■ アジア二次予選の大一番2018年のロシアW杯のアジア二次予選の4戦目。2勝1分けで勝ち点「7」のハリルジャパンは中立地のマスカットでシリアと対戦した。シリアは3戦全勝。E組の首位を走っている。シリアは勝ち点「9」で、日本は勝ち点「7」なので、日本は勝つと首位に浮上することができるが、負けると自力での首位通過の可能性が消滅する。ハリルJAPANになってからちょうど10試合目となるが、もっとも大事な試合と言える。
日本は「4-2-3-1」。GK西川。DF酒井高、吉田、槙野、長友。MF長谷部、山口蛍、本田圭、香川、原口。FW岡崎慎。9月のアフガニスタン戦で先発だったDF森重はベンチスタートでDF酒井宏は招集外。9月の2連戦は体調不良で辞退したDF槙野が先発に復帰して、右SBにはDF酒井高が起用された。MF本田圭、DF長友、DF酒井高という所属クラブで出場機会に恵まれていない選手のコンディションが心配される。
ベンチスタートになったのはGK東口、GK六反、DF米倉、DF塩谷、DF森重、DF丹羽大、MF柴崎岳、MF清武、MF柏木、MF宇佐美、FW武藤嘉、FW南野の12名。ザルツブルクのFW南野はザックジャパン時代の2014年4月以来の日本代表選出となった。今シーズンのFW南野は国内リーグは10試合に出場して6ゴール。得点ランキングで2位タイに付けている。DF塩谷とMF柏木とMF清武は久々の代表復帰となった。
■ 3対0で快勝してE組の首位に浮上前半は互角の展開となる。マスカットのシーブ・スタジアムは芝が長めで、かつ、乾燥していたので、なかなかボールが走らない。テンポよくパスを回して攻撃を仕掛けたい日本にとってあまり相性の良くないピッチコンディションだったことも関係して、中途半端な横パスをカットされてシリアにカウンターのチャンスを与えるシーンが3・4回ほどあった。0対0で折り返したが、決められてもおかしくないピンチもあった。
しかしながら後半は日本が優勢となる。後半10分にFW岡崎慎が倒されて得たPKをMF本田圭が落ち着いて決めて先制に成功すると、後半25分にはセットプレーの流れから左サイドを切り裂いたMF香川の折り返しをFW岡崎慎が合わせて2点目を挙げる。さらに後半43分にはMF本田圭のパスを受けた途中出場のMF宇佐美が決めて3点目。MF宇佐美は代表通算2ゴール目。MF本田圭は1ゴール1アシストの活躍だった。
結局、3対0で日本が勝利。3勝1分けでE組の首位に浮上した。初黒星を喫したシリアは3勝1敗となった。E組のもう1試合はシンガポールがホームでアフガニスタンに1対0で勝利したため、シンガポールは2勝1敗1分けとなった。二次予選の5試合目は11月12日に行われるが、ホーム戦では引き分けに終わったシンガポールとアウェーで対戦する。さらに11月17日にアウェイでカンボジアと対戦する予定になっている。
■ 大きかった後半10分のPKでの先制ゴール前半はやや苦戦した日本だったが、後半は力の差を見せつけた。シリアの守備は局面局面では激しかったが、それほど組織的に守れているわけではなかったので、落ち着いてボールをつなぐことが出来れば決定機を作れそうな雰囲気はあったが、前半はパスミスが多かった。シリアは攻め残っている選手もいたので変なボールの失い方をすると非常に危険だったが、守備陣は何とか無失点に抑えることができた。
後半10分の先制ゴールが非常に大きかった。ファールなのか、ノーファールなのか、かなり微妙なプレーだったのは間違いないところ。「アジア最高のレフェリー」と言われるイルマトフ主審は最初はノーファールで流す雰囲気だったが、副審の意見を尊重して少し経ってからPKを宣告した。ノーファールでもおかしくない場面だったので日本にとってはややラッキーな判定だったが、先制して落ち着くことが出来た。
後半25分の2点目のゴールも価値がある。左サイドをMF香川が突破して切れ込んでからFW岡崎慎に決定的なパスを通したが、C大阪で出場機会を得るようになった時期のMF香川はあのような感じで左サイドから切れ込むプレーが得意だった。中に入ってきたFW古橋が合わせるのが当時のC大阪の1つのパターンだったが、久々にあれほどドリブルで切れ込んでアシストするMF香川のプレーを見ることが出来た。
試合前の時点では得失点差は日本が「+9」で、シリアは「+13」だった。結構な差があったので、今後のことを考えると最後の最後で生まれたMF宇佐美の3点目のゴールも大きな価値がある。結局、得失点差は日本が「+12」となって、シリアは「+10」。勝ち点はもちろんのこと、得失点差でも逆転することができた。FW武藤嘉とMF清武とMF宇佐美という途中出場の3人が点に絡んだのも非常に良かったと言える。
