎F)、MF香川(ドルトムント)、MF齋藤学(横浜FM)、FW浅野拓(シュツットガルト)の12名。初代表となるMF永木(鹿島)とCBのDF植田(鹿島)はベンチ外となった。タイ戦(A)でゴールを決めたFW浅野拓はベンチスタート。
■ 劇的な勝利で2連勝!!!試合は開始3分にイラクがCKを獲得すると21番のMFサードが合わせるが右ポスト直撃でゴールならず。日本は前半11分にMF清武が放ったミドルシュートがこの試合における最初のシュートだったが、ファーストシュートで流れを引き寄せる。前半26分にカウンターからMF清武→MF本田圭→MF清武とパスがつながって右サイドを抉ると最後はMF清武のニアサイドへのクロスをMF原口がヒールで合わせて先制に成功する。
1対0で迎えた後半15分にイラクは左サイドでFKを獲得するとMFゲニーが蹴ったボールをMFサードが合わせて1対1の同点に追いついた。日本はボランチのMF山口蛍を交代で投入しようと準備をしていた矢先に同点に追いつかれてしまった。後半40分過ぎからDF吉田を最前線に上げるパワープレーを敢行。1対1で後半のアディショナルタイムに突入するがDF吉田が左サイドの奥でファールを誘ってFKを獲得する。
キッカーのMF清武がニアサイドに蹴ったボールに対してイラクの選手が十分なクリアができず。PKスポット付近にこぼれてきたボールを途中出場のMF山口蛍がダイレクトで狙うとこれが鮮やかに決まって土壇場で日本が2対1と勝ち越しに成功する。結局、このゴールが決勝点となって2対1で勝利。2勝1敗で勝ち点「6」となった。次は11日(火)にアウェイでオーストラリアと対戦する。敗れたイラクは3連敗となった。
■ 最後の最後に待っていたドラマあのまま1対1で終わっていたらW杯出場に黄色信号が灯っていたが後半50分のMF山口蛍のゴールに救われた。イラクに多くのチャンスを作られたわけではなかったがFKから失点。守備的なキャラクターのMF山口蛍を投入して後ろの守備を安定させようと交代の準備を行っていた最中に同点に追いつかれるというのは最近の日本代表の流れの悪さを象徴しているが最後の最後にドラマが待っていた。
ゴール前は敵味方入り混じった混戦状態だった。密集しているので誰かに当たってコースが変わることも十分に考えられた。シュートブロックをされるのは絶対に避けたいのでこういう状況になると余計な力が入ってしまってシュートを大きく外すケースが多い。ドフリーであってもプレッシャーがかかって明後日の方向にシュートが飛んでいくケースはよく見るが抑えた素晴らしいシュートがコース隅に決まった。
残りは2分ほどだったので最後のチャンスだった可能性もある。このシュートが外れていたら勝ち点「1」止まり。次のオーストラリア戦(A)にかかるプレッシャーは大きくなったが、勝利したことで「オーストラリア戦(A)は引き分けでも悪くない。」という状況になった。慌てて攻め込む必要がなくなるので心理的な余裕が生まれる。こうなると逆に勝ち点「1」にとどまらず勝ち点「3」を獲得できる可能性も高くなる。
■ 日本代表に欠かせない選手になったMF原口元気もちろん、内容面では改善ポイントは少なくない。いい形でカウンターから先制ゴールを奪うことが出来たが勢いよくゴールに迫った回数は決して多くなかった。FW岡崎慎は献身的なプレーでチームに貢献したが肝心のゴール前では仕事が出来ず。MF本田圭に至ってはコンディションが悪くてボールを失うケースが目立った。左右のサイドバックがいいタイミングで攻撃に参加してクロスを上げる場面もほぼ無かった。
相手からボールを奪おうとする守備は一定の評価ができる。そして、高い位置でボールを奪い返すことが出来たときは素早い攻撃からいい形にもっていくことが出来たがスローテンポで後方から攻撃を組み立てたときはなかなかチャンスにつながらなかった。普段の試合であればMF本田圭が確実にボールをキープしてくれるので右SBのDF酒井宏が攻撃に絡んでくる場面が多くなるがこの日は全くの不発に終わった。
特に攻撃に関しては修正すべき点がいくつかあるが、逆に存在感を発揮したのはトップ下のMF清武と左SHのMF原口の2人だった。結局、MF香川とDF長友は出場機会が与えられなくて、MF本田圭も途中交代。「ザックJAPANの頃から日本サッカー界を引っ張って来たトリオがピッチ上に1人もいない。」というのはW杯予選では珍しいと思うが、MF山口蛍を含めたロンドン世代の選手が引っ張った。
