■ アジア大会のGLの3戦目アジア大会のGLの3戦目。1勝1敗で勝ち点「3」のU-21日本代表がネパール代表と対戦した。ネパールは初戦はイラクに0対4で敗れて、2戦目もクウェートに0対5で敗れている。GLの順位は得失点差よりも当該チーム同士の対戦成績が優先されるので、イラクとクウェートの試合結果に関係なく、日本は勝つと決勝トーナメント進出が確定する。
日本は「4-2-3-1」。GKポープ・ウィリアム。DF室屋、岩波、植田、山中。MF遠藤航、大島僚、野津田、中島翔、矢島慎。FW鈴木武蔵。クウェート戦は「3-4-3」で、イラク戦は「4-1-2-3」を採用したが、この日は「4-2-3-1」を採用して、2列目に3人のアタッカーを並べる布陣となった。東京VのGKポープ・ウィリアムは初スタメンとなる。
■ 4対0で勝利して決勝トーナメント進出決定試合の前半は難しい展開となる。2連敗中のネパールはフォワードの選手も守備に力を注いで、9人あるいは10人で引いて守ってきたので、なかなかスペースを見つけることができない。0対0のままで時間だけが過ぎていくが、前半33分にバイタルエリアでボールを受けたMF野津田が得意の左足を振り抜くと、これが豪快に決まって先制ゴールを奪う。
後半になると相手の最終ラインの裏のスペースを有効に利用できるようになって、いい形からチャンスを作るようになる。後半9分にMF矢島慎のパスからスルーが入って抜け出したMF中島翔がキーパーとの1対1を確実に決めて2点目を奪うと、似たような形から後半18分にもFW鈴木武蔵が裏に飛び出してからゴールを決めて3対0と突き放す。
さらに後半25分にはMF野津田のパスからファーサイドのFW鈴木武蔵が長い足をいっぱいに伸ばして決めてダメ押しの4点目のゴールを奪う。結局、攻撃的なポジションの選手が期待通りにゴールに絡んで4対0でネパールを下して2勝1敗で決勝トーナメント進出を決めた。ラウンド16はC組を1位で通過したパレスチナと対戦することになった。
■ 広島のFW野津田が1ゴール1アシスト前半は人数を掛けて守るネパールの守備に苦しめられて、なかなか先制ゴールを奪うことができなかったが、終わってみると4つのゴールが生まれた。GL突破のためには得失点差は全く関係がなくて、勝つことで自力で突破を決めることができたが、とりあえずとして最低限の目標だった決勝トーナメント進出を決めることができた。
とにかく、前半33分のMF野津田の先制ゴールが大きかった。前半は有効に利用できるスペースがほとんどなかったが、それに加えて、前半の立ち上がりから軽率なミスが目立った。決定機と呼べるシーンもほとんど作れていなかったので、0対0のままで前半が終わっていると重苦しい雰囲気になったが、MF野津田の左足が流れを大きく変えた。
MF野津田は初戦のクウェート戦は先発出場したが、本来のプレーは見られなかった。それもあって次のイラク戦はスタメンから外れて途中出場となったが、3戦目にして自分の良さを出すことができた。あの位置でMF野津田がボールを持って、左足を振り抜くことができると高確率で可能性があるシュートを放つことができる。大きな武器である。
今回のU-21日本代表チームは2012年の秋に行われたU-19アジア選手権と、2014年の1月に行われたU-22アジア選手権という2つの大きな公式戦を戦ったメンバーが中心になっているが、MF野津田はU-19アジア選手権はメンバーに選ばれていたが、あまり出場機会はなかった。そして、U-22アジア選手権はメンバーには選ばれなかった。
ということも関係しているのか、今のチームにフィットしている感じはあまりない。パスの出し手になるときは大きな問題はないが、パスの受け手になるときに味方と息が合わないシーンが目立つ。要改善と言えるが、数少ない左利きという利点もあって、これから五輪代表の攻撃の中心になってもらいたい選手の1人と言える。
■ 順当に勝ち進むと準々決勝の相手は韓国2ゴールを決めたFW鈴木武蔵も存在感を発揮した。前半はあまり目立たなかったが、後半になると裏に飛び出す意識が高くなって、彼が裏のスペースを使えるようになったことでバイタルエリアが空くようになって、ボランチから有効なパスが入る回数が多くなった。エースになることが期待されているが、3試合で4ゴールと十分過ぎる結果を残している。
2試合連続スタメンとなった浦和のMF矢島慎もまずまずだった。自身のゴールは生まれていないが、チャンスシーンに絡む回数が非常に多い。浦和ではなかなか出場機会に恵まれていないが、前線のコンビネーションを重視するペトロヴィッチ監督の下でトレーニングを重ねていることもあって、「3人目」を使うプレーが秀逸である。
次のラウンド16はパレスチナとの試合となるが、パレスチナというのは未知の国である。パレスチナのサッカーについてはよほどのコアなサッカーファンでない限り、イメージするのは難しいと思うが、幸いにして、来年の1月に行われるアジアカップでは同組になることがかなり前から決まっているので、サッカー協会は情報を持っていると考えられる。
この世代になると、ほとんどの場合、対戦相手の情報が少ない。選手たちの対応力が求められるが、パレスチナに関しては中心となる選手の情報は十分に入ってくるだろう。順当に勝ち進むと準々決勝で開催国の韓国と対戦することになるが、大アウェーの中での試合となるので、どんな結果になろうとも、大きな経験を積むことができる。
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