■ ウルグアイ相手に4失点コアメンバーが不在だった東アジアカップはFW柿谷、MF山口螢、FW豊田、DF森重といった初召集された選手が奮闘して2勝1分けの好成績で見事に初優勝を飾った。今回のウルグアイ戦は、東アジアカップ組とコアメンバーの融合が期待されたが、FWフォルランとFWスアレスに翻弄されるシーンが目立って2対4で敗れて、コンフェデから続く失点の多さは解消されなかった。
守備的なポジションの選手にとってはキツイ試合となったが、中でも、1失点目と3失点目に絡んで、後半早々にベンチに下げられたDF吉田にとっては、早く忘れてしまいたい最悪の試合となった。1失点目のFWスアレスにかわされた後の対応や3失点目につながったクリアミスやその後の表情を見る限り、普通の状態でないことは一目瞭然である。
プレミアリーグは間もなく開幕を迎えるので、所属のサウザンプトンでどういうプレーができるのか、大いに注目されるが、体力的な問題や肉体的な問題や能力的な問題でパフォーマンスが落ちているというよりは、精神的な問題でパフォーマンスが落ちていて、失点に絡むミスが続いている。復調するまでに、しばらく、時間がかかるかもしれない。
そして、サウザンプトンでいいプレーができれば、浮上のきっかけになるかもしれないが、それだけでは十分ではない。やはり、代表戦で失った自信と信頼を取り戻すためには、代表戦で多くの人が納得するパフォーマンスを何試合か続ける必要がある。ただ、W杯までに残された時間はそれほど多くは無いので、本番までに回復できないことも十分に考えられる。
■ グアテマラ戦で誰を起用するのか?ここ最近、ミスが続いているので、批判される機会が多くなっているが、世界トップレベルのプレミアリーグでレギュラーとしてプレーしているDF吉田が使えないとなると、日本代表にとっては大きな損失である。これだけサイズがあって、パス出しもできて、なおかつ、経験もある選手は、なかなかいないので、戦力ダウンは必至である。
ただ、ウルグアイ戦を見ると、思っていた以上に深刻な状態なので、DF吉田にこだわり過ぎるのは、適切とは言えない。今度は9月6日にグアテマラ戦、9月10日にガーナ戦を控えているが、ここで誰を先発で起用してくるのか。グアテマラ戦でもDF吉田を先発で起用して、再度、失点に絡むようなことがあると、取り返しのつかない事態になることも考えられる。
DF吉田なのか、DF伊野波なのか、DF栗原なのか、DF鈴木大なのか、DF千葉なのか、それ以外の選手なのか。こうなると、DF今野のポジションは動かしにくいので、そのパートナーを誰にするのか、ザッケローニ監督の選手起用が注目されるが、一部では、名古屋のDF闘莉王や横浜FMのDF中澤の代表復帰を希望する声も出始めている。
個人的には、DF闘莉王やDF中澤で問題が解決するとは思えない。もちろん、25歳から30歳あたりの全盛期のDF闘莉王やDF中澤を召集できるのであれば、三顧の礼を持って呼び戻すべきだと思うが、それは無理な話である。W杯まで10ヶ月となった今、32歳のDF闘莉王や35歳のDF中澤を呼び戻すのは、ギャンブルである。
■ 最高級の素材となると、若手に期待せざる得ないが、期待できる選手はいる。ロンドン五輪代表はCBで苦労したので、「若手のCBが不足している。」と思われがちであるが、さらに下のリオ世代はCBの人材が豊富である。ロンドン世代は五輪のアジア予選が始まった段階でも、所属クラブでポジションを確保しているCBがいなかったが、リオ世代は、すでに何人かの選手がレギュラーとしてプレーしている。
湘南のDF遠藤航、G大阪のDF西野、札幌のDF奈良なども期待を集めているが、やはり、神戸のDF岩波である。ベテランのDF北本とDF河本が怪我や病気で苦しんでいるというチーム事情もあって、トップチーム昇格1年目でレギュラーを勝ち取って、退場処分になった16節の鳥取戦と出場停止となった17節の水戸戦以外はフルタイム出場を続けていて、2位と昇格圏のチームを支えている。
DF岩波については、シーズン開幕前の
1月24日のメルマガで、次のようにコメントしているが、ここ20年の高卒CBの中では、1995年に横浜Mに入団したDF松田直樹、1997年に名古屋に入団したDF古賀正紘、同級生でU-17日本代表でCBコンビを組んでいた鹿島のDF植田直通と並ぶ最高級の素材である。神戸には経験豊富な選手がいるので、1年目から活躍するのは難しいかと思ったが、先のとおり、出場機会を得ている。
11. 岩波拓也 (ヴィッセル神戸) 1994年6月18日
→ 期待の若手アタッカーというのは、何人もいる。センターフォワードタイプも、数は少ないが、FW大迫(鹿島)、FW杉本(C大阪)、FW久保(京都)など、期待できる選手は何人かいる。しかしながら、期待できる若手CBというのは、本当に数が少ない。日本サッカーの大きな課題と言えるが、DF岩波に関しては、「期待したい選手の1人」と言うよりは、「大成してもらわないと困る選手」と表現するのが、適切である。2011年のU-17W杯や2012年のU-19アジア選手権でも、力を発揮したが、空中戦に強くて、フィードもできて、なおかつ、冷静にプレーできるCBというのは、日本人では、なかなか出てこない。すべては2013年の活躍次第であるが、2014年のW杯のメンバーに選ばれる確率もゼロではないと思う。(#401 日本人の期待の若手に対する甘口・辛口コメント (中) (2013/1/24)より)もちろん、まだ19歳なので、経験値は不足している。クイックネスのある選手ではないので、スピード系の選手への対応には不安は残るが、185センチを超えている選手で、これだけ足元の技術がある日本人のCBは数えるほどである。そして、ミドルパスやロングパスの精度は、現段階でも、日本人のCBの中ではトップ3に入るレベルと言える。
「高さがあって、フィードが上手であるが、クイックネスはそれほどでもない。」というタイプなので、DF吉田と重なるところがある。なので、『DF吉田+DF岩波』というCBコンビはバランスが良いとは言えないが、DF吉田の状態が上がらなくて、DF今野のようなタイプとCBを組むのであれば、組み合わせとしては、それほど悪くは無い。
10代の選手を代表に召集すると、注目度が格段に上がる。周囲の見る目が変わるので、それがプレッシャーになって、つぶされる選手もいるので、若い選手をフル代表に引き上げるときは細心の注意が必要であるが、DF岩波の場合は、19歳とは思えないほど落ち着いており、成熟した選手なので、勘違いするようなことは考えられない。
過剰な期待をかけるのはかわいそうであるが、この選手は、いずれは、フル代表の最終ラインの要になる選手である。そして、高さとフィード力は、すでにフル代表レベルと言える。したがって、早い段階でフル代表に召集して、経験を積ませるだけの価値があるタレントであり、出来る事ならば、ザックジャパンの戦力にしたいところである。
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