■ サッカーをどう見るか?先日、ナポレオンさんという方から、「最近、サッカーを観るようになったのですが、見方がよく分かりません。どうすればいいですか?」という質問をいただいた。『そんなん、分かってたら、苦労せんねん。』という話であるが、いくつか、心掛けていることはある。
簡単に実行できることの1つを挙げると、
・試合を観るときは、ボールを持っている選手は誰なのか、近くにいるのは誰で、どういう動きをしているのかを、できる範囲で把握しておく。
ということである。全体を観ることができるスタジアム観戦の場合は、選手の位置関係などを把握するのは、難しくないが、テレビ観戦でも、ここ最近、ワイドテレビが普及しており、映像もクリアになってきているので、以前と比べると、選手のことを把握しやすくなっている。
数年前までは、「テレビ観戦だと不都合が多いので、サッカーはスタジアム観戦向きのスポーツである。」と考えていたが、現実問題として、選手やスタッフや記者でもない限り、テレビで観戦する機会の方が圧倒的に多くなるので、そういうことを言っていたのでは、サッカーという競技を楽しめない。
最初のうちは、選手の背格好あるいはポジショニングのことが分からないので、今、誰がボールを持っているのかということも、把握するのは難しいが、慣れてくると、ある程度は分かるようになる。90分間、試合を集中して観るというのは、かなり大変であるが、「分かろう。」とする努力は、大事だと思う。
■ 選手をどう評価するか?選手を評価しようとする場合は、相手チームの目線になって試合を観るのが、手っ取り早いと思う。試合を観戦するときは、ほとんどのケースで、どちらか一方のチームに肩入れしながら観ることになると思う。ひいきチームがあれば、当然、そのチームを応援しながら試合を観るだろうし、totoあるいはファンタジーサッカーなどの影響で、「この1試合だけ、このチームを応援する。」ということも、珍しくは無いだろう。
こういった場合は、意外と、応援する側の選手のことよりも、相手側の選手のことが、よく分かるものである。例えば、FC東京とG大阪の試合で、FC東京に肩入れしながら試合を観ていると、MF遠藤がいつも嫌らしいところにポジションを取っていて、嫌らしいところにパスを出してくることも良く分かるし、FWレアンドロが仕掛けてきたときの恐さも実感することができる。
人間の本能で、「やられそう。」と感じるときの方が、感覚が研ぎ澄まされて、たくさんの情報を得られるようになるのかなとも思うが、とにかく、自チーム目線と相手チーム目線の両方から観て評価することが大事だと思う。熱狂的なサポーターは、「自チームの選手を良く知っている。」と思われがちであるが、敵目線で自チームの選手を観ることが無いので、一般的な評価とかけ離れていることがある。
■ 語るときに大事なこと語るときに大事なことは、「できるだけ公平に見る。」ということである。長年、観ていると、どうしても、選手やクラブに対して、好き・嫌いというものが生じてくるが、その辺りは排除してやらないと、正確な評価を行うことはできない。
とは言っても、「情」のようなものは、完全に排除するのは、難しい。イラッと来るケースを1つ挙げると、普段、日本代表のことしか取り上げないようなメディアやライターが、Jリーグを否定的に取り上げる場合である。「情」が無い分、好き勝手なことを言えるが、「情」が無い故に、どんないいことを言っても、受け取る側には、響いてこない。
したがって、「公平に見つつも、排除してはいけないもの」というのがあると思うが、「思ったことを、素直に表現すること」というのも、大事になる。当然、その結果として、「間違っていた」、「考え違いをしていた」というケースも出てくると思うが、それはそれで仕方がないと思う。
また、「厳しい見方をすること」を是と考える人もいる。「海外は、もっと選手やクラブに厳しい目を向けている。日本には、これが足りない。」という人である。一理あるが、正しいのか、正しくないのかという部分は、もっと重要なことであり、厳しい意見であっても、頓珍漢な意見であれば、見向きもされないだろう。
最後に、理由を探し過ぎないことも、大事だと思う。サッカーという競技は、「偶然」の要素も多い。もちろん、その偶然を、「単なる偶然」で片づけないことも重要なことではあるが、本当に「たまたま起こった。」ということもある。そういう場合でも、もっともらしくストーリーを作って、その理由を語ろうとする人もいるが、意味のあることには思えない。
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