■ ジョジマールが帰化を検討今シーズンから、J2の東京ヴェルディでプレーすることになったブラジル人のFWジョジマールが、日本への帰化を検討していることが明らかになった。すでに申請書類は提出済みで、簡単な漢字なら読み書きも可能ということで、日本国籍の取得が認められる可能性は高いようだ。初来日したのは、2006年8月なので、すでに5年半も経過しており、日本での生活にも慣れている。
最初はヴァンフォーレ甲府に加入したが、FWジョジマールがブレークしたのは、愛媛FC時代の2007年である。シーズン途中にJ1の甲府からJ2の愛媛FCにレンタル移籍したが、21試合で8ゴールを記録。しかも、強烈な左足のシュートで豪快にネットを揺らしたスーパーゴールが多かったので、大きな注目を集めた。甲府時代から、「面白い選手がいる。」と評判になっていたが、愛媛FCで力を示したことで、一気に注目を集めるようになった。
翌2008年は、J2に降格してきた甲府に戻ったが、当時の甲府はストライカー不足に苦しんでいた一方で、中盤には、MF藤田を筆頭にタレントが揃っていたので、FWジョジマールが愛媛FC時代のプレーを披露できれば、「15ゴール以上は期待できる。」と思ったが、出場のチャンスは少なくて、13試合に出場して5ゴールにとどまった。2009年以降の3年間は、再び、愛媛FCでプレーしたが、2009年が33試合で7ゴール、2010年が27試合で4ゴール、2011年が25試合で5ゴールということで、思うような結果は残せなかった。
■ プレースタイルは?183センチ80キロという体格なので、ポストプレーを求められることがあるが、そういうプレーは得意としていない。当時、パスサッカーをしていた甲府で出番が巡ってこなかったのも、ボールを受けたり、前線で起点になるプレーが不得意なことが要因で、立派な体格を十分に生かすことはできなかった。ただ、パワーに関しては並外れたものがあって、ハマったときの左足の威力は、日本人にはとても真似できないものがある。ゴール数自体は少ないが、ゴールシーンのダイジェストだけ見ると、ハイレベルなストライカーに見えるだろう。
愛媛FCも、決して、フォワードの層が厚いチームではないので、毎シーズンのように、中心フォワードとして活躍することが期待されたが、好不調の波も激しくて、レギュラーに定着することはできなかった。ただ、バルバリッチ監督もかなり期待していたようで、徐々にではあるが、大きな体を生かしたプレーも見せるようになってきた。昨シーズンは、苦手としていたポストプレーの精度も向上し、周りの選手を生かすプレーも出来るようになってきたので、新天地の東京ヴェルディでどこまでできるか?を期待していたが、こういう報道がでてきたので、これまで以上に注目を集めるだろう。
東京Vには、FW阿部というストライカーがいて、彼のパートナーが誰になるかが注目されるところで、草津から加入のFWアレックスが有力候補で、元日本代表のFW巻も控えている。ただ、FWアレックスに関しては、中盤でもプレーできるので、頑張れば、東京Vでもチャンスはあるだろう。
■ 秘密兵器になりうるか?帰化申請を行ったということは、当然、日本代表入りの可能性も出てくる。ブラジル代表に絡んだことは無いので、日本代表としてプレーすることに、何の支障もない。よって、代表入りを目指すのは自然なことである。ただ、MF三都主アレサンドロ、DF闘莉王、FW李忠成らのケースとは、明らかに事情は異なる。
FWジョジマールの場合、日本代表入りということも、頭のどこかにはあっただろうが、代表入りは二の次で、日本で長くプレーすることを最優先に考えたのではないかと想像できる。プロ生活のほとんどが日本のクラブで、日本の生活にも慣れてきた時期であるが、日本でずっとプレーしたいと思っても外国人枠になると契約してくれるクラブを探すのも大変である。
一方で、気の早いメディアは、「ザックジャパン入りも???」と報道しているが、フル代表に呼ばれる可能性は、現時点では限りなくゼロに近いといえる。FWジョジマールは2トップの一角でプレーしたときに、もっとも力を発揮するタイプで、ザックジャパンが採用する1トップ向きの選手ではない。高さはあるが、クロスボールをゴール前で合わせて、得点につなげるプレーも少ない。したがて、ライバルのFW李忠成、FWハーフナー・マイク、FW前田らと比べて、実力でも、実績でも、大きく見劣りするのは否めない。
ただ、前述のように、ポテンシャルは並外れたものがある。スピードも、パワーもある選手で、日本にはいないタイプのストライカーである。しかも、まだ24歳で将来性もある。2008年以降は、伸び悩んでいて、停滞感もあるが、帰化という大きな決断をしたことで、気持ちも一新されているはずで、帰化をきっかけに、プレーヤーとして飛躍してほしいところである。その結果として、代表入りが近づいて来れば、本人にとっても、日本サッカー界にとっても、幸せなことである。
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