■ 2ndステージの上位対決J1の2ndステージの第14節。13勝10敗7分けで勝ち点「46」のヴィッセル神戸がホームのノエビアスタジアムで川崎フロンターレと対戦した。川崎Fは20勝4敗6分けで勝ち点「66」。川崎Fは年間首位を走っているが2位の浦和との差はわずかに「2」。2ndステージの成績に注目すると勝ち点「28」の川崎Fが2位、勝ち点「26」の神戸が4位。残り4試合となったがともに2ndステージ制覇の可能性を残している。
ホームの神戸は「4-2-2-2」。GKキム・スンギュ。DF高橋峻、岩波、高橋祥、橋本和。MFニウトン、藤田直、三原雅、松下佳。FW渡邉千、レアンドロ。ここまで10ゴールを挙げているFWペドロ・ジュニオールは欠場。FWレアンドロとFW渡邉千の2トップで、左SHには大卒ルーキーのMF松下佳が起用された。J1では初スタメンとなる。躍進の原動力の1人になっている韓国代表のGKキム・スンギュがゴールを守る。
対するアウェイの川崎Fは「3-4-2-1」。GK高木駿。DF田坂、エドゥアルド、谷口彰。MF大島僚、エドゥアルド・ネット、エウシーニョ、車屋、小林悠、中村憲。FW大久保。守護神のGKチョン・ソンリョンが怪我で欠場中。2番手キーパーのGK新井は脳震盪の影響で欠場。第3キーパーの立場となるGK高木駿がスタメンで起用された。昨シーズンはJ2のジェフ千葉の守護神として活躍したがJ1では初スタメンとなる。
■ 会心の勝利で2位に浮上したヴィッセル神戸試合は開始早々に川崎FのMF小林悠が抜け出してキーパーと1対1の決定機を迎えたが韓国代表のGKキム・スンギュがビッグセーブを見せてゴールを許さない。終わってみるとこのプレーが試合のターニングポイントの1つになった。好調の神戸は前半27分に相手キーパーのミスパスを拾ったMF三原雅のパスを受けたFW渡邉千が左足で決めて先制に成功する。前半は1対0と神戸がリードして折り返す。
1対0で迎えた後半14分にはエリア内でDF橋本和の縦パスを受けたFWレアンドロがあまり角度のないところから右足でコース隅にミドルシュートを決めて貴重な追加点を奪うと後半31分には鮮やかな中央突破から最後はFW渡邉千のパスを受けたFWレアンドロが決めて決定的な3点目を奪った。エースストライカーのFWレアンドロは2ゴールの活躍で今シーズン19ゴール目。J1の得点ランキングの単独首位に立った。
結局、3対0でホームの神戸が完勝。神戸は2ndステージの2位に浮上した。ここ7試合で6勝1分けと快進撃を見せている。首位の浦和との差は「5」。ステージ制覇のチャンスを迎えている。敗れた川崎Fはここ8試合は4勝4敗と失速気味。勝ち→負け→勝ち→負け→勝ち→負け→勝ち→負けということで白星と黒星が交互に来ている。2ndステージの成績は4位に転落。年間成績でも浦和に抜かれて2位に転落した。
■ Jリーグ史上屈指の優良助っ人と言えるFWレアンドロノエビアスタジアムにはクラブ史上4番目となる25,722人という大観衆が集まった。初めてスタジアムに来場した人がたくさんいたと思うがそういう人たちの目の前で神戸は最高の試合を見せることができた。試合前の時点から「チケットは完売した。」という情報が流れていたがこれだけのお客さんが集まると神戸の選手のモチベーションは自然とアップする。新規サポーターの獲得という点を考えても大きな勝利となった。
真価を発揮したのは強力トライアングルのうちのFWレアンドロとFW渡邉千の2人だった。FWレアンドロは2ゴールの活躍で、フォワードの位置でプレーしたFW渡邉千も1ゴール1アシストの活躍だった。FWペドロ・ジュニオールが怪我で欠場したので攻撃に関しては不安視されていたが残った2人が攻撃陣をけん引した。さらには代役としてスタメンに抜擢された大卒ルーキーのMF松下佳の貢献度も非常に高かった。
2点目と3点目のゴールを挙げたFWレアンドロはこれで今シーズン19ゴールとなった。18ゴールのFWウタカ(広島)を抜いてJ1の得点ランキングの首位に躍り出た。コンスタントにJリーグで結果を残出してきたストライカーであるが得点王に輝いた経験はない。3位のFW大久保(川崎F)とMF小林悠(川崎F)は15ゴール。2位のFWウタカのゴール数がやや伸び悩んでいることを考えると初の得点王が見えてきた。
FWレアンドロは2005年に大宮でJリーグキャリアをスタートさせているがJ1通算では183試合で87ゴール、J2通算でも59試合で36ゴールを挙げている。大宮・山形・神戸・G大阪・柏と5つのクラブでプレーしているが、初年度の2005年を除くともっとも奮わなかったシーズンでも2008年の25試合で7ゴールとなるので、ほぼ毎年、どのチームでも結果を残している。Jリーグ史上でも屈指の優良助っ人と言えるだろう。
■ ステージ制覇は絶望的・・・。敗れた川崎Fは大きな一敗となった。残り試合数と勝ち点差と得失点差を考えると2ndステージ制覇は絶望的。年間成績では浦和と「1差」なのでまだ十分に可能性はあるが最近の両チームの戦いぶりを考えると見通しは明るくない。しかも、川崎Fは15節が広島(H)、16節が鹿島(A)、17節がG大阪(H)なので強豪との対戦を残している。年間3位以内は確定しているのでCSの出場権は獲得しているが流れは宜しくない。
神戸はカウンターを得意としているチームなので「先制点」はいつも以上に重要となるがそういう意味では開始早々に訪れた決定機でMF小林悠が決められなかったシーンと前半27分の失点シーンが悔やまれる。MF小林悠がシュートを放ったのは開始して10秒ほどだったので決まっていたら「Jリーグの最速ゴール記録」を調べる必要があるほどだったが、振り返ってみるとこのシーンが川崎Fにとって最大の決定機だった。
前半27分の失点シーンはJ1初スタメンとなるGK高木駿のフィードのミスがきっかけだった。プレッシャーをかけられたので焦ってしまって相手のいるところにボールを蹴ってしまった。ここでの神戸の前線からの守備とセカンドボールを拾ったMF三原雅のプレーは見事だったがGK高木駿のプレーが不用意だったのは確かである。怪我でGKチョン・ソンリョンを欠いているのは大きなマイナスと言わざる得ない。
頼みのMF中村憲もミスパスが多くて精彩を欠くなどネガティブな要素が多い試合になってしまったが途中出場したMF三好とDF板倉の2人が意欲的なプレーを見せたのは数少ない収穫と言える。MF三好は最近はコンスタントにいいプレーを見せているので驚きではないがDF板倉は今シーズン2試合目の出場ながら落ち着いてプレーした。ともにU-19日本代表に召集されているのでU-19アジア選手権での活躍も期待される。
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