■ 2ステージ制が復活か?2015年シーズンから「J1が2ステージ制を復活させる方針を固めた」と報道されている。Jリーグは、(1996年を除いて、)初年度の1993年から2004年までは2ステージ制を採用していたが、世界基準ではないこと、H&A方式というサッカーの原則が崩れること、年間最多の勝ち点を獲得したチームが優勝できない可能性があることなど、いくつかの問題点が指摘されるようになった。そのため、2005年から1ステージ制となったが、元に戻ることが濃厚となった。
2011年の東日本大震災の影響もあって、J1の観客動員数が減少傾向にあるのは事実である。また、Jリーグの露出度が横ばい状態であることも間違いない。したがって、「何かできないか?」、「改善できることはないか?」と識者が集まって、意見を出し合って、議論することは悪くはないと思う。しかしながら、2ステージ制に戻すことが、今、求められている改革の答えなのかというと、そのようには思えない。
Jリーグの大東チェアマンは『ここ数年、収入が減っているなかで、今、手を打たないと将来に大きな影響が出る。大会方式の変更で、スポンサー収入や放送権料収入などが今よりも増えると考えている。』とコメントしているが、「見通しが甘いのではないか?」と言わざる得ない。もちろん、プレーオフが開催されることになると、プレーオフの放映権などで放送権料収入は増加すると思うが、潤うのは一部だけで、スポンサー収入につながるのかは、かなり疑問である。
■ 本当にキラーコンテンツになるのか?しかも、年間王者を決める方式に関しては、「各ステージ2位以内のチームが対戦するスーパーステージ(SS)を開催して、さらには、年間王者を決定するチャンピオンシップ(CS)を開催すること」という方針も固まったという。詳細については、これから決めていくことになるというが、1ステージ制だった1996年に行われて、1年限りで終了となった「サントリーカップ Jリーグチャンピオン・ファイナル」を連想させる。
このときは、リーグ戦1位の鹿島、リーグ戦2位の名古屋、ナビスコ1位の清水、ナビスコ2位のV川崎の4チームがサントリーカップ96の出場権を獲得して、結局、リーグ戦で2位の名古屋が決勝戦で鹿島を下して優勝カップを手にしたが、現在のところ、1996年のJリーグ王者として認識されているのは、鹿島である。「サントリーカップ96とは何だったのか?」と思っている人は多いと思うが、似たようなことになるのではないか?という心配もある。
天皇杯やナビスコカップにはトーナメントあるいは短期決戦ならではの面白さがあるが、もっとも価値があるのは、リーグタイトルであある。約9ヶ月という長丁場のリーグ戦を戦う中で、いい時期も悪い時期も訪れるが、それらを乗り越えて、1位でテープを切ることができたときの喜びというのは、何物にも代えがたいものがある。2ステージ制を導入することで、そういったリーグ戦特有の面白さが半減してしまうことになるのは、非常に残念である。
もちろん、新規サポーターを取り込もうとする姿勢は大事なことである。SSやCSが開催されて、地上波でゴールデンタイムに生中継されるとしたら、それをきっかけにして、サッカーやJリーグに興味を持つ人はいるとは思うが、2ステージ制になることで生じるマイナス面をカバーできるほどのメリットがあるかというと、そのようには思えない。上層部は自信満々であるが、サッカーファン以外の関心を集めるキラーコンテンツになるとは、とても思えない。
■ サポーターの多くは反対秋-春制への移行とは違って、練習や試合のための新たな施設が必要というわけではないので、「評判が悪かったら、元に戻せばいい。」という考えもあるとは思うが、話の進め方がフェアではないと感じる。サッカーファンの間で、1ステージ制に不満を持っている人というのは、ほとんどいない。なので、話が出るようになってから、「2ステージ制は反対!!!」という趣旨の横断幕がスタジアムで披露されたことは、1度や2度ではなかったと思う。
明らかに受け入れられていない「改善案」であるにもかかわらず、サポーターの声を無視して、会議室で一気に話を進めて、既成事実を作ろうとする姿勢は、いい感じはしない。もちろん、「今のままのJリーグでいい。」と思っている人は少数で、より良いJリーグを作るために改善できることはしていかなければならないが、話を進めている人たちが、「SSやCSの放映権という目先の利益に飛びついてしまった。」という感想しか生まれない。
Jリーグと比べて、はるかに人気が高くて、一般の人たちの関心が高いプロ野球も、約10年前にプレーオフ制度を導入したが、「日本シリーズやペナントレースの価値を下げてしまった。」という意見が大半である。NPBのクライマックスシリーズでさえ、地上波でほとんど放送されない中で、「SSやCSがJリーグ人気回復の起爆剤になり得る。」という考えを上層部が持っているのであれば、あまりにも単純であり、浅はかであると言わざる得ない。
担当者は、「何かを変えて、仕事をしているところをアピールしなければならない。」という意識が働いていると思うが、「2ステージ制の復活ならびにSSやCSの導入」という案しか出て来ないのであれば、何も仕事をしていないに等しい。秋-春制移行を検討している人たちにも同じことが言えるが、この人たちに払っている給料というのは、無駄である。そして、そういう人たちが、今のJリーグを動かそうとしているのかと思うと、ぞっとする。
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