特にMF原口の活躍はインパクトが大きかった。前半26分に先制ゴールを決めたがどちらかというと後半の方がパフォーマンスは良かった。縦への推進力を見せて左サイドを切り裂く場面が何度もあった。左SHは一番の激戦区になっており、MF宇佐美やMF武藤嘉などが強力なライバルと言えるが、「ハードワークのできるアタッカー」としてMF原口の評価はうなぎのぼりである。日本代表に欠かせない選手になった。
一方のMF清武は前半の方がパフォーマンスが良かった。前半26分のMF原口の先制ゴールをアシストしたプレーは最初の攻防でドリブルを駆使して相手選手を1人かわしたことでチャンスが拡大した。右サイドでタメを作ったMF本田圭からMF清武に出たパスは明らかなオフサイドだったので2人の呼吸が合っていなかったのは気になるところであるが試合の立ち上がりから攻撃陣の中心になったのはMF清武だった。
日本代表は年齢層が高くなってきたので世代交代が必要な時期に入っているがDF酒井宏やMF原口がレギュラーを確保しつつある状況でさらにはMF清武やMF山口蛍も存在感を増している。長きに渡って日本代表を引っ張って来たMF本田圭とMF香川とDF長友の3人がいずれもベンチで状況を見守る中で生まれたMF山口蛍の劇的なゴールは日本代表のメインキャストが変わりつつあることを示唆しているのかもしれない。
★ 現在の投票数 → 863票
→ 投票したい選手の名前を選択してから左下の「投票」のボタンをクリックしてください。
→ 最大で6人まで投票することができます。
→ 「コメント」のところは何も書かなくてもOKです。(投票可能です。)
はてなブックマークの多かったエントリー (2005年-2016年)
第01位 2008/08/14 凹んだときにはオシム語録 → 252users
第02位 2008/05/02 みんなKAZUが好きだった。 → 118users
第03位 2014/09/05 セルジオ越後さんの「Jリーグのレベルは下がった。」発言は何年連続なのか?を調べてみた。 → 84users
第04位 2014/05/16 「第1子はGK権田だけ。」興味深いW杯日本代表メンバーの兄弟構成 → 70users
第05位 2008/05/04 カリスマ:山本浩アナの名フレーズを堪能する。 → 50users
第06位 2009/02/19 サッカーを観る上で気をつけたい8箇条 → 49users
第06位 2012/01/23 松田直樹はもういない・・・。 → 49users
第08位 2011/09/29 韓国サッカーとは、どのように付き合っていくべきか? → 43users
第09位 2011/01/30 【アジアカップ決勝:日本×豪州】 ザック アジアを制する → 41users
第10位 2010/12/09 サッカー解説者やライターの順位予想はどのくらい当たっているのか? → 38users
第10位 2012/11/09 家本政明レフェリーについて考える。 (上) → 38users
第12位 2013/08/02 「識者」のレベルが高くない日本サッカー界 → 36users
第13位 2007/09/08 本当に「決定力不足」なのか? → 32users
第14位 2010/12/10 サッカーを伝えるメディアの怖さ → 31users
第14位 2012/02/21 【J1】 レフェリーによるレフェリングの傾向について → 31users
第14位 2013/09/29 Jリーグの観客動員数は本当に減っているのか? (下) → 31users
第14位 2014/02/25 ゼロックスでの広島批判に感じた強烈な違和感 → 31users
第18位 2008/08/13 ラモス瑠偉と日の丸への思い → 30users
第18位 2011/08/24 Jリーガーと兄弟構成に関して → 30users
第20位 2012/11/30 サッカーを観るとき・語るときに大事だと思うこと → 28users
第21位 2012/10/19 バルセロナの久保建英君のお話 → 27users
第22位 2010/06/19 【W杯:日本×オランダ】 悔しいが、しかし、立派な戦い → 26users
第22位 2011/01/30 日本 - 豪州戦 プレーヤー別採点 (日本代表編) → 26users
第22位 2012/10/08 柿谷曜一朗(C大阪)の波瀾万丈なサッカー人生 → 26users
第22位 2012/12/20 優秀な選手を輩出しているクラブ(ユース・高校)はどこか? (上) → 26users
第25位 2011/01/28 「信頼できるライター」と「信頼できないライター」 → 25users
- 関連記事
-