■ オーバーエイジは誰になるのか?リオ五輪の出場権がかかったU-23アジア選手権のB組は2節が終了。2連勝の日本が勝ち点「6」で、サウジアラビアは2試合連続ドローで、北朝鮮とタイの2チームは勝ち点「1」のみ。したがって最終節を待たずに日本の決勝トーナメント進出ならびに1位通過が確定した。流れが途切れる危険性があるので「負けてもOK」というわけではないが「勝っても負けても1位で通過できる。」という状況を作れたのは大きい。
A組の2位になったチームと対戦する準々決勝で勝利して、続く準決勝で勝利するか3位決定戦で勝利できるとリオ五輪の本大会の出場権を確保することができる。ということで「リオ五輪出場まであと2勝」に迫ったが、一方でリオ五輪の切符を勝ち取ることが出来なかったらその時点で手倉森JAPANは解散となる。「ここから先は日本サッカー界の未来がかかった大事な試合が続いていく。」と言えるだろう。
U-23アジア選手権がスタートして「リオ五輪の本大会のオーバーエイジ枠は誰になるのか?」という話も盛り上がってきた。先のことを考える余裕は全くない状態ではあるが本大会の切符を勝ち取ることが出来なかったらこの話も完全に無意味なものになってしまうので「オーバーエイジの話題」を取り上げるチャンスはこの時期しかない。ということで手倉森JAPANのオーバーエイジについて考えてみた。
■ これまでの大会のオーバーエイジ枠は?23歳以下が基本となる五輪の舞台でオーバーエイジが導入されたのは1996年のアトランタ五輪以降である。アトランタ以降は全ての大会に日本は出場しているので、毎度、「オーバーエイジを誰にするのか?」で盛り上がったが、日本の場合は次のようなメンバーがオーバーエイジとして五輪に参加している。
1996年 : アトランタ五輪 ・・・ なし
2000年 : シドニー五輪 ・・・ GK楢崎正剛、DF森岡隆三、MF三浦淳宏
2004年 : アテネ五輪 ・・・ GK曽ヶ端準、MF小野伸二
2008年 : 北京五輪 ・・・ なし
2012年 : ロンドン五輪 ・・・ DF吉田麻也、DF徳永悠平、(GK林彰洋)
最初のアトランタ五輪のときは「オーバーエイジとはどういうものなのか?」があまり知られていなかったこともあって当時の西野監督は採用しなかった。シドニー五輪のときは五輪世代の選手と年齢の近い3人を選出してベスト8進出を果たした。当時のトルシエJAPANは若い選手が多かったのでMF中田英やMF中村俊やMF稲本らが中心となったシドニー五輪代表チームは「ほぼフル代表」と言える豪華メンバーだった。
2004年のアテネ五輪のときはFW高原も予備登録メンバー30人に選出されていたが肺動脈血栓塞栓症のため招集を見送ることになった。2008年の北京五輪のときはFW大久保(当時:神戸)の招集が検討されていたが所属クラブが拒否したためメンバー入りは見送られて唯一、G大阪のMF遠藤が参加する予定だったが同様に病気のため参加することはできなくなった。北京五輪はオール23歳以下のメンバーだった。
記憶に新しい4年前のロンドン五輪のときはDF吉田とDF徳永とGK林彰をリストアップしたが、GK林彰に関しては「正キーパーのGK権田に何かアクシデントがあった場合のみ」という条件付きだった。結局、無事にGK権田がプレーできたのでGK林彰はバックアッパー止まり。オーバーエイジ枠を1つ棒に振る形になったが、GK権田と2番手以下のキーパーの間には大きな実力差があったので致し方ない判断だったと言える。
■ リオ世代の弱点となるポジションはどこか?こうしてみると高確率で問題が生じている。スムーズに事が運んだのは2000年のシドニー五輪のときだけ。ただ、このときは2002年の日韓W杯が予選免除で「W杯予選に参加しなくてもOK」という特殊な事情があったのでレアケースと考えるべきである。さらに当時は欧州でプレーする日本人選手は片手で数えることができるほどだったので、多くの選手が海外リーグでプレーしている現代とは全く条件が異なる。
日本以外の国のオーバーエイジの選手もいろいろと見ていくといくつかのパターンがある。「ややピークを過ぎたが経験値を持っている。」という選手をオーバーエイジで起用するケースもあるが目立つのは五輪世代と年齢的に近いフル代表クラスの選手を招集するパターンである。日本のケースで考えると2000年のシドニー五輪のときのGK楢崎やDF森岡、2012年のロンドン五輪のときのDF吉田あたりが典型例と言える。
ロンドン五輪のときは1988年生まれのDF吉田がチームのキャプテンを任されたが、ロンドン世代で一番上の学年となる1989年の早生まれの選手とは同学年となる。したがってFW永井謙やGK権田あたりと同学年になるのでスムーズにチームに溶け込むことができた。改めてリオ五輪における手倉森JAPANのオーバーエイジを考えると「1992年生まれの選手でフル代表クラスの選手」を招集する可能性がもっとも高い。
ロンドン五輪のときは「CBが大きな弱点」と言われていたのでDF吉田がオーバーエイジで起用されたが、手倉森JAPANの場合は「このポジションが明らかな弱点」というのは見当たらない。DF岩波(神戸)とDF植田直(鹿島)がいてDF奈良(川崎F)やDF西野(G大阪)などが控えるCBでオーバーエイジを採用することはほぼ無いと思うが、その他のポジションに関しては「オーバーエイジが用いられる可能性はある。」と言える。
■ 違いを生み出せそうなMF柴崎岳やFW武藤嘉紀「年齢的にリオ世代と近いこと」、「フル代表クラスの実力を持っていること」、「プラスアルファを生み出すことができること」などを考慮すると、具体的にはMF柴崎岳(鹿島)であったり、FW武藤嘉(マインツ)であったり、FW宇佐美(G大阪)あたりの名前が挙がってくる。リオ五輪の本大会で勝ち進むことも非常に大事なことではあるが次代の日本代表を担う選手に世界大会の経験を積ませることも大事になってくる。
プラチナ世代以外ではMF山口蛍(ハノーファー)、MF原口(ヘルタ)あたりも候補で、「GK櫛引(鹿島)やGK中村航(柏)では不安」となるとGK西川(浦和)やGK東口(G大阪)やGK林彰(鳥栖)やGK権田(ホルン)という選択肢も浮上してくる。ただ、どのポジションにオーバーエイジを採用する場合でも「若手の枠」を1つ潰すことになるので手倉森監督は頭を悩ませることになるだろう。明確な弱点がない分、難しい。
もちろん、フル代表の中心であるMF本田圭(ACミラン)、MF香川(ドルトムント)、DF長友(インテル)あたりを呼ぶ可能性もゼロではない。MF本田圭あたりを呼んだら大きな化学変化が生まれる可能性があるが若い世代がMF本田圭に頼り切ってしまうとせっかくの貴重な経験が台無しになることも考えられる。リオ世代のCB事情を考えるとDF吉田(サウサンプトン)やDF森重(FC東京)あたりの招集は無さそうだ。
当然、五輪には拘束力がないのでJリーグのクラブに所属する選手はもちろんのこと、海外リーグに所属する選手をオーバーエイジ枠で招集しようとしても拒否されるケースは普通に考えられるが、今の時点で「クラブ側からOKが出るのか?否か?」を判断するのは難しい。その問題は考慮せずに考えるとFW武藤嘉(マインツ)やMF柴崎岳(鹿島)あたりは「違い」を生み出すことが出来そうなオーバーエイジ候補である。
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