■ コンディションが不安視されたMF本田圭とDF長友とDF酒井高今回の試合は所属クラブで出場機会に恵まれていない選手のコンディションが心配されていたが、MF本田圭は1ゴール1アシスト。時間が進むにつれていい所でボールを持つ機会が多くなって、MF本田圭が起点になってトップ下のMF香川にいい形でボールが渡るシーンが多くなった。前半はラッチライン際に張る時間が長かったが、臨機応変なポジショニングをするようになってから日本の攻撃がスムーズになった。
MF本田圭もACミランではここ2試合出場機会なし。0対4でナポリに大敗した後、チームの現状や未来に関して率直にコメントしたことが話題になった。代表とクラブは全くの別物ではあるが、ここで結果を出さないと批判されるような追い込まれた状態に自らを追い込んだ中での試合だった。相当なプレッシャーがあったと思うが1ゴール1アシストの活躍。MOMを1人だけ選ぶとしたらMF本田圭になるだろう。
DF長友とDF酒井高も及第点以上のプレーを見せた。今回は怪我もあってDF酒井宏がメンバーから外れて、FC東京のDF太田宏とDF藤春は招集外。久々の代表復帰となったDF塩谷も右SBが本職の選手ではない。DF米倉についてはハリルホジッチ監督は「左SBの候補」と明言しているので、結局、左右のSBは4人とも不安を抱えている状態だった。もっとも心配されたポジションだったが、大きな問題には至らなかった。
特にDF長友については今シーズンは所属のインテルでポジションを完全に失っている状態である。来年の9月で30歳になるが、「怪我や年齢的な問題もあって力が落ちてきたのではないか?」という声も多くなっていた。数年前までの攻守に渡る圧倒的なパフォーマンスを久しく見ることが出来ていなかったのでDF長友の状態を気にしていた人は多かったと思うが、試合勘の問題も無くて出来としてはまずまずだった。
インテルではほとんど出場機会がないので「本当のところどうなのか?」を知る術はあまりなかった。9月の2連戦(カンボジア戦とアフガニスタン戦)ではあまりいいプレーはできず。本人も、周囲もモヤモヤしたところがあったと思うが、キレやスピード感はなかなかのレベルだった。心身共に状態がかなり上がってきたように感じられる。彼が縦に仕掛けて突破できると左サイドが日本代表の大きな武器となる。
MF本田圭とDF長友とMF香川の3人に関しては調子やコンディションが悪かったとしても簡単にはスタメンから外すことは出来ない。過去の代表戦でそれだけのものを示してきたからこその特権ではあるが、彼らが問題を抱えた状態で代表に合流するようだとハリルホジッチ監督の悩みは深くなる。インテルはいい滑り出しを切ったのでなかなか難しい立場だと思われるが、DF長友には完全復活を期待したい。
★ 現在の投票数 → 668票
→ 投票したい選手の名前を選択してから左下の「投票」のボタンをクリックしてください。
→ 最大で5人まで投票することができます。
→ 「コメント」のところは何も書かなくてもOKです。(投票可能です。)
→ 記事内容に関係のないコメント(政治的な内容も含む。)はご遠慮ください。
関連エントリー 2015/09/29
【Jリーグ】 独断と偏見で選んだボール奪取力の高いJリーガー (10人) 2015/09/30
【Jリーグ】 独断と偏見で選んだ創造性溢れるプレーが魅力のJリーガー (10人) 2015/10/01
【Jリーグ】 独断と偏見で選んだフィード能力の高いJリーガー (10人) 2015/10/02
【Jリーグ】 独断と偏見で選んだポストプレーの上手なJリーガー (10人) 2015/10/04
【Jリーグ】 独断と偏見で選んだプレイスキックの得意なJリーガー (10人) 2015/10/04
【Jリーグ】 独断と偏見で選んだ空中戦に強いJリーガー10人 (CB限定) 2015/10/05
【Jリーグ】 独断と偏見で選んだ空中戦に強いJリーガー10人 (フォワード限定) 2015/10/05
【Jリーグ】 独断と偏見で選んだスピードのあるJリーガー (10人) (アタッカー限定) 2015/10/06
【Jリーグ】 独断と偏見で選んだシュート技術の高いJリーガー10人 2015/10/07
こんな選手をハリルジャパンに・・・ (その1) 2015/10/08
こんな選手をハリルジャパンに・・・ (その2)
- 関連記事
-